そして、その頃悦子は、、


何となくまた来ちゃった!


やっぱり、、



藤木さん!


ああ、綾瀬くんのお母さん!


今日もまた、ご主人の気持ちを

理解しに来られたんですか?


いえ、今日は

藤木さんに会いに来ました。


え?僕に?


はい。こんな事、、

年甲斐もなく馬鹿みたいですけど、


藤木さんと居ると、あの頃の

自分に戻れるような気がして、、


あの頃の自分?


ええ、、


愛だの恋だのの煩わしさを

知る前の私。


純粋に毎日を楽しんでいた私に

戻れる。

そんな気がするんです。


ごめんなさい。

おかしな事を言って、、


ご主人については、、


あの人、、

何を考えているかも分からない。


すっかり疲れてしまって、、


純粋にあの人を好きだった自分を

もう思い出せないの。


そうなんですね、、


僕はその反対かな?


え?反対って?


純粋に、かつて愛した人が

今も忘れられない。


まぁ、藤木さんにはそんな方が

いらっしゃるのね。


ええ、彼女はかつて

この店のバーテンダーだった。


僕はこの店に通っているうちに

彼女の事がどんどん好きになり、、


でも、想いは届きませんでした。


どうして?

藤木さんは、こんなに素敵な男性で

いらっしゃるのに?


いや、僕は

素敵でも何でもないですよ。


ただの腰抜けです。


藤木さん、、


あの、、

失礼でなければ

聞かせて下さいませんか?

その彼女のこと。


ああ、別に構いませんよ。

つまらない話ですが。

〜ナレーション〜

そう前置きして藤木は語り始めた。


それは、今から4年前の事です。


以前勤めていた会社の同僚に

この店に連れて来られた僕に、、

〜回想シーン〜

いや、カクテルなんて、、

ビールで良いのに!


いらっしゃいませ。

カクテルはお嫌いですか?


は!いえ、そんな事は!

〜〜〜〜〜

ああ言うのを「一目惚れ」と

言うんでしょうね。


僕は一目で、

彼女に恋をしてしまった。


それから僕は、

足繁くこの店に通いました。

そんなある日のこと、、

〜回想シーン〜

こんばんは、貴子ちゃん!


あら、藤木さん。

いらっしゃいませ。


あれ?何だか今日は元気が無いね。


そうですか?


何か心配事?


いえ、あの、、

〜ナレーション〜

その時、僕は

見慣れないバーテンダーが

居ることに気がついた。


あれ?新入りさん?


ええ、そうです。

オーナーが腕を見込んで、、


へぇ、、

コンクールで賞を獲ったとか

そう言うやつ?


はい、、

日本最高峰の

カクテルコンペティション

サントリー ザ・カクテルアワード

で受賞された方で、、

〜ナレーション〜

僕はこの瞬間、気がついた。

彼女は自分の地位が脅かされると

不安になっているのだと。


それは、、

すごい人だと思うけど、、


僕は貴子ちゃんに作ってもらう

カクテルが1番だよ。


今日も「マッド・スライド」を

お願い。


はい! 

〜ナレーション〜

彼女の表情に微笑みが戻った。

そして、間もなく、、


どうぞ。お待たせしました。
マッド・スライド

(春馬くんが好きなカクテルだそう☺️💓)




ありがとう!

〜ナレーション〜

その時突然、、


お客様、申し訳有りません。

そちらは作り直させて頂きます。


え?


HARUMAさん、、


はい、カット!

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容はすべてフィクションです。


画像お借りしました🙏