ゆうの会Part2

◆日時 11月15日(金)

午後1時~午後5時

◆場所 杉並区内の公共施設(メールで申し込まれた方に直接お伝えします)。

◆参加費 300

◆申し込み chocolemoncakeあっとgmail.com (あっとを@にしてください)

 

お父さんお母さんの会です。

親御さんの不安を子どもは意外にも敏感に感じ取っています。まずは親御さんが安定すること。和室でほっこりしながら、いろいろお話してみませんか。

 

☆☆☆☆☆☆

 メールで寄せられる話で多いのは、子ども時代に何らかの症状があり(不登校、あるいはいじめ等からパニック、強迫、幻聴、幻覚等々が出る)、そこで精神医療につながって、多くは統合失調症の診断を受けて、薬物療法が始まるが、よくならないというものです。

どんどん悪化していった、というのは、後から気づくことで、そのときそのときは医師の言葉を信じて薬を飲ませ、それでもよくならないので薬を変えたり主治医を変えたり……。

気がついたら十数年(あるいは数十年)経過していて、それでもいっこう病気が改善する気配もなく、それどころか最初に比べて悪化しているとしか言いようのない経過をたどる。

こういう話が本当に多いです。飲み始めたのが10代半ば、現在は40歳近くになっている(つまり4070問題)、という人がじつに多い。

薬のせいにばかりするという批判をする人もいるので、あえて問いたいのですが、では、こういう経過をたどる人は、もともと「そういう病気」だったから、「治らない病気」だったから、現在がそうなのだ、ということなのでしょうか。つまり、治療(薬物療法)して数十年経って、症状が悪化したのは、治療が病気の進行に追いつけなかったからということなのでしょうか。

「治らない病気」という概念は誠に便利なもので、治療して悪化をしても病気のせい、薬で副作用が強く出ても、病気の症状にできるわけで、どうせ治らないのだから、治す必要もなく、病気の進行に治療が追いつけなかったと言われないためには薬をたくさん使えるわけです。

 現在数十年、あるいは十数年もこの「病気」と闘って、それでもよくなるどころか悪化している人は、もともとそういう「病気」だったからと精神医療界ではみなされています。

 本当にそうなのでしょうか?

早発性痴呆という概念はかつてエミール・クレペリンが唱えた概念ですが、統合失調症は放置しておくと人格崩壊を引き起こし、やがて廃人になる病気というわけです。

この経過は、しかし、薬物療法の失敗、不適切な投薬で(多剤大量処方に限らず、急激な増薬、減薬など)、見事に再現できるものです。

が一方で、いやいや、それは薬のせいではなくて、やはり病気の症状です。

本来なら、精神科の治療というものは、少なくともこの綱引きの中で揺れ続けなければならないのですが、揺れるどころか、現在は後者の考え方のもと、精神科医によって確信的な治療が行われています。

 

少し前の映画ですが、こんな映画がありました。

 https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180404/med/00m/010/009000c

「彼女が目覚めるその日まで」(2016年)

 記事は有料記事なので、かいつまんで説明しておきます。

 

21歳の女性に起こった「精神についての診断」をめぐる、実話に基づいた物語。

スザンナはある時から体調や周囲の様子がふだんと違うように感じる。それは次第に不気味な感じに変わり、誰かにいつも見られていると感じ始める。

まもなく、全身けいれんを2度起こす。てんかんを疑われ、脳波検査を受けるも正常で、原因は見つからない。

それでも症状は続き、夜、自宅の水道の蛇口から水音が聞こえ、蛇口に向かって「静かにしてよ」と怒鳴ったり、街では人や車の音が耳に響き、道路に座り込んでしまう。「いま私をわがままな娘だと言ったでしょ」と母を責め、物を投げつける。父が近づくと「誘拐される」とおびえる。

父の強い希望で入院するが、スザンナは医師に、「テレビに映っている人に悪口ばかり言われる」「全員が私のうわさをしている。はっきり聞こえる」と真剣に話す。逃げ出そうとして体を拘束され、縛られた四肢をばたつかせて「助けて!」と絶叫する。やがて体が硬直し、言葉もうまく出せない状態になってしまった。

病院の医師たちの診断は、統合失調症だった。

 しかし、父はそれを信じない。「けいれんの原因は何だ? これまで一度もなかった」と疑問を呈し、精神科病院への転院を促す医師たちに解明を迫る。

やがて、医師の1人が、スザンナをていねいに問診し、検査をくり返し、彼女の脳に炎症があることをみつける。脳組織を調べた結果、当時まだ世界で200余りしか例のなかった「抗NMDA受容体抗体脳炎」という「脳神経の病」であることがわかった。

 

診断には除外診断が欠かせないという一つの例です。精神的な症状であっても、身体的な問題をまず排除すべきなのです。しかし、日本の精神科の診断において、身体的原因を探る除外診断がどれほど行われているでしょう。スザンナのような強い症状があれば、多くの医師が何の迷いもなく「統合失調症で間違いなし」です。そして、統合失調症としての薬物療法が始まるでしょう。

その結果は?

今、日本でこうした治療の延長線上にどれだけの患者さんがいることかと想像します。「治らない病気」というレッテルを貼られたまま。