誰もはるちゃんの言葉を

真摯に受け止めなかった。


そうだったの、、


ああ、僕も最初は
信じられなかったから。


あの女は魔物よ!


色香にたらしこまれたら

動物に変えられてしまうわ。


動物に?変えられる?


そんな馬鹿な!


そんな風に

敵討ちを計画しては失敗して、、

何度も泣いたと聞いたよ。


何をやっても

所詮ヒヒの浅知恵ね、、


人だった時の私なら

きっともっと熟慮出来たのに!


ああ、ヒヒの頭じゃ

この程度が限界なのかしら?


そんな事を繰り返している間に、

瞬く間に日は過ぎて行き、、


そして、それから

400年余りの歳月が流れた

西暦2010年


僕は田鶴さんの屋敷で

はるちゃんと

巡り会う事になるんだ。


わ!何だ?

突然目の前に1匹のヒヒが

現れたかと思うと、、


私はひひまにあ。

あだ名は、はるちゃんよ!


そうか、そうだったわね。


だけど、約400年余りって、、


私がはるちゃんと出会った時、

はるちゃんは既に400歳以上

だったって事なのね!


魔力で歳は取らない身体に

なったとは言え、

そう言う事になるな。


400年も生きるって

どんな感覚かしら?


まさに歴史の生き証人よね!

何だかワクワクして来ちゃった!


はるちゃんと一緒に居た時に
そんな話を
もっと聞けば良かったわ!


SAKURAらしいな。


だけど僕は、初めて 
はるちゃんと出会ってから、


結局、10年近く一緒に
暮らしたようなものだけど、
1度もそんな気持ちには
なれなかったよ。


僕は田鶴さんに夢中だったから。
そう、あの人を
亡くした後もずっと。


実は、出会った時
僕の事をどう思っていたか、
田鶴さんに聞いたんだ。


田鶴さんの気持ちを聞いて

改めて涙が出たよ。


その話はしてくれないの?


いや、、

SAKURAが聞いて楽しい話

じゃないと思うよ。


ううん、そんな事ない!

春馬さんが

夢中になった人の話だもの!

ちゃんと聞きたいわ!


聞いてどうするの?


聞いて、、聞いてそうね、、

SAKURAは少し考えると

こう言った。


田鶴さんの話を聞いて

生涯春馬さんを夢中にさせる

コツを掴みます!


何宣言だよ!全く!


良いから!

ほら、話して!


分かった!分かった!

じゃ、話すよ。


前に1度話したとおり、

当時僕は20歳の僧侶だった。


修行の為、各地を渡り歩いていて

そんな旅の途中、

僕は山中で遭難したと言う

ある時代劇役者と出会った。


その時代劇役者は、

その山で野外ロケの際、

美しい女を見かけて、、


あとは夢遊病のように、

その女を追いかけて山の奥深くへ

入ってしまったと。


気がつくと女の姿は消えており

自分も何処を歩いているのか

分からなくなり、、


彷徨った挙句、

やっと山から出て来た。

そう言ってね。

僕はその話の女にすっかり
魅了されてしまった。


今思えば、、

あの怪しい薬売りの話に

夢中になった直馬様と同じだな。


山の中の

そのような美しきおなごに

1度出会うてみたいものじゃ、、


僕は山に向かい、遂に

今は僕らが住む

この屋敷を見つけた。


きっとここが魔性の棲家だ!

僕は興奮と恐怖の両方で高まる

胸を抑えながら

その屋敷の玄関を開けて、、


ごめんください!

どなたかいらっしゃいませんか?


はぁい。

あら?

お坊様が何の御用です?


ここから、田鶴さんに聞いた

僕の印象を話すよ。  

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像をお借りしました🙏