ちょっとしたことをきっかけに精神薬を飲むことになり、その後、見る見る体調が悪くなってさらに精神薬を飲むことになってしまう……というパターンは多いと感じています。

 最初は「精神的な」症状ではなかったのに……例えば「吐き気」とか……そこへ精神薬、例えば軽い気持ちで医師がデパスを処方……が入るようになり、体調悪化。

 そこで内科を受診して、吐き気とか訴えると、簡単にドグマチール(スルピリド)(内科でもすぐに処方される抗精神病薬)が処方されたり、ドーパミンに作用するナウゼリンやドンペリドンが出されたり。

 それでますます体調が悪くなり、ついに心療内科(精神科)の門を叩くことになるわけです。

その時点で、すでに体は精神薬に対して過敏になっているでしょうから、心療内科で出される向精神薬でたいへんな副作用を経験する羽目になります。

 そうなるともう坂道を転げ落ちるようにおかしな症状が次から次へと現れて、しかし医師はそういう状態をさらなる投薬で何とかしようとしますから、増量、増薬。

 結果、体調はどんどん悪くなり、患者が「薬のせい?」のようなことを口走ると、手のひら返しで今度は「じゃやめればいいじゃないか」と簡単に一気断薬を行います。

 離脱症状でにっちもさっちもいかなくなった患者は、結局、行き場を失い、離脱症状(とわかっていない場合も多い)に振り回され、ひたすら耐えるだけの人生へと変わってしまう。

 

 SSRIで自殺念慮、他害衝動

 上記のような経過をたどって、現在たいへんつらい状態にある二児のお母さんからメールをいただきましたので、紹介したいと思います。

 

最初は吐き気という症状で、内科でデパスやドグマチール、ナウゼリンが処方されました。

しかし、飲んでも飲んでもよくならず、それどころか、少しずつおかしな症状……気が狂いそうな感じ、無気力、不安感等々で、どうにもならずに心療内科を受診しました。

 診察の結果出された薬は抗うつ薬のSSRI(フルボキサミン)。医師からは「胃の不具合が出るかも知れないが2週間我慢して」と言われ、言われた通り服薬すると猛烈な吐き気に襲われて、這ってトイレに行くほどに。

飲めば飲むほど不調になっていきましたが、医師の指示通り我慢して飲み続けたところ、ようやく吐き気は治まったものの、今度は自殺したい気持ちが出てきました。

どこで死のう、どうやって死のう……毎日泣きながら死に場所を探し、「死にたくないのに、死ななきゃいけない」気持ちで、自殺の方法を模索する毎日。

 そして、ついに首吊り自殺を試みました。死にたくない死にたくないと泣きながら……。

それでもふと我に返る瞬間があり、自分のやったことに驚いて、あわてて仕事先の夫と母親に電話を掛けたそうです。

 2人の勧めもあり、そのまま心療内科へ行きました。自殺未遂をしたと告げると医師は、「そんなことをするなんて、薬が効いていないからだ。増やしましょう」

 ということで、フルボキサミン25㎎から50㎎に増量となりました。

 女性の中には薬を疑う気持ちもありましたが、家族のためにも死ねないと思い、言われるまま薬を飲んだそうです。

 飲み続けると、自殺念慮から、今度は他害衝動へと変わっていきました。

衝動的に誰かを殺してしまうのではないか、子どもを傷つけてしまうのではないか……。そんな気持ちが付きまとい、女性は母親に、自分が何かしでかさないよう縛ってくれるように泣いて懇願したそうです。

 他害衝動について医師に相談したところ、医師はこんなふうに言いました。

「これは子供でも飲める弱い薬です。でも、そんなに嫌だったらやめたらいいよ。副作用とかもないから」

 それで一気断薬です。

 服薬期間は4カ月ほどでした。

 現在は断薬して9カ月。

 

 しかし、他害衝動は相変わらず続いていると言います。誰かを傷つけてしまうのではないか、子どもを殺めてしまうのではないか。そんなことをするくらいなら死んだほうがいいと希死念慮もつきまといます。

 一人で散歩もできない、子どもたちといるのが怖いので、部屋に引きこもりがちですが、自分の子どもを殺めるイメージが頭から離れず、たいへんつらい状況です。

 生き抜きたいと思いつつ、自分のエゴで、自分が生きていたら、いつか誰かを殺めて、家族は加害者家族になってしまう。あるいは大好きな子どもを傷つけてしまうかもしれない。そうなる前に死ななければ。でも、自分はまだ誰も殺していないし、殺さないかもしれない……そんな思いで頭が爆発しそうになると言います。一人でいるのも怖いけれど、家族といるのも怖い……。

 

「ただ自死しないのはやはり子供の存在です。あの子たちのことを思うと1秒でいいから踏ん張れ! って思いますが、あまりに精神がひどいと、子どもが可愛いと思えず、なんだか「子ども、私の子」というような物体としてしか考えられなくなってしまい、それが怖いです。

いざそのような時になったら衝動を抑えることができるのか。。毎日毎日そればかり考えてしまい、生きたい!と考えると、「子どもたちを殺すかもしれないのに生きたいって、犯罪者と同じだ、狂ってる」みたいな考えが出てきます。そしたら、気狂いみたいに笑ってる自分のイメージが出てきてしまったり……」

 

 フルボキサミンを4カ月服用。断薬9カ月。

 それでも、服薬中に出てきた他害衝動がトラウマのようになっていまだに残り、日々、この女性はその思い、衝動と闘っています。

 断薬9カ月が経過しても、このような「離脱症状」が続く……ものなのか。

 SSRIの副作用であるアクチベーションシンドロームが、断薬後もこうして残るとしたら、何とも恐ろしいことです。

 同じような経験をされた方はいませんか?

 情報をいただければと思います。

 

参考 https://www.gifuyaku.or.jp/highrisk/2010sassi-seisinn-utusou.pdf

 ◆アクティベーション・シンドローム(賦活症候群) 抗うつ剤の投与開始初期(多くは 2 週間以内)や増量後に不安や焦燥などの症状を伴う場合がある。 主な症状として、不安、焦燥感、不眠などの比較的軽度なものから、易刺激性(イライラ)、衝動性、 敵意、攻撃性、パニック発作、アカシジア、軽躁、躁などの重症な事象まである。ただし、この状態は、 一過性のものであるが、衝動性などの症状から自傷行為・自殺行為に至るおそれがある。抗うつ剤開始 9 日までに自殺関連事象の危険性が高いと示唆されている。 アクティベーション・シンドロームは高齢者よりも若年齢の方が生じやすく、女性では他害行為の念 慮が高く、男性では実際に他害行為に至る割合が高い。

◆中止後の発現症状(中止後症候群) 1 ヵ月以上抗うつ剤を服用した後、急激に中断することで、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、めまい、倦 怠感、睡眠障害、アカシジアやパーキンソン症状等が数日~1 週間以内に現れる。高濃度からの急速中 断では、軽躁状態、低濃度からの急速中断では攻撃性や衝動性を生じやすいとの報告がある。発現した 症状は、ほとんどの場合そのまま数日すれば改善する。