私のあしながおじさんは、

父上そして利助さんだったのね。


ただ、まだ若い貴女に

殺害された父上や母上の事。


孤児院に入れられた経緯などを

告げるのは酷であり、

時期尚早だと女将と話し合い


私が貴女を娶った後、

時期を見て、私から貴女に

今までの経緯を話す事に

なっていたのです。


ところが、何も事情を知らない

五代さんが、

貴女と出会ってしまった。


龍馬さんから貴女のことは

秘密裏にと言付かっていた女将は

焦って、五代さんを貴女から

遠ざけようとしましたが、、


梅子さんが

五代さんと知り合ったのは

やはり、龍馬さんが結んだ

ご縁だったのでしょう。


そうだったんだ。


女将も貴女の幸せを願うばかりに

貴女に強引な物言いを

してばかりだった。

謝りたいと言っていましたよ。


おばさん、、


梅子さん、

一緒に幸せになりましょう。


今までの分も。

そして、お父上お母上の分も。


利助さん、、


急にいろんな話を聞いて、

混乱されている事でしょう。

送って行きますから、

今日はひとまずお家に戻られては。


はい。

そうします。


利助は、五代の家まで 

梅子を送ると、、


梅子さん!

また近々梅子さんが気に入った

牛鍋の店に食事に行きましょう。

話の続きはまたその時に。 


はい。

利助さん、今日は本当に、、

いえ、今日までずっと

ありがとうございます。


お礼なんて言わないで下さい。

私は愛する人の役に立てるのが

うれしいのです。

利助は笑顔で帰って行った。


お嬢様!

お帰りなさいませ。


あら?

あの方は旦那様のご友人で

確か、、


悦子さん、、

気分が悪いから

女学校を早退して来たの。


ま!それは大変!

お熱は?

何かお持ちしましょうか?


いいえ、大丈夫よ。

少し休めば落ち着くと思うわ。


それじゃ部屋で休むから、

しばらく声をかけないでね。


はい、分かりました。

梅子が自室へ向かうと

悦子は、、


あの年頃の娘が

気分が悪くなった?

何時も元気なお嬢様が?


まさか妊娠?


それを旦那様に

打ち明けられないから、

代わりに旦那様のご友人に

相談したのかしら?


え〜と、あの方、、

あの方、誰だっけ?


ああ、そうだ!

伊藤博文様!

何時も旦那様が利助と呼んで

おられる方だわ!


それにしても、、

妊娠⁈


だとしたら、状況的に

やっぱり旦那様の子よね!

これは凄いことよ!


やっぱりこんな事は

旦那様のお耳に

ちゃんと入れておかなくちゃ!


だってお腹の子の父親なんだから!


悦子は五代に電話をした。

もしもし悦子さん?

急ぎの用かな?

これから大切な会議が、、


旦那様、お忙しいところ

誠に申し訳御座いません。

実はお嬢様が、、


梅子がどうかしたのか?


ええ、先ほど女学校から

気分が悪いから早退したと

急に帰って来られまして、、


そのご様子がどうも

つわりなのではと、、


つわり⁈


はい。

おめでたなのでは、と。


おめでた?

梅子が妊娠?


はい。

左様で御座います。


そんな!

一体、誰の子なんだ?


旦那様のお子では?


悦子さん!

馬鹿な事を言わないでくれ!

俺は17も年上のあの子の養父だぞ!


え?旦那様の子ではない?

では、誰の?


俺の方こそ知りたいよ!

とにかく、

今日はなるべく早く帰る!


はい。お願いします。

電話を切った五代は、、


そんなまさか!

梅子が男と?

何処にそんな機会が遭る?


あ、遭った!


利助!


この前、活動写真を見て

牛鍋屋で食事をしたと。


牛鍋屋じゃなくて、本当は

連れ込み旅館だったとしたら!


利助!

お前は確かに梅子を妻にしたいと

常々言ってはいるが、、


それでも世間体もあるだろうに

嫁入り前の梅子に

なんて事をしてくれたんだ!!


五代は怒りで仕事が手につかず

結局、自身も早退して

自宅に戻った。

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏