両大血管右室起始症のムスコは生後3日目で肺動脈絞扼術を受け、ICUで術後の経過観察をしていました。


そんなある日、ムスメのスクールバスのお迎えにいき、家に帰ってきたところで、ムスコの病院から2回も着信があったことに気がつきました。

何かあったのか、、?!

急いで折り返すと、心臓血管外科の先生からのお電話でした。

そして、告げられたのが、

「今日のカンファレンスで決まったのですが、明後日、手術(肺動脈絞扼2回目)します。」

前日に先生にお会いしたときは、できれば今週は様子見したいとのことだったので、驚きましたが、直前に急に手術が決まることもある、と聞いていたので、何とか飲み込めました。

まだ二心室修復するか、単心室になるか方針が決められない中、肺血流が多い状態が続いていると、肺の血管が痛んでしまう。そうするとフォンタンに進んだ場合、それは許容できないので、肺動脈をもう一度締めて血流を調整します。

とのことでした。

急いで主人に連絡して、会社休めるように調整してもらい、おばあちゃんに連絡して、上の子の面倒を見てもらうお願いをしました。


生後2週間半で2度も胸を開く手術、、、

前回の術後の回復が遅かったので、
また大変な思いをさせてしまう、、、

と胸がきゅうっとなりました。

前回の手術から14日目に肺動脈絞扼術をしました。

今回の手術は、よりチアノーゼを軽減するためにバルーンカテーテルによる心房中隔裂開術も受けることになりました。



術後の経過は前回の手術よりも驚くほど早く、あっという間に人工呼吸器抜管。

術後1日目 鎮静剤終了。首の点滴(中心静脈カテーテル)も外れる。ほとんど自発呼吸ができている。
術後2日目 人工呼吸器抜管
術後5日目 ネーザルハイフロー終了 鼻カニューラの酸素のみ継続。
術後6日目 一般病棟に移動。経口哺乳開始。
術後8日目 鼻の栄養チューブ外れる。
術後10日目 鼻カニューラ酸素外れる。

顔まわりのチューブがひと通り外れて、生後すぐ以降、久々にすっきりハンサムなお顔がよく見えるようになりました!


酸素を外してもサチュレーションは80台前半〜半ばを保てていたので、このままなら在宅酸素はなして帰れそうとのこと。


よく飲むので体重も哺乳量もぐんぐん伸び、術後2週間ちょっとで退院の話が出始め、術後3週間ちょっとで退院の予定に、、!


いよいよ退院と思った前々日の血液検査で炎症の値CRPが急上昇しており、検査の結果、胆管炎になっていることがわかり退院延期。

2日ほど絶食して、1週間ちょっと抗生剤の治療をして治ったところで、術後4週間半、ようやく退院できました!

次の手術は生後3ヶ月で体重が増えてきた頃にCTとカテーテル検査をして二心室修復をするか、グレン、フォンタンに進むか決めることになっていたので、家での課題は病気をせず体重を増やすことでしたが、すごくよく飲んでくれたので1日50gのハイペースでぐんぐん増えました!

胎児のときに両大血管右室起始症と診断されたムスコは38週で無事に生まれてきてくれました。

生まれた後、どんな様子なのか、苦しくないのかとても不安でしたが、大きな産声をあげて一見普通の赤ちゃんとほとんど変わる様子なく生まれてきてくれました。

出生後の診断は胎児期とほぼ変わらず。

心配されていた大動脈縮窄は見られなかったとのことで、ほっとしました。
ただ、心室中隔欠損の穴が、思ったよりも大きく14mmあるとのことでした。

サチュレーションは90台前半(たしか、、汗)でややチアノーゼがあり少し顔色が悪いかなということもありました。出生後は日に日に肺への血流が多くなりチアノーゼが進行してしまうので、早めに一度手術することになっていました。

心室中隔欠損が大きく、一度に根治手術を行うのは非常にリスクがあるため、まずは姑息手術として肺への血流を減らすために肺動脈絞扼術を行う方針になり、生後3日目で手術を受けました。



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肺動脈絞扼術後のICUでの経過を振り返ると、

術後1日目 筋弛緩薬外す 眠った状態
術後2日目 鎮静剤で眠っている。ときどきぴくっと動く反応あり。
術後3日目 目を覚ます(術後2日目だったかも、、。記録が曖昧、、。)
術後5日目 人工呼吸器抜管。鼻からの高濃度酸素(ネーザルハイフロー)に切り替え。心不全症状あり。
術後6日目 心不全症状が続いているため、鎮静のためにケタラール投与開始
術後8日目 抱っこができるようになる
術後10日目 ケタラール投与停止
術後12日目 術後初めてママの手で身体拭きとベット上でのシャンプー

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この間、バンディング術前には一度閉じていた動脈管が開いてしまい、自発呼吸の負担にプラスされ、心臓に負担がかかっている状態。心不全があり回復が遅れていました。

出生後、日に日に肺血管抵抗は低下していくので、肺への血流がまた増えていく様子もみられていて、先生方で次の治療方針をどうするか話し合いがされていたそうです。

このまま根治術に踏み切ってよいのではないか、という意見や、もう一度肺動脈絞扼術をして体重を増えるのを待ったほうがいい、という意見などがあったそうです。




術後痩せてしまったわが子、
ムチムチボディにはまだまだ程遠い、
よれよれの皮膚を恐々と拭きました。

鼻からの経管栄養のムスコに対してしてあげられることが限られている中、身体拭きも数少ないスキンシップの機会で嬉しかったです。


帝王切開での出産だったので、生後3日目の手術の前は立ち上がるのも辛い時期があり、一つフロアが下のNICUにいるムスコに頻繁には会いには行けませんでした。

体調の許す範囲で会いに行き、抱っこをし、一度だけ直母にトライもできました。生後1日目にはきょうだい面会で、上のムスメもムスコとご対面。とてもとてもとても嬉しそうだったのが印象的です!



過去のことを振り返った記事です。

妊娠16週で先天性心疾患が指摘され、18週で羊水検査を受けました。

検査結果を待っている間、赤ちゃんをどこの病院で出産するべきか考えました。

もともと里帰り出産希望だったのですが、重めの心疾患がありそうなので、手術実績がある程度ある病院でないと難しそうだな、、と思い居住地域にあるこども病院を選択肢に入れはじめました。

年間の心臓手術数は300以上で、このエリアでは一番実績のあるこども病院。幸いにも自宅から1時間以内くらいで行ける場所にあり、やはりそこでの出産が現実的でベストな選択と考え、まずは一度外来受診することにしました。


受診前に、胎児に総動脈幹遺症が疑われ、染色体異常(キャッチ22)の可能性も指摘されていること、そのため羊水検査を行いその結果待ちであること、もし染色体異常があった場合のことを考え不安に過ごしていることを伝えると、急ぎ羊水検査の結果が出る前の妊娠19週に一度診てもらえることになりました。

産科の先生、胎児心エコーの専門の先生(小児循環器科)のお二人に診て頂き出た診断が、


両大血管右室起始症



妊娠18週で受けた羊水検査の際に、里帰り先の病院で診てもらったエコーで、総動脈幹症ではなく、大動脈と肺動脈はきちんと二本に分かれているが、二つとも右心室から出ているように見える、、と言われていたので、ある程度の予備知識があり驚きはしませんでした。

総動脈幹症の場合は染色体異常の可能性があるけど、両大血管右室起始症の場合はある特定の染色体異常と関係があるわけではないことを知っていたので、むしろ少し安心した(言葉に語弊があるかもしれませんが)くらいでした。


両大血管右室起始症もいくつかパターンがある中で、お腹の子の場合は肺動脈弁下型で大動脈と肺動脈の場所が反対になっている大血管転移のパターンでした。心室中隔に穴も空いており、大動脈縮窄も疑われるとのことでした。

治療としては、出生直後は動脈管を閉じないようにする薬を使い、生後数日でまずは姑息術として肺動脈絞扼術をして、その後体重を増やしてから数ヶ月以内に根治手術としてスイッチ術(ジャテー術)を行う、という説明をうけました。


肺動脈と大動脈を入れ替える、、、
そんなことが出来るんだ!?!?

と手術の内容には驚き。


手術成功率は85〜90%くらいという説明を受け、決して死亡率は低くはありませんが、重度の心臓病を悲観していた主人にとっては「9割は助かるんだ」と前向きになれる情報だったようでした。


私にとっては、キャッチ22の染色体異常がある場合のことをとても不安に思っていた(というのも、この染色体異常だったらこうだ、と決まった型がある訳ではなく、人によって症状の出方が幅広いようで、具体的にこうなる、というイメージが持てておらず、また実際にキャッチ22の方の情報がほとんど得られていなかったから)ので、その可能性が少し下がるような診断結果で、出産に向けて自分の背中を押してもらったような気持ちでした。


誤解のないように、、
里帰り先の病院で総動脈幹遺残症の可能性が指摘されたのは妊娠17週の頃で、今回のこども病院はそれから2週間経って心臓の構造がより詳細に見えるようになっての診断でした。

里帰り先の病院もエコーによる胎児ドックが非常に有名な病院で、他府県からも患者さんがそのためにやってくるような病院です。

妊娠16週というかなり早い段階で心臓の構造異常を見つけて頂けたのは、やはりその病院の先生のエコーの能力によるところも大きかったと思います。

今回の妊娠での反省点は、その妊娠16週で里帰り先の病院にかかる前は、どうせそこでは出産しないのだから、と、家の近所の小さな産院にかかっていましたが、
そこでのエコーは、赤ちゃんが大きくなっていることを確認するのみで、1分未満でささっと終わってしまっていました。


こんな短かくて大丈夫、、?と思っていましたが、やはり妊娠初期の頃の一定の時期にしか評価できない頸部浮腫(NT)は確認してくれていなかったようです、、、。

第一子の妊娠時は双子でずっと大きな病院にかかっていたので、当たり前に頸部浮腫も含めて念入りにエコーしてもらったいたので、NTはこちらが求めずともどの病院でもチェックしてもらえているものと思ってしまっていた自分の考えの甘さでした。

実際はNTの評価はとても難しいので、正確にみるにはそれ相応の先生がみないと出来ないそうで、

染色体異常とかそういったことを気にするのであれば、妊娠初期からそれ相応の病院できちんとしてみてもらうべきだったなと思いました。