『路上のうた ホームレス川柳』ビッグイシュー日本編集部〔編〕700円 (税込)という川柳集がある。

   
   文庫本サイズ


 陽だまりは ホームレスにも 暖かい

 百円が あれば安心 2~3日

 春の夜は 同じ寝床の 猫元気


 福岡で、雑誌『ビッグイシュー日本版』を販売している髭戸太さんが、川柳をつくって毎号の雑誌と一緒に配っていたが、髭戸さんとホームレスの友人、大濠藤太、沢野健草、麺好司、村中小僧、山本一郎の六人が互いに切磋琢磨しながら、路上での生活を川柳にし、書きためていたものを本にしたもので。本代の半分が販売者の収入になるとか。

 山頭火の句に、人の孤独や短い言葉の向うに浮かぶ風景を、すごいなぁと読んだこともあるが。川柳という軽さがなんともいい。書きかけの江戸物も川柳の仲間が活躍する話だが放置中で、近くにビッグイシューの販売している人を見かけないんで紹介だけでも。

 食べ物の賞味期限は舌に聞け

 冬公園壁はなくても一人部屋

 お正月餅もらえどもコンロなし

 公園の闇夜で一人忘年会

 パンの耳鳩にやるなら俺にくれ

アルミ缶昔はすてた今拾う

アルミ缶空を集めて中身買う

プレゼント応募したいが住所なし

空腹でなにもないけど友が居て

 くすっとしながらしみじみしてしまう。前に「路上文学賞」というのも紹介したんだけど。作家の星野智幸氏とホームレスを撮り続けている写真家の高松英昭氏が2010年の春に創設したのね。それもとても身近で、本音がきらり輝いているような作品ばかりだった。

 けれんみが無いというか、媚びない素朴な言葉がすうと入ってくる清しい風のようでね。それで一句・・・だめだ才能ないわぁ。

 切なくて やがておかしき 野川柳