●1月の手島院長休診日はありません
こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
無事、陥入爪治療から卒業したてしま家長男氏。
今回は「陥入爪を治療してもこじれる場合」について書くつもりでしたが
先に
なぜ長男の場合は順調に治ったのか
の考察をすることにしました。
最初に申し上げておきますが
我が子の治療だから、他の患者さんより丁寧に治療した
ってことはありません
処置後の経過チェックも、治療翌日に診たその数日後、本人は島根に戻ってしまいましたし。
最初は1~2週間に1回くらい「その後どうよ?」と聞いてみたけれど、順調そうなのでそこまで追求せず。
10月以降は1か月に1回くらい写真を送ってもらいましたが
これってほぼ、通院している患者さんと同じペースでの経過観察です。
そういうわけで、順調だった理由はVIP扱いには非ず
以下、主治医(母)の考察。
理由その1 指に加わる刺激が少なかったこと
私が長男の陥入爪に対して実施した手術は
『楔状(けつじょう)切除術』
といって、皮膚に食い込んだ爪を斜めに切除する方法です。
食い込み部分が無くなれば炎症は収束し、指の腫れも引いて
腫れが引いたところに新しい爪が伸びてくる、という算段の治療法。
ただ、いくら食い込んだ爪を除去しても、
きつい靴で外からぎゅうぎゅう押されたり
長時間歩き回ったり
激しい運動をしたりしていたら
炎症はなかなか収まってくれません。
炎症の収まりきらない間に新しい爪が伸びてきて、また食い込み、痛くなる...
という患者さんも、これまで何人か経験しました。
うちの長男の場合
- 高校は革靴着用義務なし
- 寮と学校は徒歩2分以内の至近距離
- 運動苦手な文化部男子
と、治療中の足指に加わる負担が極小だったことも功を奏したのではないかと思います。
理由その2 テーピングを効果的にできたこと
上で説明した『楔状切除術』を行った後の爪は
めっちゃ深爪な状態と変わりません。
これから伸びようとする爪の進路を妨害します。
このため、テーピングを継続して「爪が伸びてくるスペース」を用意してあげるのが大事なのです。
多くの場合、手術で痛みと腫れが取れてしまうと、患者さんは
「治った!」
と自己判断して、面倒なテーピングを中止してしまうことが少なくありません。
喉元過ぎれば、ってやつです。
ここで頑張れるかどうかが実は肝。
この点、長男は親の目が無くてもまじめにテーピングを続けてくれたので、まさに模範患者と申せましょう。
賞賛に値します。
ただ、テーピングは、足の汗が多くて剥がれやすかったり、肌が弱くてテープかぶれを起こしてしまったりする場合もあり、
ご本人にやる気はあっても続けるのが難しいこともあります
そういう意味で、長男は肌質としても恵まれていたのかもしれません。
理由その3 変形の少ない爪であること
分厚い爪だったり、強い巻き爪変形があったりすると、もともと皮膚に食い込んだ形をしているので治療に難渋します。
また、変形した爪は伸びるスピードも遅いことが多く、切ったところが先端に届くまで非常に長い時間がかかります。
時間がかかればそれだけテーピングを続ける根気が続かなかったり、何らかの刺激が新たに加わる機会も増えます。
長男の爪は厚みも普通。
横方向の巻き爪変形は少しあるものの軽度でした。
また、若い10代男子という点も、短期決戦で勝利できた要因の一つだと思います。うらやましい...
理由その4 もともとの爪の横幅が広くないこと
これまで色々な患者さんの陥入爪を見てきましたが
この爪は、横幅が広いなあ
と感じることが時々あります。
そういう患者さんは、多くの場合陥入爪を繰り返していたり、1年以上炎症が治らずに続いていたりすることがしばしばで、爪の食い込みを取るだけでは治りづらく、爪の横幅を狭くする治療が必要な場合が少なくありません。
長男の爪からは、特段幅の広い印象を受けなかったので、簡易手術の楔状切除で十分だと判断し、実際それで問題なく治ったのでしょう。
少なくとも、我が家の長男に関して言えば、以上4つの点において「治りやすい条件」が揃っての、順調な経過だったように考察しております。
主治医(母)にとってはありがたい患者さんだったということでファイナルアンサー。
いやホント、家族の治療が上手くいかないと、かなり寒いですからね…ヨカッタヨ…
陥入爪記事、続きます。