柿太郎 | momoduncan

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 昔、いなかの家の庭に古い柿の木がありました。
 それは雰囲気があるりっぱな木で、縁側の脇でいつもみんなを見守っていてくれました。子供の私は大好きなこの木に登って遊びました。
 秋になるとたくさんの実をつけます。父が上のほうまで登って柿を落として、子供たちは橙色の実を喜んでむしゃむしゃ食べました。固くて、甘みは少なめでしたけど、なかなかの美味でした。
 柿の木はどんなときでもそばにいてくれました。でもあるとき叔父が結婚したので庭に新居を建てることになり、木は伐られました。
 仕方がないのだとわかりましたけど、幼なかった私はとても悲しく思いました。
 大人になり、柿の木を見ると子供のころの思い出が蘇ります。いつかまた柿木と過ごせる生活ができたらと願っています。
 今、友達の家の柿を毎年もらっています。その実はいなかのよりずっと甘くて丸く大きさもありますが、自然のワイルドさがうちの柿太郎を思い出させます。

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