サタン?


はい。

異教徒の神だと

名乗っておりました。


そなたの願いを叶えて進ぜよう。

私をサタンと呼びにくければ

魔王と呼ぶが良い。


そのサタンとやらに、
そなたはおなごの天下
頼んだのじゃな。


はい、そうです。


それが田鶴を殺める事と
何の関係があるのじゃ?


それは、、
サタン様は元康様がこれから
日の本を束ねる天下人に
なられると。


その妻になり、元康様を
私の色香で籠絡すれば、
私が裏から元康様を操り
この世をおなごの天下に出来る。


そう聞いたのです。


そして、先の世の姿も

見せて頂きました。


先の世?
おなごの天下をか?


はい。


先の世ではおなごが男を選び、


男はおなごに仕えて暮らすのだと。


今度は男がおなごの道具に
なるのじゃ!


そのような
素晴らしき世でありました。


そうか、だから
わしを手に入れる為に
田鶴が邪魔だったのだな。


はい。


それではしの様は?
しの様はどうして殺めたのじゃ?


あの者は、嫉妬の余り
有りもしない田鶴様と直親様の
不義を私に申しつけました。


私は、これは田鶴様を元康様から
引き離す絶好の機会だと
喜びましたのに、、

全て戯言だ。
嫉妬に駆られて真ではなかった
などと申しましたので、、


家来に頼んで
斬り捨てさせたのか?


はい、左様で御座います。

私を失望させる者は
男でもおなごでも許さぬ!


それでは田鶴もそなたを

失望させたのであろうか?


わしが思うに、

田鶴はそなたを一目見れば

その美しさに憧れ、

賢さや物腰を真似ようと、

そなたを慕うたのではないかと

思うのじゃが、、


元康の言葉に瀬名は

田鶴の言葉を思い出した。


迫り来る山賊に、、

瀬名様に1歩だって
近づけてなるもんか!

しの様!
瀬名様はそのような方ではないわ。
戦の中、わざわざ竹の、、


瀬名様!

どうか逃げて、、
そして、亡き後も、、

瀬名様、、良かった!

大丈夫だったんだね。


瀬名様は綺麗で優しい方。

私も何時か瀬名様のような

おなごになって、

竹を喜ばせたい。   


瀬名様は私の憧れ、、

みんな瀬名様の事を悪く言うけど

私は瀬名様が大好き。

これからもずっと!


瀬名様!

また、色々教えてね!

田鶴の笑顔を思い出し
瀬名は涙ぐんだ。


本当に、、元康様が

仰る通りで御座いました。


私の企みにも全く気付かず

最期まで私を庇い、、

馬鹿がつくくらいの

正直者でいらして、、


あんなに純真で可愛らしい方を

私は自分の野望の為に

殺めたのです。

それは、

しの様に対しても同じ事。


座敷牢の中で、

何度も何度も自分を責めました。


これでは、おなごの天下を

作りたいと願うた私こそが、

おなごの敵ではないかと。


おなごはこれまでずっと

その命まで、男の野望の為に

使われて来たではないか。



私は、男達と同じ事を

してしまったのだと、、



気がついたのだな。


はい。

ですから、せめて死んで

お2人に詫びようと

自害を図ったのですが、、



死にきれずにこうしていると

言うわけじゃな。


はい。左様で御座います。



サタンは

そなたを助けに来ぬのか?


はい。

田鶴様の善なる心に触れて

涙にくれておりましたら、

どうも見限られてしもうたようで

御座います。



大罪を犯した私は、

神からも見限られておる筈。


生きるも死ぬも決まらずに

1人で此処に居りますのが

似合いでありましょう。



瀬名様、、

そなたの話を聞いても

わしはそなたを

到底許す事は出来ぬ。


だから、やはりその首を

冥土の土産に頂いて参ろう。

首をこちらへ。


元康は刀を構えた。

しかし瀬名は元康の言葉に

全く臆する様子もなく、


それはよう御座いました。

元康様の手にかかり、この命を

絶って頂ければ本望に御座います。


田鶴様の仇と思うて遠慮のう

この首をザクリとお斬り下され。

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像をお借りしました🙏