年末の挨拶してからまた普通に書いちゃいますの。
スペインに行った頃はバスが楽しくって、
移動にはよく乗ったんですの。
バスに大人しく乗ってなんか居られないラテン人ですから、見知らぬ人達なのにお喋りで煩いくらいなのね。
ゴヤ通りの角のチャオって店に行くんだけど、
一番近くの停留所は何処かしら。
おばさんが言うと、
あそこはセルバンテス通りで降りた方が早いんじゃない。座ってるお婆さんが答える。
いやいや、コロンブス広場のが近いんだよと、
立ってるハンチングの伯父さんが口を挟む。
チャオは先週からバーゲンしてるのよね。
あそこはテーブルクロスが可愛いのがあるのよ。
あたしも先週あそこでテーブルマットと蝋燭建て買ったのよ~カステジャーナ通りより、ゴヤ通りのが品揃えがいいのよね。
俺さ、広場で降りるからチャオの場所まで行ってあげるよ。リュックの大学生もにこにこ声をかける。
もうわいわい喋るの。
日本では余り見られない光景なので、
スペイン語の勉強にもなるし街の情報も聞けるから、
耳を欹てて会話を楽しんだのね。
一度なんか大通りで信号待ちで止まった時に、
バスの横に灰色のバンが入ってきて並んで止まったの。
運転手がいきなりサイドブレーキひいて、
ドアを開くと降りて行っちゃうのよね。
隣のバンに向かって、
お前、ホセじゃないかっ、ホセだろうっ、
アンドレだよノビス村のアンドレだよ~っ、
うおっ、アンドレかぁアンドレなのかっ。
バンのおっさんも叫んだ。
おっさんは車から転げるように降りてくると、
腹の出た大柄の男達はひしと抱き合って、
背中をバンバン叩きながら懐かしんで泣いてるのよ。
バスの乗客達は、まぁ良かったわね~
幼馴染に会えたのね~
ほんと良かったなぁ、
俺も郷で畑やってる友達に会いたくなるなぁ。
そうよね~幼馴染って、
大きくなるとなかなか会えないけど、
あったら子供時代みたいに話せるものよね。
もらい泣きしてるおばさんもいたりで、
車が渋滞してるのに後ろの車の人も、
クラクションも鳴らさず笑って迂回してる。
誰か書くもの持ってないかぃ、
ボールペンあるよ、この紙をおつかいよっ、
二人はメモを交わして運転手はバスに戻って、
すまなかったね、ありがとう~
常客に頭を下げた。
いいのよっ、いいさ良かったなぁ、
常客達も嬉しそうに言い合うの。
あ~っ、この国の人達っていいなぁと、
思ったんだよね~
もし日本だったらどうだろうと考えたのよね。
ある午後、地下鉄に乗ろうと階段を降りていくと、
電車が止まっていて運転手が、
ボカデージョ食べて小さい皮袋から何か飲んでるの。
多分赤ワインだと思うんだけどね。
お婆さんが降りてきて開いてるドアから、乗ろうとしながら、ゆっくり召し上がれと、運転手に声を掛けたの。
中に座ってたおばさんも、
お昼もゆっくりとれなかったのね~気の毒にねぇ
にこにこと運転席の方を見て言うの。
時間通りに来ないバスや地下鉄は不便だけど、
こんな温もりが無くなって欲しくないよね。
今はスペインも変わってしまっているんだろうか。
先進国の仲間入りなんてしなくっていいから、
こんな国もあっていいのにと思う。
あるブロガーさんの記事を読んで思い出した、
街顔のお話でした~♪