松平元康、

約束を果たしに参った。


この者達に加勢致す!


元康様!


そして、乱闘が再び

繰り広げられた。


その最中、蒼を狙った火縄銃から

1発の弾丸が。


その弾丸は、蒼を庇った

元康の胸に命中した。


(わしは、、こんな事で死ねぬ。)


(わしは、戦の無い泰平の世を作りたいのじゃ。)


元康は薄れゆく意識の中で

蒼に語った

自分の夢を思い出していた。


皆は無茶だと笑うが、

わしはな、戦の無い泰平の世を

作りたいのじゃ。


どんな人間も

笑って暮らせるような世をな!


どうしてそんなに

本気で生きられるんだよ!


それが運命だと信じておる!

信じねば道は拓けん!


同時に蒼は

元康の言葉を思い出していた。


わしには分かる。

周りを照らし導く光が

お主の中に宿っておる。


よく考えろ。

お主が何を信じて光となるか。


俺は、俺は仲間を救い出したい!


ならば、その道を進め!

仲間と共に!


元康は最期の力を振り絞り

持っていた総大将の証である

陣太刀を蒼に差し出した。


あ、、、


頼むぞ、、蒼。


思わず陣太刀を受け取る蒼。

それを確認した元康は

穏やかな表情で静かに目を閉じた。

(田鶴、、)


(許せ、、、)


松平元康、死す。


ちょっと待ってよ!

あんたは死んじゃいけないんだよ!


元康様〜!


そこの、、蒼とやら

此方へ参れ!


そして、元康の魂は

井伊の田鶴の元へ向かった。


誰か居らぬか、、


元康様?

元康様では御座いませぬか!

何時お越しになったのです?


ああ、先ほど、、


当主井伊直盛が亡くなり、

家中もバタバタしておりまして。

お越しに気づくのが遅れ、

かたじけない。


元康様はご無事で

何よりで御座いました。


戦(いくさ)をしていて

直ぐこちらに参った。


戦(いくさ)帰りでしたか。

それはお疲れで御座いましょう。

それでそのように

お顔の色が悪いのですね。


ああ、そうかもしれぬ。

田鶴は?

田鶴は何処じゃ?



田鶴、、田鶴は、、

そこへおとわが現れた。


元康様!

おとわは、元康を一目見るなり

泣き出した。


どうしたのじゃ?

おとわ。


亀、、元康様は

もうこの世の者では無い。


え?


元康様、、

この世を去られる前に

田鶴に会いに来られたのですね。


いかにも。


元康様、、

田鶴はもう此処にはおりません。


何と申した?


田鶴は、、

おとわは田鶴の死について

元康に一部始終を打ち明けた。


最期まで瀬名を疑う事なく、

元康様に護符を届けに行く一心で

山道を急ぎ、山賊紛いの男達に

襲われ絶命致しました。


何じゃと!

その男達を断じて許すまじ。

成敗してくれるわ!


そして、瀬名様は何処じゃ?

此処に居るのか?


はい。

元康様の前に引っ立てようと

座敷牢に入れておきました所

自害を図り、、


一命は取り留めたものの

目を覚まさぬので御座います。


そうか、、

では、わしが見て来よう。


元康様、、

お気持ちは十分に分かりますが

お怒りをお鎮め下さい。


でないと、このまま貴方様まで

怨霊になってしまいます。


わしまでとは?

田鶴が怨霊になったと申すのか?

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像をお借りしました🙏