〜ナレーション〜

ちび春を再び布団に運んだ春馬。


布団に寝かせても起きなかったよ。


良かった!

今度は朝までぐっすり眠りそうね。


だけど、僕が居なくなる夢を

見るなんて、、


きっと、まだこの現状をちゃんと

受け入れられて居ないんだわ。


だって、まだ
たった7歳なんだもの。


今まで寂しかった自分に、

お父さんが出来た。

それも、自分を物凄く大切に

してくれるお父さんが。


まるで夢みたいだ!


そう感じたちび春くんの気持ち

が、今日のように夢に反映して


そうだ、これは夢だ。


全部夢なんだ!


僕にはお父さんなんか居ない。


こうなっても当然だと思うの。


なるほど、、確かに

言われてみればそうかも!


だけど、はるちゃんは

良く分かったね?


それは、、

マッチ売りの少女

同じだと思ったから。


マッチ売りの少女?


ええ。

お話を思い出してみて。


寒さの余り、少女は

売れないマッチを擦るでしょ。



マッチの炎の中には、


立派なクリスマスツリーや、


暖かそうなお部屋に

美味しそうなお料理。


だけど、

マッチが消えると同時に

全て消えてしまって、、


自分の前には

ただの寒々とした街角が

広がるばかり。


少女は思った筈よ。

さっきまでの幸せな光景は

このマッチが見せた


夢だからいつかは終わる。

終わってしまう。


だから、最後のマッチを擦って

その炎の中に大好きなお婆さん

を見た時、叫んだのよ。


売り物のマッチを使ったら

父親にきつく叱られる。

それを分かっていても、

残りのマッチを全部擦って

叫んだの。


おばあちゃん消えないで!


私も一緒に連れて行って!


それは、

これが夢なら覚めないで!

そんな心の叫びよね。


夢なら覚めないで!

何時迄も覚めないで!


さっき、寝ていたちび春くんが

急に起きて泣き出したのは、、


このマッチ売りの少女のように

叫んだからじゃないかと思って。


マッチ売りの少女が

辛い現実世界の中で、

大好きなおばあちゃんに会えた

と言う幸せな夢を見て、、

この夢は覚めないで!

と言う気持ちで

おばあちゃん!

私も連れて行って!

と叫んだように、、


反対に悪夢の中のちび春くんは、

これは夢だ!

早く醒めろ!

そんな気持ちで

叫んだんじゃないかしら。


そうだ、これは夢だ。


全部夢なんだ!


僕にはお父さんなんか居ない。


今日から君はお父さんの小さいの。
ちび春だよ!


ちび春!おいで!


お父さんの小さいの。

僕はちび春、、


やっぱり僕にはお父さんが居る。


僕にはお父さんが居る

居るんだ!


お父さんが居ないなんて

こんなの

全部違う!


お父さん!


そうして、ちび春くんは

自分の力で悪夢から目覚めて

現実の世界で、父親である

王子に抱きついたのよ。


〜ナレーション〜

2人はちび春の寝顔を見た。


はるちゃん、、

ちび春は、悪夢の中でもちゃんと

父親の僕を思い出したんだな。


これからも、まだ何度か

同じ事があるかもしれないわね。


ちび春くんが、

悪夢にうなされて飛び起きる事が。


だけどそれは、ちび春くんが

この幸せな現実

受け入れる為の作業。


まだ短い期間だけど、

ちび春くんの心には

大好きなお父さんとしての

王子がもうしっかり存在するのね。


はるちゃん、

僕、泣きそうだよ。


泣いて良いわよ。

今は、お父さんじゃなくて

私の可愛い年下の彼でしょ?


可愛い⁈


言ったな〜!

はるちゃん!


だったら、

僕が可愛いだけの男かどうか

今から証明してあげるよ!


泣きそうになってたんじゃ

なかったの?


全然!


次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏