医療介護CBニュースに、このような記事があった。

 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/29019.html

日本医師会は811日の定例記者会見で、「精神科医療に対する参議院予算委員会における質問・答弁について」と題する見解を発表した。見解では、長妻昭厚生労働相が同委員会で「うつ病についての薬漬けの問題」などと発言したことに対し、「医療機関でのうつ病への対応について、国民の誤解を招く」と懸念を表明。精神科医療に対する不安を助長し、医療機関の信頼を失うことになりかねないと指摘している。
 さらに、厚労相が「薬を使わない療法にも注力をしていくということで、一定程度その流れを4月の診療報酬改定で変えたと思っている」と発言したことに対しては、軽中度のうつ病などでは認知行動療法は有効だが、重度になると向精神薬での治療が不可避であると指摘。「いたずらに認知行動療法へ誘導することは、現場の混乱を招きかねない」としている。

記者会見した三上裕司常任理事は、「大臣がメディアの前でこういうことを話すと、精神科の医療機関に対する国民の抵抗感が非常に強い中で、さらにその抵抗感が強まるのではないか」「多くの精神科医療機関が、うつ病治療に非常に大量の薬を使っている印象を国民に与えかねない」との懸念を示した。


この三上という人は、日本医師会の常任理事で精神科医であるらしい。

そして、

軽中度のうつ病などでは認知行動療法は有効だが、重度になると向精神薬での治療が不可避である」

 と、そこまで言うのなら、認知行動療法へ誘導すればいいではないか。現在、うつを訴える人の多くが「軽中度のうつ病」なのだから。それを「いたずらに」という言葉でつないで「混乱を招きかねない」などと文脈をずらすのは、裏になにかあると自ら白状しているようなものだ。

 さらに、

「多くの精神科医療機関が、うつ病治療に非常に大量の薬を使っている印象を国民に与えかねない」

って、だって、いまだに相当数の精神科医療機関が、そうなのではないか。

だから、現に多くの被害者が出ているのではないか。
 日本医師会として言うべきは、うつ病治療に非常に大量の薬を使っている精神科医療機関に(たとえ、その数が非常に少ないという医師会の認識だったとしても)対する警告なのではないだろうか?

 そうしたことをすべてすっ飛ばして、大臣の発言はけしからん、というのは、論理として非常に幼稚だと思う。


これは国会で多剤大量処方が問題として取り上げられた(このほかにも8月3日の厚生労働委員会で柿沢議員が質問をしていることは前のブログでもお知らせしましたが)あとの揺り戻しだろうが、一応、日本の医療の頂点に立つ日本医師会という団体が出した声明である。

それにしても、この反論には何か「必死」という感じが伝わってきてしまうのはなぜだろう。精神医療における治療が薬物療法から他へ移行してしまっては非常に困るといったような……それはもちろん医療とは別の次元での出来事であり、「日本医師会は日本国民の健康を守ります」という前提でそれを通そうとするから、無理のあるおかしな論理になってしまうのだ。


このニュースについては、こちらもご覧ください。

http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/51123971.html