じゃ、お前の仕事が終わったら

梅子を迎えに来てやってくれ。


はい、分かりました。


梅子、食事にも行くんだから

ちゃんと身支度をして、、

この前、買ってやった洋装は

どうかな?


ほら、この前着ていた↓


よく似合っていたぞ!


父上!

私は子供じゃないんだから

着るものくらい

ちゃんと自分で選びます。


そうか、綺麗にして行けよ。


もう!

父上ったら!


じゃ、利助、

梅子をよろしく頼む。


梅子、ちゃんと

利助の言う事を聞くんだぞ。


だ・か・ら!

もう子供じゃないの!

もうすぐ18歳の立派な淑女よ!

(この時代的に)


アハハハ!

そうだったな、済まん。


それでは、梅子さん。

今宵また。


五代さん、

朝からお騒がせしました。

失礼します。


口元を喜びで綻ばせる利助に、

五代は目配せをして、

その姿を見送った。


そして、その日の夕方、

活動写真を見終わった2人。

(活動写真作品イメージ)


活動写真、

とっても楽しかったわ!

(パンフレットを眺めているイメージ)


それは良かった!

さ、ソフトクリーム以外にも

食べたいものは?

何でもご馳走しましょう。


うん、そうね!

じゃ、牛鍋!


よし!

とびきり美味しい牛鍋を

ご馳走しますよ!

2人は夕食を食べに出かけた

その頃、、


今夜は仕事で遅くなると

梅子に嘘をついた五代だったが

早々に自宅に戻っていた。


悦子さん、

梅子ちゃんが居ないと

家の中も静かなもんだな。

思わず、通いの女中に

声をかける五代。


そうでございますわねぇ。

旦那様、お嬢様がお留守で

お寂しいんですね。


いや、寂しいだなんてそんな、、

今頃、利助と楽しくやって

くれていたら良いなと、、


ただ、それだけだよ!


そうで御座いますか。

それは余計な事を申し上げました。


ところで旦那様、、

先程、お嬢様の部屋の掃除を

していた時に、うっかり

机の端に置いてあった

ご本を落としてしまいまして。



もう1度机の上に戻そうとしたら、

本の中からこんな紙切れが、、


紙切れ?


はい。

多分、恋文か日記の下書きの

ようなのですが、、

それがその、、その、、


何だ、悦子さん!

さっきから歯切れが悪いな!


ほら、その本をこちらへ!


は、はい。



悦子は、紙切れを挟んだままの本を

五代に手渡した。



あしながおじさん?


最近日本に入って来たばかりの

舶来の物語ですよ。

女学生に人気だとか、、

(本当は大正時代の発行です😅)


ああ、そうなのか、、


本に挟んである

紙きれを広げてみると、

梅子の字で熱い想いが

したためられていた。

(紙切れのイメージ)

大好きな大好きな

私のあしながおじさんへ。


私の事を子供の頃から見守り、

何時も贈り物を下さり

本当にありがとう。


私はもう、貴方が誰だか

気がついています。


背の高いハンサムさん。

私の大好きな人。


五代友厚様

貴方が私のあしながおじさん

だったのね。

〜〜〜〜〜

あ、いや、これは!


そうなんですの。

お嬢様は、旦那様に

恋をしているんで御座います。


ですがこの先、伊藤様と

ご縁談の予定ですわよね?


悦子さん、それを何処で?


それは、、

先日まだお嬢様が

お帰りになっていない時分に、


ま、お2人で賑やかな事、、

旦那様と伊藤様が

書斎でお話なさっているのが

廊下まで丸聞こえで、、


え?

伊藤様とお嬢様が!


来年ご結婚の予定?

まぁ!おめでたい事!


ま!お嬢様には秘密?

それはどう言う事なの?


何か裏がありそうね、、


そう思っていたんで御座います。


そしたら、

当のお嬢様のこの恋文!

旦那様、どうされますの?


どうされますの?って、何が?

悦子さん、今日はもう帰って良い。


はい、分かりました。

どうぞ、お間違いの

御座いませんように。

そして、悦子が帰り、、


五代は、本を片手に

途方にくれていた。


一体どうしたら良いんだ。


梅子ちゃんを幼い頃から見守り、

贈り物をしていたのは龍馬、

父であるお前だ。


そして、、

それを引き継いだのは利助。


俺はただ桜の木の下で

出会っただけなのに、、


五代さん〜♡


梅子ちゃん!


しかし、あの子は幼い頃から

気がついていたんだな。


自分に向けられた誰かの優しさを。


それが、父からの愛情だとも

知らずに。

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏