(1からのつづき)

娘は、昨年1月に近くの○○病院からN心療内科に病院を移っています。(○○病院の前までは、N心療内科に通院しています。)うつ患者は自分に合わないからと病院を転々とするのをよく聞きます。



娘の自殺の件を話すつもりで、仮病を装い、N心療内科に行ってきました。

受診理由を聞かれた時に娘の話をするつもりでいましたが、不眠の理由については何も聞かれず、重症のうつ病だと診断されてしまいました。

もちろん自分はうつ病ではなく仮病です。その診断だけでも驚きですが、処方された薬が4種類というのも驚きです。

娘がこちらで診察を受けていることを話し始めると、担当医は娘のカルテを取り出し(守秘義務がある為に親であっても内容の話はできないと前置きをして)ページをめくりながらどうしていますか?と尋ねてきました。

娘の自殺のことを話すと、担当医はカルテを手に絶句しておりました。


担当医への一問一答

「ネットで娘が飲んでいる薬について調べたのですが、自殺を引き起こす危険性があるというのは本当ですか?」

医者:パキシルとかはあるが、それほどではない。


「娘が飲んでいた薬にはどんな副作用があるのですか?」

医者:デパス等は即効性はあるが、すぐひいてしまう、依存性はある。


「先生はちゃんと娘に薬の副作用についても説明されていましたか?」
医者:SSRIだとよほど問題はない。

「薬の量が異常に多いと思うのですが本当に大丈夫ですか?」

医者:(うやむやに返事で内容の答えがない)

「通院前と比べて明らかに状態が悪いのですが、本当に先生の治療は適切なのでしょうか?」

医者:処方しないほうがもっとひどくなっている。自殺願望ももっと強くなっているはず。

1回の処方量も多いのですが、1週間ごとに来院している娘に対して、毎回2~4週間の薬が処方されているのはどういうことでしょうか?」

医者:(うやむやに返事で答えがない)

「添付文書を見ると、~という注意書きが書かれてあるのですが、先生はそれを守っていらっしゃるのでしょうか?」

医者:一般的にみんな使用しているから問題はない。

「自殺の危険性について家族に説明していなかったですよね?」

医者:守秘義務の問題があり、家族といえども本人の同意書がないかぎり説明することはできない。

「娘は先生に処方された薬を大量に飲んで亡くなりました。先生の治療や処方は適切だったのでしょうか?」

医者:処方しないほうがひどくなっている。

薬の副作用のことを知らなければ、娘の担当医に事実を知らせることは無かったと思います。
薬の副作用のことを知らないで、自殺した理由もわからず不可解なままでいる遺族の数は相当数なはずです。



このメールをくださったMさんは、その後、医療過誤専門の弁護士に依頼し、精神科専門の鑑定医に相談したそうだ。

向精神薬と自殺との関係についての見解は、

「まず自殺原因が疾患によるものか薬物に誘発されたものかを見極めなくてはなりません。」と前置きしながら、「私には今までの資料からはどちらともいえません。残念ながら明らかに疾患によって自殺された人のほうが私には多く経験しております。」というものである。

この中の「明らかに疾患によって自殺された人」という表現が私には非常に気なる。というのも、「明らかに」そうとわかる、というのは、どういうことなのか? もともとの疾患で自殺したことが明らかに、なぜわかるのか? 治療をしていれば薬も飲んでいるはずである。それなのに、疾患が原因で自殺したと、なぜ明らかにわかるのか? 

つまり、この医師は最初から薬の副作用による自殺というものを念頭に置いていないのである。

さらに、多剤大量処方については、「好ましいことではありませんが難治性のばあいにはありうることです」という回答である。

Mさんも「実態を軽視した内容」と書いているが、最初から逃げ腰で、まったくの事なかれ主義、精神科専門の鑑定医とはこのレベルのものなのかと絶望的な気分になってくる。



娘さんに処方された薬、1180錠

娘さんが亡くなるまでの一か月に処方された薬は、デパス(抗不安薬)、ジェイゾロフト(SSRI)、ロヒプノール(睡眠導入剤)、アモキサンカプセル(三環系抗うつ薬)、セバゾン(抗不安薬)、フルメジン(フェノチアジン系精神安定剤・統合失調症の治療薬としても)、ルボックス(SSRI)、ベゲタミンB(強力な睡眠導入剤)、トレドミン(SNRI)で、計9種類である。


 抗うつ薬だけでも4種類、ベンゾジアゼピン系薬剤も多く処方されている。

 そしてベゲタミンの添付文書には、「フェノチアジン系化合物及びその類似化合物、バルビツール酸系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者」には「禁忌」となっているが、フェノチアジン系のフルメジンも同時に処方されているのだ。

 また、1月19日から2月17日の一ヵ月弱の期間に、数えてみたら(計算違いがなければ)、向精神薬がなんと1180錠も処方されている


 これほどの薬を必要とする病気とはいったいどんな病気なのだろう。鑑定医が回答したように、「難治性」の場合には、これくらいの処方は当たり前ということだろうか。


 もう、言葉もない。

 薬を処方するのが精神科医の仕事か?

 薬は多ければ多いほど、病気は治りやすいのか?

 医師はもちろん患者が飲むことを想定して薬を処方するはずだ。ということは、この医師は、患者が一ヵ月にこれだけの量の薬を飲んでも大丈夫と思っていたということだろうか?

 これが「医療」か?


 娘さんのご冥福をお祈りいたします。