精神科医のブログをいろいろ見ていたら、こんなブログを見つけました。

今年6月24日の毎日新聞一面に出た記事に対する批判です。



http://greenpsychiatrist.blog112.fc2.com/blog-entry-95.html#comment61




ブログの他のエントリも多少読んでみると、この医師は、薬物療法以外にもさまざまな療法の勉強をされているようで、がりがりの薬物療法擁護派というわけでもなさそうです。それなのに、こうした意見が出てくるということは、これが今の日本の大多数の、標準的な精神科医の考え方なのだろうと思います。

読んでいて一番感じたのは、「ああ、これじゃ、無理」という思いでした。


この精神科医(そして多くの精神科医)には、「ある決定的な視点の欠落」があります。

詳しくは実際の記事を読んでください。

言いたいことは山ほどありますが、読めば皆さん、感じることがたくさんあると思います。

ただ、一つだけ……。オーバードーズについてです。



患者は多剤を大量に処方され、病気を治したいがため、医師に言われたとおり、不調を感じながらも服薬を続け、ついには薬によって「正常な判断ができなくなる」。言葉は悪いですがが、物事をわかりやすくするためにはっきり書けば、薬物によって人工的に狂わされてしまった頭と体がどれほどの地獄を味わわねばならないか――

この医師は(そして多くの精神科医たちは)、この地獄について知っているのでしょうか。そこから何とかして逃げ出したいという死に物狂いのもがきを知っているのでしょうか。さらには、薬の依存についての視点も、離脱症状についての視点もまったく(故意にかどうかは知りませんが)欠落しています。


まあ、この医師に限らず、他の多くの精神科医もこのブログの記事のような考え方をしているのでしょう。だから、ちょっと絶望的な気分にもなります。まるで、医師と患者は此岸と彼岸にいるほどの違いがあります。患者がいくら薬の副作用を訴えても、言葉が通じるはずはありません。もともと、彼らの頭の中には、それを考える回路がないのですから。


このブログにはNHKの番組「うつ病治療、常識が変わる」に対する批判記事もあります。読んでみてください。