アハハハ!

大丈夫じゃ!

焦らず馴染んで行けば良い。


ありがとう!

私、2人が大好き!

そして翌日から田鶴の
武家の妻に必要な作法の特訓が
始まった。

まず言葉使いを
何とかしなくてはの。


うん、、あ、はい。


普通に話してみよ。
直してやるから。


ええと、、この井伊は
私が住んでいた村に似てるわ。


ええと、は余計じゃ。


この井伊は、私が住もうていた

村によく似ております。
さ、同じように話してみよ。


あ、はい。


この井伊は、私が住もうていた
村によく似ております。


そうじゃ。
他には?


井伊の人はみんな親切。
だから、どうか私の事を
心配しないでね。


井伊の者は
皆親切にして下さる。
よって、どうか我が身を
案じなさいますな。
これは誰に申しておるのじゃ?


あ、これは、、
駿府の今川様の所に居る
元康様に。


我が空よ、

涯なる先に、、

田鶴は懐から1枚の短冊
取り出しおとわに見せると、
元康と離れた日の事を
思い浮かべて涙ぐんだ。

我が空よ
涯てなる先に離れつも
愛しき想い通わせたまへ


田鶴、これは

わしが詠んだ和歌じゃ。

わしの願いが込められておる。

読めぬでも、これをわしじゃと

思って持っておれ。


この空を見よ。 

離れていても空は1つじゃ。


わしは空を見上げるたびに
この空の向こうにいる
そなたを愛しく想う。


そなたもわしが恋しくば
空を見よ。


何処にいても空が
わしと田鶴を繋いでおるのじゃ。

それでは、しばらく会えぬが
達者で暮らせ。


竹、、元康様が、
離れていても
この空は1つだと言ったの。


一緒に居られなくても
この空が
私達を繋いでいるからって。


だから、今、元康様に
伝われば良いなと思って
空に話しかけたの。


そうか、そうであったか。


亀!


驚かせて済まぬ。

先程から聞いておったのだが
田鶴が不憫でならぬ。


何とか早く元康様と

会わせてやる事は出来ぬのか?


それは、、

戦乱の最中である事を
考えても無理であろう。


そうか、、

田鶴、そなたも辛いのう。


亀、、。

亀、、亀、、。

ますます田鶴が泣き出した。


そうか、またわしの顔を見て

元康様を思い出したのじゃな。


よしよし、大丈夫じゃ。

ここに田鶴が居る間

わしが元康様の代わりに

なってやろう。


元康様の代わりじゃと?

何を言い出すのじゃ!

お前はもうすぐ祝言ではないか!


ああ、あのしのとやらとの

気に沿わぬ祝言か!


おとわ、、

お前とめおとになれぬ

今となっては、

誰が嫁御であっても詮無い事!


その時おとわは、少し離れた

場所からこちらを驚愕の様相で

睨んでいるしのを見つけた。


亀!

しのに聞こえておるぞ!



そうか、別に構わん。
わしは田鶴の側に居てやりたい。


いや、しかし、、

許嫁を放り出して

そのような訳にも行くまい。


亀、、しのは

お前の未来の嫁御なのだぞ。

もっと大切にせぬか!


おとわ!

わしの祝言については、

おとわであっても問答無用じゃ!


おとわは田鶴の気持ちが

分からぬのか?


田鶴の気持ち、、


そうじゃ!

好いた者同士が離れ離れになり、、


お互いをどれだけ恋しいか、

おとわはもう

分からぬようになったのか?


亀、、


わしは、田鶴のその辛さを

田鶴の身を案じている元康様に

成り変わり、少しでも

和らげてやりたいと思う。


わしはその為に、田鶴の側に

居ると申しておるのじゃ。


田鶴、、そなたが晴れて

元康様と暮らせる日が来るまで、

わしが元康様の代わりに

そなたを守ろう。


だから、もう泣くな。


ありがとう、亀。


元康様を

呼んでおったのじゃったな。


では、わしの事もと呼んで

甘えるが良い。

ほら、呼んでみろ。


た、竹、、


どうした、田鶴?

田鶴の涙に濡れた瞳には、

目の前の直親が、

元康の姿に重なって見えた。


竹!


竹〜!

田鶴は、直親の身体に飛びつくと

その身体を抱きしめて号泣した。


よしよし、これからは

田鶴が寂しい時には何時でも

田鶴の竹なってやる。

直親も田鶴を優しく抱きしめた。

それを見たおとわは、


亀、、お前は田鶴を通して

私を抱きしめてくれておるのだな。


叶わなかった我らの想い、、

そうか、田鶴と元康様は

我らの現し身なのじゃな!

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像をお借りしました🙏