プライベートも医者? | ももせ皮膚科のよもやま

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ふつうの皮膚科医です。
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医者になってからかれこれ24年目に入りました。プライベート中に幸運にも、”お客様の中でお医者様はいらっしゃいますか〜?”というコールを一度も経験したことがありません。

 

皮膚科医の私にとって、救急の患者さんを診ることはとても苦手でコンプレックスでもあります。病院の外という慣れない環境で、白衣を着ずに、何の道具もなしに、周りの人に取り囲まれながら診察をするのは、ものすごーーーい勇気が要ります。

 

私の判断ミスで悪化したらどうしよう、大切な所見を見逃したらどうしよう、おぼつかない診察を見られなくない、などなどもう不安で不安でいっぱいになります。患者さんの力になりたいという気持ちより、自分への不安が大きいというのが正直なところです。

 

競技会やマラソン大会で何度かボランティアの医療スタッフの経験があります。多くが擦り傷や捻挫といった軽傷ですが、ごくたまに重症者が出て救急車を呼んだ時の緊張感は忘れられません。最も怖かったのは山奥のマラソン大会で、ある観客の方が倒れ、呼ばれて行った直後からみるみるうちに意識レベルが悪化し、顔色もいっきに悪くなっていきました。さいわい待機していた救急車が近くにいたものの、救急隊とすったもんだした挙句にドクターヘリを呼ぶことになりました。ドクターヘリが来るまで、もう生きた心地はしませんでした。

つい先日、電車に乗っていた時、目の前に座っていた20歳代位の男性が、徐々に座ってられなくなり、最終的には床に横になってしまいました。目はつぶったままで意識はありません。でも顔色は良くて呼吸もしっかりしているし、おそらく泥酔状態で緊急性はないと判断しました。面倒なことに巻き込まれたくないのと、降りる駅まであと少しだったので、何もせずにやりすごしつつ、声をかけてあげた方が良いのか葛藤している間に電車が到着。急いで降りて、車掌さんまでが遠くて連絡できずに電車は発車。その駅の駅員さんに状況をお伝えして帰ってきました。

 

医者であるがゆえ、かつ皮膚科医であるがゆえのプライベートの一コマでした。でも、皮膚科医を選んだことに後悔は全くありません。コンプレックスのない医者なんていないと思います。そこに負けないように日々精進です。