ディナー？
あぁ
一緒に
だって…
電話での彼は
一瞬口ごもる
あの細い指先が
小さな端末を握り
ふっくらとした
唇をあのしろい歯で
噛むのが
見えるようだ
ただの食事会だよ
他にもいるし？
ずっとやってみたいって
アレもあるし？
…でも気が乗らないならいい
ん…
彼は
やって来たんだった
ブラウンのスーツ
しろいシャツ
シンプルで
目眩がするほど
美しかった
ほかの
みんなは？
約束の時間
俺と
彼だけ
あぁ
…ゴメン
嘘ついた
…え
一瞬強ばる表情
俺さ
独り占めしたくて
たまんないの
ゴメン
嘘ついてて
な…
赤くなる頬
怒っているのか
口が結ばれる
なに
その嘘
バカじゃないの？
もう
帰る！
俺は
しろく細い手首を
握りしめた
痛！
なんだよ！
ゴメン
ホント
ゴメン
悪かった
俺が
悪かった
これ
食べてから
帰って
わ…
別室に用意した
チョコレート･フォンデュ
わー！
なにこれ！
好きにしていいよ
美味しい！
イチゴ！
あーん！
ん
っふふふふ！
ん…
チョコ…
チョコ好き…
美味しいね？
…
ゴメン
さっき怒って
…
これから…
どうしよっか？
つづく！
ーーーーーーーーーー☆
柔らかな舌が
チョコレートを
掬いとっていく
…あまい…
温かな
濡れた感触
じっと
俺を見ている
目が
逸らせない
…ねぇ？
…欲しい？
彼の目が
色を変える
思わず
頬を手で包む
…
はい
イチゴ
…
イチゴじゃないな…
欲しいのは…
…ふぅん？
イチゴについた
チョコレートを
紅い舌で
ゆっくりと
舐めた
つづく！
ーーーーーーーーーー☆
…
ちょっと
怒ってる
…
嘘ついたこと
くるりと背を向け
項垂れる
美しい
背中
抱き締め…
ふいに
こちらを向き
手にはチーフが
胸ポケットを彩っていた
紫色のチーフ
ゴメンって
言ったよね？
悪いって言ったよね？
あぁ
なんて
なんて
…
ペナルティだよ？
彼の
香りと
チョコレートの甘い香りが
ふわりと
俺に回される
きゅっ
シルクを縛る繊細な音
その布の
冷たい感触が
俺の視界を
甘く
奪った
ーーーーーーーーーーーー☆
…ふふっ
どうしよう？
あまく
悪戯気な囁き
唇に
冷たい感触
…
イチゴ
正解
じゃあ
…
グラスの感触
香りは…
赤ワインか…
あ
待って
こぼしたら
シミになっちゃう
ボタンを
ひとつ
ひとつ
カフスまで
外され…
冷たく
細い指を手繰って
つかむ
…
目隠し
外していいか？
ダメっ
ペナルティだよ？
悪いのはどっち？
…
シャツが
床に落ちる
つづく！
ーーーーーーーーーーーー☆
冷たいグラスが
傾けられる
…
どう？
ああ
悪くない
ことん
テーブルに
置く音がする
首
胸筋
腹筋
冷たい指が
滑り降りる
凄い筋肉…
暖かな
ものが
ぽたりと
鎖骨に落ちた
…
こぼしちゃった…
柔らかな
感触が鎖骨に…
あまーい…
クスクスと
含み笑う
細かな息が
俺の首にかかり
たまらず
腕を回した
あっ…
目隠ししてたら
いいんだろ？
ンッ…
チョコレートの
甘い誘惑
それは
とろけるほどに
甘美だった
おわり？