そうじゃ!

この屋敷の者に香りの源について

尋ねてみよう!


もし!どなたか居らぬか?

すると屋敷の奥から、、


あら、旅のお方、、

どうなされました?


わしは旅の者ではない。

この辺りに漂う香りの源を

探しに来た者じゃ。


この良き香りの源を

ご存知なかろうか?


この香りがお分かりですのね?


ああ、勿論!

これ程の良き香りを

分からぬ者がおるわけはない。


それ程までに、この香りを

お気に召したのですね。


ああ、気に入った。


それでは、貴方様にだけに

特別にこの香りの源を

教えて差し上げます。


早う教えてくれ!


そうせっかちになさいますな。

時間はたんと御座います。


時間?


そうじゃ!

わしは井伊に帰り

はると祝言を、、


まぁ、どなたかと祝言を

お挙げになる方ですのね。


ああ、そうじゃ。


それでは仕方ない。

もう少し遊んでいたかったけれど、


お相手が貴方を探しに来る前に

早う変わって頂きましょう。


変わる?


いえ、それはこちらのこと。


それでは、香りの源を

しっかりお確かめ頂きましょう。


サタンの魔力により

生前の記憶を全て奪われ、


ただ男に復讐するだけの

魔物に変わった田鶴には、


大好きだった直親と瓜二つの

直馬の顔ですら、


ただの獲物としか映らない。


田鶴は、着物を脱ぎ捨てると

一糸纏わぬ姿になり

直馬の前に立った。



さあ、どうぞ。

香りの元は私。

たんとお確かめ下さいませ。


あ、、

直馬は、田鶴に抱きつくと

夢中で香りを嗅いだ。


何と良い匂いじゃ。

それに何と言う柔らかい肌じゃ。


そして、そのまま2人は

その場で直ぐ情を交わした。


これで気が済まれましたか?


いや、まだじゃ、、

まだ、、コケッ!


コケ、コケッコ!


ウフフ、、

おや?

お声をどうされたのです?

田鶴の声に青ざめる直馬。


コケ、、コケッ、、

その時だった。

直馬様〜!

はるが屋敷に飛び込んで来た。


良かった!

随分探したんですよ!


コケ、、コケッコ、、



直馬様、、

どうされたのです?


コケ、、コケッ、、


直馬様、、


ウフフ、、

この方はもう人間では

ありませんよ。


何ですって?

直馬様に何をしたのです!


あ!

貴女はあの時の!


私を知っているのですか?


ええ!
私のおっとうとおっかあを
何処にやったの?


貴女はあの時の子どもですね。


せっかくお前だけは 
助けてやったのに。


だから、

私のおっとうとおっかあを
何処にやったの?

ああ、うるさい!


お前のおっとうもおっかあも
こうして喰ってやったのさ!


はるが見ている前で

直馬はみるみる縮んで行き
1羽の雄鶏になった。


直馬様!


やはり貴女は魔物だったのですね!

直馬様は我が許嫁!

返して下され!


もうこうなっては返せませぬ。


さぁ!喰ってやろう!


田鶴は、雄鶏を掴むと

その口に放り込もうとした。


そんな!

止めて〜!

はるは田鶴に掴みかかったが、

田鶴に触れた瞬間に、


1頭のヒヒに変わった。


直馬様〜!


おや?話せるのだね。


やはり、おなごには魔力が

充分効かぬと見える。

田鶴ははるの目の前で

雄鶏になった直馬を食べ終わり、


お前も喰っても良いと思ったが

ヒヒは好まぬ。


何処へでも好きな所に

行くが良い。

ヒヒに変えられたはるは、

泣きながら屋敷を飛び出し

山へ走り込んだ。


直馬様、、

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像をお借りしました🙏