両大血管右室起始症のムスコは肺への血流を少なくするために、生後3日目に1回目の肺動脈絞扼術を受け、その2週間後に2回目の肺動脈絞扼術と、バルーンカテーテルによる心房中隔裂開術を受けました。
その後はサチュレーションが80台前半〜半ばで、ややチアノーゼはあるものの、よいバランスの循環で元気になり、よく飲み体重をぐんぐん増やしてきました。
生後3ヶ月を過ぎた頃には身体が大きくなってきたので、肺動脈絞扼部分が相対的に狭くなりチアノーゼが少し進行してきました。
そこで、次の手術の方針を決めるために、約1週間入院して、造影CT検査と、心臓カテーテル検査を受けました。
そして待ちに待った治療方針の説明が、翌週にありました。
二心室修復できるのか希望を持って
この日を待っていましたが、
蓋を開けると、結果は
グレン、フォンタンをしましょう。
とのことでした。
理由としては、
二心室修復のためには、ムスコの場合スイッチ術(ジャデーン術)が必要になるが、手術の難易度が高いことに加え
①僧帽弁異形成(パラシュート様弁)があり、遠隔期の僧帽弁閉鎖のリスクがある
②心室中隔が大きく、人工物で閉鎖する部分の長さが長いため、ポンプ機能として筋肉のように収縮しない部分が大きい
③リルーティング部分の狭窄のリスクがある
ということでした。
①の僧帽弁については初耳だったので、果たしてそれがどれほどのリスクと考えればよいのか、理解が難しいところではありましたが、
自分の中ですごく簡単に解釈したのが、
難易度の高い手術で、穴もかなり大きいから、術後のリスクが大きいということ。
そのリスクを背負って二心室修復するよりも、将来の合併症のリスクはあるものの、フォンタンを選択したほうがよい、とプロが判断したということ。
フォンタンに進む覚悟はある程度していたものの、これまで循環器の先生からは、出生直後から二心室修復は可能な印象、という説明を受けてきたこともあって、やはりショックではありました。
もちろん親としては二心室修復してあげたいのは言うまでもありませんが、これはとても難しい選択で、知識がない私が「どうしても二心室修復にしてください」と言えることではありません。
ムスコの生命や将来を左右する非常に重要な判断。検査結果を聞く前から、夫婦で病院の先生の決定に委ねようと決めていました。年間300以上の心臓手術を行う病院で、執刀医もかなりの手術数をこなしてきたチームです。現実的に受け得る最高の医療レベルでの結論です。私はいくつか気になった点を質問して、決まった方針を飲み込みました。
そして手術日が翌週に決まり、外科の先生からの説明も受けました。
外科の先生は、生後まもなくからお会いする度に、今どのような話し合いがなされているか、今後どのように進む可能性があるか、包み隠さず説明してくださってきた先生で、とても信頼している先生です。
その先生は最後まで少数派になっても二心室修復を勧めてくださっていました。どちらかというと循環器の先生方が二心室修復のリスクは許容できない、という考え方だったようで、「意見を覆せずすみません、、」と外科の先生は仰ってくださいました。リスクがある手術でも、ムスコのことを考えて、やろう、と言ってくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
正直なところ、二心室修復させてあげられていたら、、という考えが頭をよぎります。
外科の先生曰く、
二心室修復の場合の手術リスクは
死亡率20%
合併症リスク40%とのこと。
グレン手術の場合は
死亡率は聞きませんでしたが、おそらく数%、
合併症リスクは15%とのことでした。
死亡率20%、、。5人に1人が命を落とす。
決して低い数字ではありません。
全てが上手く進んだ場合は、フォンタンを選択するよりよい結果になるかもしれませんが、そうでない場合は、、、。
この記事はグレン手術後に書いていますが、二心室にしていれば、ということが頭をよぎるときには、その場合、ムスコを二度とこの腕で抱けなかったかも、、、と考え、今ムスコが私の腕の中で心地良さそうに寝ていることに感謝するようにしています。
生後3ヶ月のムスコ。いよいよグレン手術です。