こどものやけど跡 | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪


こんにちは。

もものマークのクリニック 院長てしまですニコニコ


このところ、色々とバタバタで

ブログの更新がとんとご無沙汰しておりましたあせる



そうこうしているうちに、てしまクリニックの診療は明日が年内最終日です。

本日27日金曜午前も、それなりに混雑した外来になりました。

今日印象的だったのは、現在7歳のお子さんが1歳の時にやけどした跡のご相談。

関節にまたがる部位ですが、幸い機能的な障害は伴わず

跡もケロイドなどの盛り上がった状態ではなく、柔らかく平たい、色味も周囲とそれほど違わない色合いでした。

それでも、やけどの深さがある程度深かったので、肌理(きめ)や質感は確かに周囲の健常な皮膚とは異なります。

「跡、あるよね」と誰の目にもわかる程度には残る跡。


親御さんは

「動きには問題無いし、治りたての頃に比べれば確かに良くなったんですけど。でも…これ以上は、良くならないのかな、と思って……。」

と、けして、過剰に心配する様子ではなく、それでも、やっぱりこどものことが心配で、できること、やっておいたほうがいいことがあるなら知りたいと思って相談に見えた、という感じでした。


そうですよね。確かに、親としては心配になりますよね。

と、診察室の私は切り出しました。

ただ、今現在、本人がこのやけど跡を気にしていないのなら、親が色々やってあげなきゃと頑張りすぎなくていいんじゃないかと、私は思います。

やけどの瘢痕のせいで関節の動きが制限されているとか、跡が痛かったり痒かったりして困るとか、そのような状態なら、医療的にできることはあります。
お子さんは幸いそうではない。

だとすると、このやけど跡と付き合っていくお子さん自身が、自分の中で折り合いをつけながら成長していくことになります。

ひょっとしたら他のお子さんに
「それどうしたの?」
と聞かれることは、あるかもしれない。

そう聞かれたとき、本人がどう思うか。
それは、その時になってみないとわかりません。
嫌な気持ちや悲しい気持ちになることも、あるかもしれません。

それでも私は
「聞かれたらかわいそう」
と親が先回りして心配する必要は、無いと思うんです。

こどもは親の気持ちに敏感ですから、親が傷跡に意識を向けすぎると、気にするようになります。
それって、こどもにとって幸せなことでしょうか。

跡があろうとなかろうと、お子さんと仲良くなる子は仲良くなるし、そりの合わない子とは喧嘩するでしょう。

もし、何かやけど跡について心ないことを言われて本人が悲しい思いをしたら
「これは、あなたが頑張ったしるしだよ」
と、言ってあげて欲しいなと、私は思います。


そして、本人が大きくなって、ある時本人の意思で
「このやけど跡なんとかできないかな」
と悩み始めたら

そのときは
「てしま先生に話を聞きに行ってみたら?」
と、アドバイスしてあげてください。

来てくれたら、その時にわたしが持っている知識を総動員して、相談に乗らせて頂きます。


そんな風に、お話ししました。

親御さんはほっとされた表情になり
そして、少し恥ずかしそうに笑いながらおっしゃいました。

「実は、今日こちらに連れてくる時、ここの跡のことで、お医者さんに相談しに行こう、と言ったら
『へ?なんのこと??』
って、本人は言っていたんですよ。」


そうですか。
それは、良い傾向ですね。

それくらいおおらかな方が、人生幸せに過ごせると思います。

まあ、その感じだとこの先10年くらいはあんまり跡のことで悩むことも無いかもしれませんね。

で、10年経ったら




わたし、アラ還ですわな笑い泣き

(アラ還=アラウンド還暦)


……うん、今のところ、その歳でもここで元気に働いてる予定だから、たぶん 笑