お願い!

私を何処にもやらないで!


分かった。分かった。

心配するな。


俺の好きな女はあの世だ。

そして、誰かと結婚するとしても

梅子が嫁いでから。

そう決めておる。


あと、俺の好みの女は歳上の、、 

そうだな、、


女中の悦子さんみたいな女だ。


女中の悦子さん、、


父上、悦子さんは70過ぎよ。

気は確かなの?


ああ、確かだ。

歳下の女はどうも幼稚でつまらん。


でも、父上の愛した人は

父上より歳下なんでしょ?


何故それを知っている?


おばさんに聞いたの。

五代さんは昔、自分の知り合いと

お付き合いしていたって。


ああ、そうか。

だから、、そう、だからだ!

歳下と付き合うのは、

もうこりごりしたんだよ。


女は歳上に限る!

そうなの、、


これで、梅子の話は終わりか?


ええ、そう。

父上の話は?

梅子に自分を諦めさせる為に、

ワザと歳上好みと伝えた結果、


自分の胸の中で涙ぐんで

あからさまに落胆している梅子が

いじらしくなった五代は、、


夜風が冷えて来たな。

俺の話はまた今度で良い。

さ、部屋の中に戻ろう。


と、自分にしがみつく梅子の

背中を優しくさすった。

すると、、


だったら、私、、もう少し

このままお月様を見ていたいわ。


寒くないのか?


ええ。

父上の胸は温かいもの。


そうか。

そう言って自分の胸に頬を寄せる

梅子を胸に抱き、途方に暮れた

五代は心の中で龍馬に語りかけた。


お前の娘を傷つけたくない。

しかし、どうすれば良いんだ?


どうすればやない。


どうすればじゃない?


わしの娘は、おまんが

心配するような娘やない。


え?

じゃ、どうしろと言うんだ?


正々堂々じゃ!

どんな時も正々堂々やき!


正々堂々、、



父上?


梅子ちゃ、梅子、、

この父の事が好きか?


はい、父上!

梅子が嬉しそうに叫んだ。


そうか。

なら、それで良い。


月が美しいな。


ええ、とっても。


2人は寄り添ったまま

美しい月を眺めていたが、、



梅子、、梅子ちゃん?

気がつくと軽い寝息を立てて

梅子は五代の胸の中で眠っていた。


こんなあどけない顔で、、

眠ってしまうとまだ子供だな。


梅子を部屋に運び、

寝かせて戻って来た五代は、

月を見ながら、再び

心の中の龍馬に語りかけた。



龍馬、、

お前が生きてさえいれば

あの子は救われ、

俺もどれだけ嬉しかったか。


無理を言うな、無理を!

じゃが、わしは何も心配しとらん。


わしが死んでも、

この世は動いちゅう。


この世は常に

動いちゅうんじゃ!


この世は常に、、


そうじゃ。

おまんやわしが

動かしてるんやない。

もっと大きな力が働いておる。


素直に流れに身を任せてみい。


行き先は着いたら分かる。

それが己が運命(さだめ)と

言うものよ。


そうか、、

素直に流れに、、


だったら、お前の娘は

もう素直に流れに乗っておる。


しかし、俺は、、

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏