自閉スペクトラム症という診断のもと、3歳9カ月の男児にエビリファイ3㎎処方という話です。
保育園や病院など、家以外では聞き分けがいいのですが、自宅だと暴力行為、癇癪で手に負えなくなった結果の服薬だとか。
しかし、親が希望しての薬ではなく、困った感を話したら、「じゃ、試してみる?」という流れのようです。
お母さんとしてみれば、家と外とで態度が使い分けられているので「本当に自閉スペクトラムか?」の思いもあり、主治医も「この子は問題ない」といったニュアンスの発言もあるそうです。(エビリファイは前の主治医が処方し始め、現在の主治医はそれを引き継いだだけという立場なので、こういう発言になったと思われます。としたら、なぜエビリファイを出し続けるのでしょう?)
そもそもエビリファイという抗精神病薬、添付文書にはこうあります。
〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉
つまり3歳9カ月の子どもには処方できないことになっています。
お母さんの文章を読むと、「エビリファイ3gを内服している」とあるのですが、誤記ではなく、たぶん「g」も「㎎」もよく理解していないものと思われます。エビリファイを3歳の子どもが3gも飲んだら、死んじゃう可能性もあります。
そのあたりの表現を見ても、どんな薬なのか、3㎎(g)がどれほどの量なのか、まったく関心がなく、医師が出す薬なのだから安心、ともかくそれを飲ませればいいという思いが伝わってきます。
しかし、飲んでも飲まなくてもあまり変化がないともお母さんは言っています。
なら、なぜ飲ませ続けるのでしょう?
そのあたりの親の心理も、こうした服薬には関係していると思われます。
子どもに手を焼き、それをどうにかしたいという親の思い。
親の思いに乗るようにして、善意から(多分)薬を出す医師。(添付文書を無視してまで)。
医師という専門家が出す薬なのだから安心、安全と思い込む。
3歳9カ月の子どもにエビリファイ……。
しかし、それにしても、こういう処方がまかり通るようでは、自閉スペクトラム症と診断された子どもたちの未来はどうなってしまうのでしょう。