しかし、あの子は幼い頃から

気がついていたんだな。


自分に向けられた誰かの優しさを。


それが、父からの愛情だとも

知らずに。


そうだ、この本を
早く元に戻しておかないと!


五代は、本に紙をもう1度挟むと

梅子の部屋の机の上に戻した。

そこへ、、


父上〜!

ただいま〜!


ああ梅子、お帰り!


五代さん、遅くなりました。


利助、今日は梅子をありがとう。


梅子、活動写真は楽しかったか?


ええ、とても。

それに利助さんが、

とても美味しい牛鍋のお店に

連れて行って下さって、、


利助さん、本当にありがとう!


また、何時でも連れて行って

あげますよ。


わぁ、嬉しい!


今度は父上も一緒に行きましょ!


え?


ああ、まぁ、、そうだな。


それでは、私はこれで。


ああ、気をつけてな。


利助さん、またね!

利助が帰宅後、、


利助は良い奴だろう?

また、いくらでも何処かへ

連れて行って貰いなさい。


ええ、まぁ、、


どうしたんだ?

本当は楽しくなかったのか?


ううん、、

そう言う訳じゃ、、


利助さんは良い人よ。

でも、、


梅子、話がある。


はい!
じゃ、その前に着替えて来ます。


私も父上に聞きたい事があるの。

待っててね!


そして、着替えを済ませた

梅子が部屋から戻って来た。

父上、、

今夜は良いお月様よ!


一緒に月を見ながら

話しましょうよ!


そうだな。

で、お前の聞きたい事って何だ?


そんなに急がない!

本当に父上は情緒ってものが

無いんだから!


いや、そうか?
それは済まん。


それより父上の話は?


いや、お前からで良い。


そう?

じゃ、今から質問する事に

答えて下さい。


父上はどんな女性がお好みですか?


なんだ?藪から棒に!


良いから!良いから!

答えてよ!


そんなもの、、答えられん。


え〜!どうして?

じゃ、これは?


父上は今、お付き合いしている

女性が居ますか?


もし居たら、その方と結婚する

予定はありますか?


ね、どうなの?


さっきから何だ!

そんな質問に答えられるか。


じゃ、居るんだ!


だったら私、父上が結婚したら

此処を追い出されるの?

梅子は子供のように泣き出した。


何を泣いてるんだ。

君、、いや、お前の方が先に、、


え?

何が先ですって?


いや、だから!

世間的に考えても、、


俺みたいな男より、

年頃の梅子ちゃ、梅子の方が

先に結婚するだろうと言う事だ。

(この時代の意識として)


私、結婚なんかしないわ!

結婚なんかしないで、

ずっと五代、、父上の側に居る!


それは、、

梅子が五代の胸に飛び込んで来た。


お願い!

私を何処にもやらないで!

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏