僕は君の王子様だから。
あの時、君が僕に声を
かけなかったら、、
〜あの時の回想〜
それは、今から3年前のある日
あの、すみません、、
はい?
通りかかった僕に
ジュンが声をかけて来た。
この辺りで、
お財布の入ったミニバッグを
(落としたミニバッグのイメージ)
落としちゃったみたい
なんですけど、
見てらっしゃいませんか?
はぁ、、
お財布?ミニバッグ?
いいえ、見てません。
こんな街中だ!
落としたと言うより
誰か悪い奴にスラれたんじゃ、、
スラれた?スリ?
君は僕の言葉を最後まで
聞かずに倒れそうになった。
咄嗟に抱き抱えて、、
ちょっと!
大丈夫ですか!
そしたら、
目に涙をいっぱい溜めて、
すみません。
お財布の他に、帰りの航空チケット
も入れていたので、、
航空チケット?
何処から来られたんですか?
大阪です。
昨日関空からpeachに乗って
初めて東京に来ました。
お1人で?
はい。
永遠のゼロと言う映画を見て
感動して、是非
靖国神社に参拝したいと思って
来たんですが、、
今から参拝される予定
だったのかな?
はい。
今から参拝して、今夜の便で
大阪に帰る予定だったんです。
そうなんだ。
とにかく警察に行きましょう。
すみません。
警察はどっちの方か
教えて頂けませんか?
スマホも、さっきのその
ミニバッグに入れていて、、
スマホも無いんですか?
それは大変だ!
良いですよ。
僕が警察まで案内しましょう。
初めての東京なんでしょ。
今度は迷子になったら大変だから。
ありがとうございます。
東京の方は親切なんですね。
いや、みんながって言う訳じゃ
ないですよ。
じゃ、貴方が
親切な方なんですね。
本当に
ありがとうございます!
こうして僕達は結婚した。
だから、僕はジュンの王子様。
たとえ身体が無くなっても。
う〜ん!
その時ジュンが、
布団を蹴飛ばしながら
盛大に寝返りを打った。
僕が王子様なら、
君はお姫様。
僕の可愛いお転婆姫。
さ、ジュンが寝冷えしないように
朝までもう少し重なっていようか。
春馬はジュンに重なると、
眠っているジュンの頭を
生前と同じように撫でた。
(イメージ)
だが、春馬の手はジュンの
髪の毛を素通りする。
ジュン、
また何時か君のこの柔らかい
髪の毛を撫でられるように
僕はこれからも訓練を頑張るよ。