すぺりおるくん、、
はい？
僕も君が好きなのかもしれない。
と、毎回告白して下さるけど、、
意味不明で面倒臭いのは
と、笑った。
球体思考、、球体思考、、
文子さんの誕生日である
今年の6月3日に
恋人の裕之さんが失踪。
すぺりおるくんに調べてもらった
裕之さんの身辺と僕の調査では、
失踪した裕之さんは
漁師仲間の人望も厚く
次期漁業組合長に決まっていた。
また、素潜りの名人で、
毎年地域での素潜り大会で
優勝する腕前。
裕之さんの父親も漁師。
母親は、漁港脇の
水産加工市場で働いている。
文子さんとの交際は、
狭い猟師町では周知の事実。
殆どの者が、
２人の交際を温かく見守り、
裕之さんの両親も、
２人の結婚を楽しみにしていた。
しかし、2人の交際を知り
大反対したのが
兄である松方社長。
実は、先代から受け継いだ
一族の歴史ある由緒正しきホテルの
経営実態は火の車。
そのホテルを買収。
そして、文子さんを妻にする条件で
松方社長に、
そのまま社長でいる権限を与えると
持ちかけている
隣り町ホテルの御曹司 及川。
文子さんが
裕之さんと恋仲だと知り、
烈火の如く怒り狂ったと言う。
たかが漁師が
文子さんを妻にだと！
断じて許さん！
漁業組合長であり、
腕聴きの漁師である渡は
松方社長の幼馴染。
文子さんを幼い頃から見初め
何時か妻にと思い続けていたのに
裕之さんに奪われた挙句、
漁業組合長と言う地位も
裕之さんに取り上げられると、
酒を呑んでは愚痴をこぼしている。
裕之さんの親友である北島。
演歌歌手を目指し、この猟師町を
出たいと考えていた。
何故なら自費で出したこの１曲を
文子さんが褒めてくれたから。
北島さん、素晴らしいわ！
歌手として成功して
故郷に戻り文子さんにプロポーズ
するつもりだったのに、、
と言う、三者三様の恨みが
裕之さんに向けられたとしたら、
やはり、失踪理由は、
嫉妬による殺人。
犯人はプロポーズしてきた3人
のうちの1人、或いは、、
オリエント急行殺人事件のように
全員が犯人と言う事も。
と、平面的に
推理して来た訳だが、、
すぺりおるくんが
教えてくれた球体思考。
メガネを顔から外さない
と言う事に着目するのではなく、
何故メガネを外すと駄目なのか、
に着目するとすれば、、
これを今回の裕之さん失踪事件に
照らし合わせてみると、
裕之さんを恨んでいたのは誰か？
に着目するのではなく、
裕之さん失踪事件の
恨み以外の理由について
着目するべきだと気がつき、、
そして、そこで思い浮かんだ
新たな視点からの推理。
やはりこれは文子さんに
確かめるしかないな。
ああ、またメガネが
落ちなければ良いんだが、、
しかし、もしもメガネが落ちても
すぺりおるくんが言ったように
球体思考で解決出来る筈だ。
そうだな、、
じゃ、メガネが外れたら、
文子さんを見ないようにするのは
どうだろう？
例えばこんな感じで、、
あ、、先生！
またメガネが落ちましたよ。
文子さん、申し訳ない。
僕はメガネが外れると
訳あって目を開けられないんです。
え？
そうなんですか？
済まないが、メガネを取って
僕にかけて下さいませんか？
はい、分かりました。
こんな事をお願いして
すみませんね。
いえ、そんな事、、
先生、睫毛が長くて
いらっしゃるんですね。
メガネをお掛けになっていた時は
気づかなかったわ。
睫毛、、
そうなんです。
子供の頃から長くて。
それに、なんて美しい横顔を
していらっしゃるの！
僕の横顔が？
はい。
もう少しお側で見ても
よろしいですか？
それは勿論。
ですが、先ほどから文子さんの
息遣いを間近に感じて、、
駄目です、、
僕はもう目を閉じていられません。
文子さん、、
僕は貴女が、、
先生、、
私も先生が、、
ああ、、やっぱり
この作戦は無しだな！
次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎
内容は全てフィクションです。
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