今回は抗うつ薬についてです。

抗うつ薬の長期離脱症状の調査について、 myuさんから情報をいただきました。

 

 イタリアの著名な精神医学研究者である Dr. Carlotta Belaise らが中心となって、抗うつ薬の長期離脱症状に関する国際的な研究が行われ、広く症例を集めているそうです。



 これまで、抗うつ薬の離脱症状は、マイルドで、せいぜい週週間しか続かないとみなされていましたが、それに反対するための証拠集めということです。



http://survivingantidepressants.org/index.php?/topic/530-researchers-want-prolonged-antidepressant-withdrawal-cases/




 これによると、Dr. Carlotta Belaiseイタリアのボローニャ大学で心理学部門の気分障害プログラムの研究員をされていて、myuさんによると、イタリアの精神科医ジョヴァンナ・ファヴァ(Dr. Giovanni A. Fava)の同僚で、過去に以下のような共同研究があるということです。




『抗うつ薬や抗不安薬は気分障害の慢性化を助長するか?』 Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 61 (1994):125-31.
概略:「向精神薬が、少なくともいくつかのケースにおいては、治療対象であるはずの病気の進行を実際は悪化させている可能性があることを議論し、その研究に取りかかるべき時期に来ている」とする。

『抗うつ薬による長期薬剤治療はうつ病を悪化させうるか』Fava, G. Journal of Clinical Psychiatry 64 (2003):123-33.
概略:脳は抗うつ薬による神経伝達活動の摂動に対処するために適応化補正を行うが、「薬物治療を終了することで(補正の)プロセスにおいて対抗するものがなくなることにより薬物離脱症状が現れ、また再発の脆弱性を増すことにもなる」

『抗うつ薬ならびに浪費的専門家によるうつ症状と増感の抑制』Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 64 (1995):57-61.
概略:抗うつ薬が短期的にはベネフィットをもたらしうるが、長期的には患者のうつに対する脆弱性を増加させ、うつ病を悪化させる。

『うつ病に対する抗うつ薬の潜在的感作効果』Fava, G. CNS Drugs 12 (1999): 247-56.
概略:抗うつ薬の使用は、うつ病をさらに悪性かつ治療に反応しない方向へと進行させる可能性がある。
http://schizophrenia725.blog2.fc2.com/blog-entry-85.html




 抗うつ薬については、以前、このブログにおいてもその有効性に対する疑問を取り上げたことがあります。

デーヴィッド・ヒーリー氏(『抗うつ薬の功罪』『抗うつ薬の時代』や、チャールズ・メダワー氏(『暴走するクスリ?』)、あるはアービング・カーシュ氏(『抗うつ薬は本当に効くのか』)などでも批判的な意見が書かれています。

 そのカーシュ(キルシュ)氏(英国ハル大学教授)による論文は、すでに3年以上も前の2008年2月に公表され、世界中に衝撃を与えましたが、なぜか日本のマスコミは、小さなネットニュース以外、まったく報道されませんでした。

 論文の結論だけいえば、「偽薬を飲んだ患者と、本物の抗うつ剤を飲んだ患者で、症状の改善度に大きな違いは見られなかった。」

 つまり、軽度から中度のうつ病患者に抗うつ剤を処方する理由はほとんどない。

 うつ病改善の薬理効果は20%以下であり、80%は患者自身の自己回復能力による




 そのようにはなはだ効果のあやしい抗うつ薬、しかしその副作用はときに激しく、さきのファヴァ氏の研究のように、抗うつ薬がかえってうつを悪化させ、慢性的症状を生んでいる、しかも断薬後の離脱症状が――マイルドどころか非常に厳しく、数週間どころか何ヶ月(あるいは何年)も続くとしたら、抗うつ薬とは人間にとって、いったいどのような意味があるのでしょうか。

 しかし、そうした抗うつ薬が、日本では123万人に処方されていると言われています。

 日本の情報はありませんが、英国では一般開業医の10人に9人が、やむを得ず抗うつ剤を処方しているそうです。日本の場合も同じようなものかもしれません。

「とりあえず、抗うつ薬」――だとしたら、副作用を経験するだけでなく、薬をやめたあとも離脱症状を抱える結果となってしまった患者たちはあまりに救われません。

 

これまで、抗うつ薬(SSRIに限らず)の被害報告がいくつもありましたが、今回改めて、その離脱症状(薬の副作用ではなく)について、報告を募ります。


日本から多くの報告が届くことで、日本の精神医療の現状が少しでも世界に届くようにと願います。



レポート言語は英語、フランス語、スペイン語、イタリア語とのことですが、日本語しか書けないという方のため、myuさんのご協力を得て翻訳、私もお手伝いしながら、先方へ送りたいと思いますので、まずは私のメールアドレスに、下記枠内の①から⑨の項目を箇条書きにして、送っていただければと思います。



kakosan3@gmail.com




また、ご自身でコンタクトの取れる人は以下のアドレスへ送ってください。

 withdrawal.cases@gmail.com






① 仮名 (医学誌などでの発表用(本名や個人情報が公開されることはありません))
② 記入日
③ 現在の年齢
④ 性別 (女性の場合は閉経期であるかどうか)
⑤ 精神科薬歴
⑥ それぞれの薬をいつ・どのように断薬したか
⑦ 断薬を始めたころの症状
⑧ (その後)改善した症状、悪化した症状、役立った対処法
⑨ (もしあれば) 断薬、断薬症状に関するご意見