《症例写真》12歳女児 傷跡にまた傷が!? | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪


こんにちは。

もものマークのクリニック 院長てしまですもも


過去記事で、深めのすり傷が治ったあとのマイナートラブルについて
ご紹介したことがあります。

矢印てしまのすり傷~傷跡のマイナートラブル①

矢印てしまのすり傷~傷跡のマイナートラブル②


なんてったって

自分のケガ経験に基づくものですから
具体的なことこの上ない(爆)



とはいえ、そのマイナートラブル中の写真は

うっかり撮影していませんでした。痛恨がーん


今回ご紹介する患者さんはそんなマイナートラブル真っ最中の女の子

写真掲載を快く承諾してくださいました。

ありがとうございますぺこり


1ヶ月前に左膝に受傷し、他院で縫合処置を受けたのですが、

非常に傷の辺縁の血行が非常に悪いタイプのケガの仕方だったので

しっかり湿潤治療をしていても、治癒には時間がかかりました。


完全に傷がふさがるまで要した期間は5~6週間。

でも、クリニックに通院したのは初診から数えて7回。

時間はかかっても、通院回数はそれほど多くも無く

日常生活の制限もほとんどありませんでしたから

治療に伴うストレスは少なかったのでは?と思います。


<受傷後3週目>


傷の辺縁は一部壊死に陥り脱落しましたが、生じた欠損部も湿潤治療で順調にふさがってきています。
保護をハイドロコロイドに切り替えました。


その後3週ほど空いて再診されたとき、患者さんの左膝にはプラスモイストが。

あ、何かあったな、と思いました。


お母さんいわく

「順調に傷は治ってきていたのですが
おとといダンスの練習で膝を繰り返しついたら
一部出血して、赤いところも増えてきて
周りの薄い皮膚もハイドロコロイドに持っていかれそうで怖くなって
こちらに戻しておきました。」

なるほど。

この日の写真がこちら矢印

<受傷後6週目>




膝の傷跡に、薄皮がめくれて傷になった部分があります。

これは、時間がかかって治った傷が

固くて分厚い傷跡(肥厚性瘢痕)になったとき、ちょいちょい見られるトラブルです。


周囲の健康な皮膚に比べ、しなやかさと丈夫さにかける瘢痕組織が

繰り返す関節の運動や

ぶつけるなどの外傷で

ダメージを受けて表面に「血豆」を形成し

それが破れて傷になったものです。


お母さんのおっしゃるとおり、

ハイドロコロイドは粘着力が強いので
かなり気をつけても
浮いた皮膚がペローンと持っていかれてしまうことがあります

そんなときは、プラスモイストのように

傷に直接くっつかない素材に変えてあげるといいですねかお

お母さん、ナイスジャッジ



血豆の再発を防ぐには、安静と保護が必要なのでしょうが

よく動かす関節だからこそのトラブルでもあり

そういう関節を動かさないことの弊害も無視できません。


瘢痕の組織が成熟し、周囲と徐々になじんでくると

自然とこのトラブルは発生しなくなってくることがほとんどです。



なので、過剰に心配せずに

剥けちゃったらそのとき治療すればいいわ!

くらいにドーンと構えておいたほうが

精神衛生上も良いと思いますよーニコ