だいぶ時間が経ってしまい申し訳ありません。

書きたいとは思いながら、思い入れが強くてなかなか書き終われませんでした。


その割に全くまとまっていませんが、よかったら最後まで読んでいただけたら嬉しいです。






2021年6月6日、無事A・Bチーム共に千秋楽を迎えることが出来ました。


この「無事千秋楽を迎える」事が本当に難しい事。

身に染みて実感しております。


ひとまずは現状はコロナにならず、大きな怪我もなく、皆様に無事最後まで作品を届ける事ができて本当に嬉しいです。




コロナ禍での公演ということもあり、この作品は2週間の稽古で全て詰め込まなくてはなりませんでした。

完全ダブルキャスト・2週間での稽古は、正直結構ハードでした(笑)

ダブルキャストですので実質半分しか稽古できませんので、稽古時間は1週間くらいな体感です。

さらに役柄もかなり重要で(いつも重要な役を頂きますが今回は特に)セリフも多く、有難い悲鳴でした。


今回の「橋本偲」という役は、本当に本当に頭を悩ませる事ばかりで、正直最終稽古まで全く掴めきれませんでした。

固まらないキャラクター、難しい単語ばかりの台詞、出入りや小道具などの細かな移動などなど。

詰め込まなくてはいけない事がもう、私にとってはとんでもない量で!何度も泣きそうになってました。



役柄もかなりクレイジーな役でして、最初の印象は「自分に心酔させるカリスマ」的なイメージでしたが、蓋を開けてみたら「コミュ障厨二病サイコパス」でした😂

みんなも多分ビックリしましたよね。笑



そのコミュ障を舞台上で上手に表現ができなくて。動画見て何度も研究しました。

自分自身はかなりコミュ障なのにね…ハハ


いろんな方にアドバイスを頂いたり、細川さんからいい具合にキツイダメ出しを頂いたり、私本当にダメな奴だなぁとつくづく痛感して。

さらに後半戦での自殺シーンから覚醒シーンから大爆破までノンストップ。超絶ハイテンションでいかなければいけないので、精神的にも参ってました。




私は正直、ダブルキャストが苦手です。

人と比べられる事・自分との差を感じる事にとてもプレッシャーを感じてしまって、自分より優れているものを見て落ち込んでしまうんですよね。

この世界にいる以上、まぁそんなこと当たり前の事ではあるのですが、はっきり言うとまぁ私は苦手です。


ただ、ダブルキャストの最大の魅力は、自分の考えにない芝居プランだったり相手の良い所を盗んで、相手の力も合わさり2倍魅力的なキャラクターに仕上げられる事だと思っています。

同じキャラクターを演じることはいわば運命共同体なわけで、私という人間は1人しかいないはずなのに、もう1人私がいるんですよね。とても不思議な感覚。

相手の良い所を盗むことは、自分のスキルアップにも繋がる。ので、とにかく見てスキルアップに努めました。



もう、自分の中のプレッシャーが酷すぎて、何しても自分のダメなところにしか目が向けられなくて。

この役を頂いたからには、いつもの自分じゃダメだ。もっと違うアプローチをしなくちゃ。とずっと考えていて、それもうまくいかなくてとにかく迷走してました。


結果的にいつもの私が考えつく演技プランを選びました。

行き着いた先はいつも通りだけど、迷走した分いつもと違いました。










今回は特に、本当に沢山の方にアドバイスを頂きました。

どうして悩むのか分からない気持ちに寄り添って頂いた方も沢山いるし、技術的なアドバイスも沢山頂きました。



その中で私が最終的に行き着いた彼女は、根暗だからって暗く喋るわけでもないし、スイッチが入ったからって何かが決定的に変わるわけではないこと。

単純だけど新しい発見だったというか、本当に上手に伝えられなくて申し訳ないのですが、私の中の橋本偲はキャストの方に支えられてやっと完成しました。


周りの目を人一倍気にして、行動力は人一倍あって、好きな事に全力で取り組んで、自分が世界を救えると心から信じている。

彼女はとても強いけど、心がとても弱い。

信念を持って必死に生きている彼女が本当に愛おしくて、そんな彼女を的確に表現できるように、必死に考えて寄り添って良かったです。


私の原動力はただこの作られた世界を壊して、早坂さんを救う救世主になる事だけで、他に何も要らないなぁと。





その中でいつも通りやっていたら、細川さんに「ここまでテンションが上がった状態でさらに上に行けることは本当にすごい事だけど、それだとただうるさいやつになるだけ。使い方を覚えろ。」と、的確で心に突き刺さるダメ出しを頂きました。


細川さんのダメ出しって、本当に私を役者として成長させてくださるダメ出しばかりなんです。

今まで細川さんに学んだ事が多すぎて、脚本演出が面白いのは当たり前ですが、全てにおいて信用できることしかないです。

だからこそ、私もやりたいことを全力で細川さんに見せて、細川さんにダメ頂いて、次のステップに進める。

私の芝居や考えは、細川さんに出会って演出を受けて、どんどん変わったなと感じます。





人との出会いは、大変な事もあるし苦しい事もあるし、時には裏切られるし嫌な気持ちになる事も沢山あるけれど、それでもその出会いによって私の価値観や世界観が広がって変わっていく。


偲も、信頼できる人と出会って経験したことで、沢山の思いを抱えて生きて、この作られた世界を終わらせようとしたんだと思います。




皆様にとってこの舞台が、良い出会いとなって

今後の人生に少しでも関わることができたら嬉しいです。










どうかこの世界が、大好きなあなたが見ている夢でありますように。









ほらね、早坂さんはカッコいいんだ!ざまぁみろ!





A 橋本偲役 沖田桃果