ヒルドイド問題 Part2 | ももせ皮膚科のよもやま

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昨日に引き続き、ヒルドイド問題から書いてみます。

ヒルドイドの自己負担額が増える理由について、美容目的の不適切使用を抑制するため、医療費抑制のためにジェネリックへの移行を推進するため、のようです。

 

個人的にはジェネリック反対派です。以前のブログにも書きました。医療費抑制の方法は他にもあると思います。

 

美容目的でヒルドイドを処方する問題。

有名人のSNSが端を発しているのですが、今でも美容クリニックのページに”スキントーンが上がる””シミシワに効く””目の下のクマに効く”などなど書かれており、検索すれば簡単に出てきます。ここまで出てたら信じてしまいますよね。

美容クリニックで自費でもらう分には問題ありません。しかし、余波は保険診療を行なっているクリニックにきます。保険で処方してもらえらば安く済む、子供に処方してもらえればタダになる、という発想はごく自然です。このルール違反の処方を減らしたいというのが国の意向の一つです。

当院では、明らかな美容目的や、子供への代理処方と分かれば、処方をお断りしています。ただ、見破れないことも多いと思っています。

 

そしてそして、”断る”のってとても体力と精神力を使います。患者さんにはまず嫌な顔をされます。ご不満が大きい方は怒っていかれます。皮膚科クリニックは都心部で乱立しており競争状態です。黙っていても患者さんが集まる時代は終わりました。そして、クレームはあちこちの口コミサイトに書かれ、世の中にさらされてしまいます。患者さんからのクレームに非常に敏感になる経営側の気持ちも良くわかります。

そんなリスクをおかすことなく、患者さんの望む通りに処方して無難に診療を終える方が楽で安全なのです。記事には簡単に処方する医師のモラルを問う記載もありましたが、その通りなのですが、問題の背景は複雑なのです。

 

ちょっと論点がずれましたが、思っていることを書いてみました。ヒルドイドの自己負担分の値上げに反対ですが、上げざるを得ない現状もあると思います。