帝王切開後の傷跡ケア③~盛り上がって来た傷跡には~ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

 

こんにちは。

 

もものマークのクリニック 院長てしまですもも

 

 

帝王切開後の傷跡ケアシリーズ3回目。

間が開いちゃってすみませんあせる

1回目はこちら

2回目はこちら

 

 

傷跡は

色々と気を付けていても

また、気を付けたくてもその余裕がなかったりして

 

盛り上がってくることがあります。

 

最初の頃よりも少し幅広くなり

赤みが強くなって盛り上がった傷跡を

『肥厚性瘢痕』(ひこうせいはんこん)

と呼びます。

 

また

 

本来の傷跡の範囲を明らかに超えて

もこもこと非常に強く赤く盛り上がって来たときは

『ケロイド』と呼びます。

 

ただし、これら二つの境界線をはっきりと引くのは難しいとされています。

 

肥厚性瘢痕やケロイドは

傷跡の全長に渡って発生することもあれば

傷跡の一部だけに生じることもあります。

 

傷跡にかかる緊張の強いところに出やすい

摩擦などの刺激の多いところに出やすい

傷の治りの悪かったところに出やすい

 

といった要因も考えられますが

もともとの体質によるところも非常に大きいとされます。

 

 

 

肥厚性瘢痕やケロイドの状態になると困るのが

 

見た目問題以上に

 

突っ張る感じがする

痛い

かゆい

 

といった自覚症状が意外に強いこと。

 

 

また

 

基本的に帝王切開の傷跡は

ズボンや下着の上げ下ろしや

着衣のしわなどによる摩擦刺激を受けやすい場所にあります。

 

このため

 

傷跡が盛り上がる

衣類にこすれやすくなる

刺激を受けて余計盛り上がる

もっとこすれやすくなる

 

という負のループに陥りがち。

 

 

 

これを避けるには、薄いテーピングだけでは力不足です。

 

そんな時、形成外科医がおススメするのが

 

シリコンシート

 

 

ある程度厚みのある板状のシリコンを貼ることで

 

傷跡を保護して刺激を避け

傷跡自体も圧迫して炎症症状の鎮静化を促す効果があると言われています。

 

私が病院勤務自体にしばしば紹介していたのは

 

こちらや下矢印

 

こちらの商品下矢印

 

けっこう高いですあせる

 

 

ただし、このシリコンシート

 

汗をほとんど吸収しません。

 

故に、汗で湿疹やかゆみが出やすい肌質の方や

夏場には

 

著しく不評でしたえーん

 

 

それでも、傷跡が

 

痛い!かゆい!ゲッソリ

赤ちゃんに蹴られただけでも泣きたいくらいシンドイ!!チーン

 

 

と悩むお母さんは、一定の確率でいらっしゃいます。

 

 

そのような

 

症状は強い

でもシリコンシートは使えない

 

というお母さんに対して、形成外科では

 

ステロイド含有シールを処方しています。

これを、傷跡の大きさに合わせて切って貼ると

ステロイドの抗炎症作用で傷跡の赤みと盛り上がりが軽くなります。

 

それでも効果がイマイチだったり

シールを貼るのが難しい(時間がない、かぶれるetc.)

 

そんな時は

 

ちょっと痛い治療になりますが

 

ステロイド局所注射

が非常に効果的です。

 

 

「ステロイド」と聞くと怯んでしまうお母さんは少なくないかもしれませんが

ある程度傷跡の盛り上がりが軽くなると

 

こすれにくくなることで

炎症も起こりづらくなり

 

ステロイドを続けなくても大丈夫になることも多いのですよ。

 

 

「帝王切開の傷跡が気になる」

と言ったら

 

『見た目を気にするなんて!』と思われるんじゃないか

 

と心配して、なかなか相談できなかったという患者さんも

過去にいらっしゃいましたが

 

かゆい、痛い、しんどい、は

生活に支障をきたす立派な『症状』です。

 

困った時には、形成外科に相談して、いいんですよー。