ディープな?
トコちゃんの飼い主さんが、心臓病の薬を取りにきた。
いつもはワンワン鳴くトコちゃんを
連れているので、雑談などする余裕はないが、今日は薬だけという事で飼い主さんだけなのでちょっとゆっくりでもよいようだった。
「犬っていうのは、あれ、やっぱり女は男が好き?」
「うーん、どうでしょうか、たしかにクンクンされたりはしますけど、やはり男女というより、その人が好きか嫌いかっていうほうが大きいですかね」
「いやーね、トコ
がさぁ、私が大好きみたいでね・・・グフフ・・・」
「そうなんですか。やっぱり一家の長が犬は好きですからね
」
「いや、やっぱり私が男だからかな、もう一日何回もキスをするんですよ・・グフフ・・」
「あーそうなんですか」
にこにこと話を聞く私。
「それがさ、すごいディープキス
っていうの、もう奥の方まですごくってさ・・・グフフ・・・」
「はあ、犬ってそんな感じですよね・・・」
こんなおじいさんから、ディープキスなんて言葉聞くと思わなかった
なんか会話も引きつる・・・
なおも続く。
「時間も長いっていうかもう5分くらい、ずっとね・・・グフフ・・・」
「・・・・・」
私の返す言葉もなくなった・・・
「じゃ、どうも
」
嬉しそうに帰って行くトコちゃんの飼い主さんに、
「あっ、うがいは、してくださいねー」
とか細く叫ぶ私でした・・・
サンタさんの締めきり
「ねえ、サンタさんに手紙書いた?」
毎年この時期にかわされている会話。今年もサンタさんを信じる娘たち。
「あのさー、サンタさん締めきり近いから、早めに御願いしますね」
「わかってるよー、今書いてますってば
、ママに関係ないジャン」
いや多いに関係あるんだよ、娘たち・・・
我が家では11/15をサンタさん御願い締切日としている。
サンタさん、の準備の都合上、ここら辺りが限界である。
「書けたよー
」
「はーい、ママに持ってきて。サンタさんが買えるかどうかチェックします!」
上の娘が持ってきた。どれどれ?
「キラリンレボリューションプレミアムボックスと、何か面白い本」
「ねえ、このプレミアムボックスっていうのはまだ売ってるのかな、心配だな・・・」
「大丈夫だよ、サンタさんなら
」
「うーん、これはちょっと調べて見ます。次のなんかおもしろいっていうのは題名は決まってんの?」
「決まってない。サンタさんがおもしろそうだなーと思う本
」
「そっか・・サンタさん、選べるかな・・・それに2つっていうのもちょっとどうかと思うよママは。サンタさんもいろいろ物入りだし、あんまり期待しないほうがいいよ」
あら。下の娘はどうした?去年までは字がかけないので私が代筆していたのだが、今年からは字が書ける
ようになったそうで、自分でハムナプトラの石盤みたいな手紙を書いている![]()
「ちょっと。早く持ってきてー」
「やだ」
「えっ?」
「だってサンタさんに出す手紙だもん。ママには見せなくてもいいじゃん
」
「えー、先にサンタさんに失礼の無いようにママが見ます!早く出しなさい!」
「だめ。もう出した」
「どこに?」
「内緒
」
あーん、早く見つけなくちゃ・・・
レントゲンのパワー
「あたし、くやしーー
」
今産休中の病院の元スタッフが、病院に駆け込んできた。
「うちの旦那が女とメールしてた。ゆるせない
」
よくよく話を聞いて見ると、彼女の旦那には隠し口座があったことが判明。そこから女との交際費が捻出されていたらしい。
「それでね、私、この口座のキャッシュカード使えないようにしてやろうと思って、磁石でゴシゴシしてみたりしたんだけど、どうかな!」
「うーん、磁力ダメって聞くけど、実際どうなのかなあ」
高校時代、化学専攻の私と、生物専攻の院長。
「うーん・・・」
ふたり黙る・・・
「じゃあ、念押しってことでX線放射しようか?ほら、空港なんかで写真のフィルムなんかだめになってたじゃん、昔」
「うーん、無駄にX線取るのはちょっと問題ありだけど、
ちゃんの為、やろうか!」
院長のOK
がでたところで、二人とも防護服を着てレントゲン室へ。
台の上に置かれるは、小さなキャッシュカード一枚。
「な、なんか、気が抜けるね・・・線量はどれくらいでいく?」
「うーん、じゃあ大型犬くらいでどうでしょう」
「じゃ、じゃあ、それぐらいで・・・」
ガシャッ![]()
X線は照射された・・・
しかし、これが使用できるか、確かめるすべはない・・
の旦那がこれを使うとき、それは判明するであろう・・・
楽しみ![]()
お泊まり
病院の内装工事をするため、夜中にクリーニング業者が入ることになった。
今入院![]()
はいないのだが、居候にゃんこがいる。
「にゃんこ、大きな床磨きの機械とか、たくさんの若い男性とか怖がるかなぁ」
「そうですね、どうしましょう」
動物病院とは本当に若い男性の来ないところである
まあいいけどさ
いっぱいきたら、私達も慣れてないので恐いかも![]()
「そうだ、うちに連れていってもいいですか?子供達も喜ぶし」
そして
にのって、我が家へ2泊3日の旅へ![]()
家に着いてまず子供達のありがたくないベタベタとした洗礼を受けるにゃんこ![]()
そうそうに2段ベッドの下段に居場所を決め、居座る![]()
「わーい、にゃんこが私のベッドで寝てくれた!一緒にねーよお
」
喜ぶ下の娘。
一分もしないうちに
ワーーン![]()
泣き声と共に娘が![]()
「ママー、にゃんこ
が引っ掻いた・・・」
娘のベッドは奪われた。
なので今晩は私と寝ることに。
夜中、
ニャアアーン![]()
ん?何時?
にゃんこが私の顔のまん前で鳴く。
「あーん、うるさいなあ。まだ一時じゃない。寝かしてよ
」
布団をかぶって強引に寝る。
ニャアアーン![]()
「だから、まだだって!」
たぶん、こやつは腹が減っている。
いつも夕方に餌をねだる声と同じだ。
普段は夜は病院でひとりなのでどうしようもないが、今日はここぞとばかりにねだっているらしい![]()
ニャアーーン![]()
「だからさ・・・」
こんなやりとりが1時間毎に一晩中続いた・・・・![]()
交信不能
ずっと怪しかったが、先日とうとうADSLのランプが消えた。
どうしてよいかわからないが、線を繋ぎかえるくらいはできるのでやってみる。
だめだ。
次はモデムをさすったり叩いたり。
そして最後はお祈りというか御願いしてみる。
「どうかモデム様、御願いします」
もちだめだった![]()
私と院長はPCにめっぽう弱い。
毎年、二人の目標は
今年こそワードとエクセルを使えるようになろう!
情け無い限りである・・・
私達の年代は何とかPCが使えなくても生きていけた。
誰かの家にNECの98(だっけ?)があれば、大挙して見に行くような時代だった。
卒論も私の年から手書き禁止になり、慌てて文豪ミニ(これはワープロかぁ)を買いに行った。
そんな感じだから、「休診のお知らせ」一つ作るのも大変である。
字を大きくする。あら?なんで次の行にいくのー?色を変えるのってどうするのかなー![]()
なんてしてるうちにあっという間に30分。
だんだん二人共飽きてくる・・・
「じゃあ、いつものように?」
「うーん、そうね・・・」
カレンダーの裏紙が用意され、私が字を、院長がイラストを書く。
「うん、やっぱりこのほうがいいね
」
やはりアナログな当病院である。
普段はおひとり?
皮膚の弱いポンちゃん
が来た。
大分痒そうなので、内服薬と塗り薬を出すことに。
犬猫は舐めてしまうので、極力塗り薬は出さないようにしているが、子犬なので強い内服薬を出せない為それを補う意味もあり、塗り薬も処方することにした。
「では、このようにして薄くぬってくだ・・・・あーー、痛いよー
」
「アガガガーー」
痛くはないはずだったが、とっても嫌だったらしく噛まれる・・
「結構嫌がりますね、大丈夫かしら・・・」
「大丈夫と思います。家では耳掃除もできますので
」
「そうですか。じゃあ大丈夫かな。二人いると楽にできますけどね・・・
えーっと、○○さんは今一人暮らしですよね?」
「ん?あっ、・・・・そ、そうですよ
」
ん?これは?
○○さんは一人暮らしなのだが、最近実家をでたばかり。
待合室にはご両親もいらっしゃる。
お父さんがこちらをちらり
と見ている。
んー、主に一人暮らし、ってことか・・・
まあ、二人いるなら片方はきっと男性だろうし、かえって都合はよいわね![]()
「じゃあ、頑張って塗って下さい!」
不敵な笑みを浮かべる私でした![]()
しっこが・・・
糖尿病のベックちゃん![]()
今は落ち着いているのだが、今日は血糖値を計時的に計るため、日中お預かりしている。
血糖はストレスがかかると上がってしまうため、なるべくリラックスしてもらおうと、医局で放していた。
おとなしくソファーで眠るベックちゃん
いいねえ![]()
チリーン![]()
とドアが鳴って患者さんが。
寝てるからいいか、と思いそのままにして医局のドアを閉める。
診察が終わって、医局に戻ると・・・・
あーん、本の上にしっこが![]()
さっきまで私もソファーに座って調べ物をしていた。
その開いたページに並々としっこが・・・
しかもそこは糖尿病のページ(まあ当たり前だが。
が自分で開けたわけではない)
糖尿病のページに糖尿が。
あー、次から甘い匂いがしてわかりやすいね![]()
んなわけない・・・・
飼い主さんは喜ぶ
医局の棚の処方食(動物の治療目的で食べるフード)のいくつかに紙が貼ってある。
「カネコ様」「クスダ様」
という具合に。
そしてそのフードの袋には、
穴が開いている
・・・
犯人は・・・
病院のにゃんこ
です・・・・
もう3年くらい飼っている院内猫。今までやらなかったのが不思議なくらいだが、まったくおいたをしなかった。
なのに、最近やっと気付いたか、そこの中に餌がたんまり詰まっている事を![]()
診察が立てこんで、「あっ」と思うと、あらら・・・もう袋には歯型が![]()
しかも3キロとか6キロとか比較的大きいのばかり。
「あーん、まただ・・これじゃ患者さんに出せないね・・・じゃあ○○さんちょうどこれ使ってるから今回はサービスってことでもらってもらおう」
そして、お名前を書いた紙が貼られる・・
何日かして飼い主さんやってきて、
「あー、くすださん、あの、失礼かとは思うんですが、うちの猫が袋に穴を開けてしまいまして、あっ、中身は大丈夫ですので、貰っていただけますか?」
「えっ、いいの?うれしいわーん
猫ちゃんさまさまね、ありがと、ねこちゃん
」
私達は悲しかったのですが、飼い主さんには喜んでいただきました![]()
恐怖の水曜日
月曜日、ちょっと忙しくて医局が散らかっていた。
雑誌がたくさん積んであって、マグカップにポットからお湯を注ごうと思っても、ポットに出湯口と雑誌の間にカップが入らないほど。8000円くらいする高価な雑誌にお湯をこぼしながら、カップを傾けて注ぐ![]()
あー、そろそろだなーと思いながら帰宅。
火曜日はお休みなので、水曜日。
出勤して中へ入ると・・・
「あー、やっぱり
」
院長は模様替え魔、である。
机の上は綺麗に片付いている。医局の薬棚の上の様子もなんだかすっきり・・・・
そんなとき、院長からメールが。
「
今日、子供が発熱したので午前中は小児科に行きます」
あらー、困ったなと思っていると、一番目の患者さんが![]()
外耳炎の患者さん。点耳薬を出そうと思い、薬品棚を開ける。
あっれー、ないなあ。いつもここにあるのに・・
次々と引き出しをカタカタ開け始める私に、不審がる飼い主さん。
「院長先生、いるとき来た方がいいかしら
」
「いやー、ちょっと待ってくださいね、ここにあるはずなんだけど・・・」
「私、ちょっと急いでるのでまた午後でも来るわ」
「あ・・・すみません・・・」
帰ってしまわれた![]()
院長は片付けと同時に模様替えをする。
それが結構大胆で、かなりな物を勢いで処分する。
薬もその例外ではない![]()
午後院長が来る。
「さっき、タリビット点耳薬出そうと思ったんですけどなくて・・・」
「あー、あれね・・・・捨てちゃった
」
「えー、捨てちゃった?」
「うーん、もうすぐ期限切れそうだし、なんか汚れてたから思い切って
」
「あー、ちょっとでも残しといてくれれば詰め替えたりして出せたのに・・・」
いろいろなものが姿を消す、恐怖の水曜日なのです・・・
レフティー優勢
「ねえ、なんかこの病院動きにくいなぁ」
s先生がオペ中につぶやく。オペ中に物を取ったり、機械に調節をしたり、雑用を手伝ってくれている。
「物がさー、みんな取りにくいところにあるんだよ。これ直していい?」
「だめ」
院長と私が一辺に言う。
取りにくくしているわけではない。
むしろ私達は取りやすい。
それは私達が二人とも左利きだからだ
(これは右手みたいだけど)
右利きの先生が来ると、何もかもが逆になる。ライト、聴診器の掛けてある所、綿棒、全てのものを手を逆に伸ばして取る。
まず、診察台から逆である。動物の頭が私達の右手側に来る。
こうなると注射が左手でうちやすい。
今まで、右利きがいる病院ばかり勤めてきた。左利きは皆そうだが、右利きが一人でもいるとそちらに合わせる。右効きが左では何も出来ないのを知っているからだ。
この病院に来てお互いストレスが軽減した。今まで何でもやりにくかったものが普通にできる。注射はこんなにうちやすかったのか!私はそんなに不器用ではなかった・・・
とはいえ、獣医は左利きがとても多い。私の周りでは実は左利きの方が多い。S先生は実は少数派である。
私達の年代は、まだ大抵親が右に矯正する。私は食が細かったので、右で食べさせようとすると食べなかったので直しきれなかったらしい。
友達からも
「今日はおばあちゃんが来てるから遊びに来ないで。左利きの子キライだから・・・」
と言われた事もある。お育ちが悪いと思われたのだと思う。
また大抵の親が、獣医なんて・・・
とそんな野蛮なものに眉をひそめる時代でもあった。獣医を許すような親は左も許す変わった親だった、ということか・・・
オペが終わって皆で食事へ行く。
席がいっぱいでみんなでカウンターに座る事に。
何にも考えないで腰をおろしたS先生。
そして料理は来る。
「なんかここ狭いね、隣の人と手が当たっちゃう
」
そしてすぐ気付く。
「あ・・・僕以外皆左利きか・・・、じゃあ右端に行きます
」
すごすごと席を移る。
ごめんねS先生。
でも私達レフティはいつもやってることなんです。
たまにはこんなことあってもいいよね![]()