◇土曜 医師一名診療日
●2/10(土)午前
手島院長一名での診療のため、混雑が予想されます。
◇休診案内
●2/20(火) 午前 院長休診
午後 クリニック休診
手島院長は休診し、非常勤医師(形成外科医)による診療となります。
自費診療の診察、ご相談は承れません。
午後はクリニックを休診いたします。
ご不便をおかけし大変申し訳ありませんが、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
形成外科の当院、ケガの患者さんが多く受診されます。
ケガしたてホヤホヤで、とるもののとりあえず駆け込み受診したという場合も稀にありますが
だいたいにおいて「とりあえず何かしらの手当てをしてからご来院」というかたがほとんどです。
一般のかたが、慣れないケガに動揺しつつ行った手当てです。
うまくできていなくて当然くらいの心持ちで診察しているので
いきなりダメ出しすることはまずありません。
が
治療しつつ
お願いだからこの手当ては金輪際やめておこうね
という思いで強めに念押しする場合もあります。
それが
動物に咬まれたキズにキズパワーパッドを貼っちゃってる患者さん
このネタ、過去に数回記事にしている内容ではありますが
年に数名お見掛けするので、やはり定期的に注意喚起は必要だなと思う次第。
以下、過去記事に手を加えつつ書かせていただきます。
7年前、我が家に来て1か月ごろの猫氏。踏みつけられているのは夫氏。
動物による咬みキズで一番やってはいけないこと、それが密閉です。
特に、牙がグサッと刺さってスポッと抜けたタイプの咬みキズでは、
ぱっと見たところ牙のサイズの小さい傷があるだけで、たいして出血もしません。
あっても、押さえていればたいてい止まります。
牙でズバッと裂かれた傷ならかなり出血しますし、見た目も相当な惨状なので
病院に行かねばならぬ
という気持ちに駆られるでしょうが、見た目小さい傷で、血も止まったとなると
なかなか病院に行く気が起こらないのが人情だと思います。
が、しかしこのタイプの傷、実は牙の刺さった経路に沿って狭くて深いポケットが形成されています。
そして、そのポケット内には、口腔内の細菌が押し込まれている可能性が非常に高いのです。
表面を一生懸命流水で洗ったところで、ポケット内に押し込められた菌を洗い流すのは、まず不可能です。
このような傷に
「そういえば、CMで3倍速く傷が治るって言ってた!」
と思ってキズパワーパッドを貼り、密閉すると、どうなるか。
出口のふさがれたポケットの中で、貯まった浸出液がエサとなり
ものすごく効率よく増殖します。細菌が
だから、キズパワーパッドのように密閉するタイプの保護材はNGなのです。
じゃあ、こういう時はむしろガーゼで乾かす方がいいの??
と、思うかもしれませんが、実はガーゼを当てると傷の表面が乾燥し
傷の出口に「フタ」してしまう状態になるのでやっぱりよろしくありません。
さて、それではどうすればいいのか。
理想的には、医療機関を受診する方が良いと思います。
とは言え、すぐに受診するのはちょっと難しいような場合は
- 少なくともキズパワーパッドで密閉するのだけはやめて
- しっかり傷を洗ってから、ドラッグストアで抗生剤入りの軟膏をややたっぷり目に塗り
- 浸出液をしっかり吸える、大きめサイズのカットバンで覆って様子を見る
というのが次善策かなと。
それでも、腫れや痛みが徐々に強まるような場合は
迷わず医療機関へGOです。下手すると命にかかわります。
傷のポケット内に押し込められた細菌を洗い流すためには、それなりの道具がないと難しいです。
そして、ポケット内に浸出液が溜まるのを防ぐため
内→外への流れ(ドレナージ)を維持する工夫が必要です。
当院では、3-0のナイロン糸をこより状にしたものをキズのポケット内に挿入しておくことが多いです。
また、傷の出口が乾くとフタになってしまうので、ほどよい潤いを保ち
内→外への流れを邪魔しない保護剤をチョイスするのがキモです。
要するに、
密閉するのはNGだけど
湿潤環境を保つのはダイジ。
これ
湿潤治療=キズパワーパッドで密閉する傷の治療だと思い込んでいるひとびと(含む医療従事者)には
なかなか理解してもらえないのですが
湿潤治療の基本は
消毒薬をはじめとする『組織を傷める外用剤』を使わず
傷の表面に適度な潤いをもたせて
治癒に最適な環境を整える
ことにあり
「適度の潤いをもたせる」ことができれば密閉しなくたっていいわけです。
さらに、細菌の増殖を効果的に抑えるため、抗生剤の投与が非常に有効でもあります。
ウイルス性のかぜで処方される意味のない抗生剤とは全然違って、この場合
神レベルで必要なお薬です。
現代人で良かったよーーーー
と、いうわけで、色々書きましたがとりあえずこれだけ覚えておいてください。
猫や犬の咬みキズにキズパワーパッド貼るべからず。
そして
できることなら病院行こう。
以上、町医者形成外科からのメッセージでした。
キズパワーパッドの箱の前面に思いっきり注意喚起してほしいんですけどね個人的には...