こどもの傷跡 | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

昨日に続き、形成外科医として傷跡について思うことをもうすこし。


うちのクリニックには、お子さんの傷跡の相談で受診される親御さんも多いです。


受傷後1年以内の傷跡は、時間の経過とともに周囲に馴染んでくることがほとんどなので

まずは余計なお金や時間をかけずに、時が経つのを待ってはいかがでしょう、
とお話しすることになります。

心が深く傷付いたら、そうそうすぐに元気になんかなれないでしょう

身体だって同じです。そうそうすぐに綺麗になんかならない。

とは言え、病院にかかるようなケガをすることなど人生において稀少なことですから、どんな経過になるか心配な気持ちも良く分かります。

だから、「これって普通の経過なんですか?」と質問して頂くのはもちろんOK。

ただし、経過に問題が無い時の私の返答は
「あ、ダイジョブ」だの「うん、いいね~いいね~」だのと
いたって簡潔なことが多いので、

優しく慰めてもらうことを期待していたらたぶん裏切られます。
あしからず。


一方、時間の経過した傷跡に対しては、これといった治療を提案出来ないことがほとんどです(注 ケロイド、肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮などの異常な状態は除く)

世の中には、傷跡を目立たなくすることを謳ったレーザーも確かにありますが

その機械、うちのクリニックにはありません。

なので

「ごめんなさい、私には何もできません。」

で終了、となることも多い。
心苦しいことです。


ただ、ただね。ひとつだけ言わせてほしいことがあります。

こどもの肌に残る傷跡、それを

「ああなんてかわいそうなの

という目で見つめないでほしい。



傷にも色々な理由があるでしょう。

それによって、親の思いも様々でしょう。

でも

「かわいそう」

という目で親が見つめ続けたら

こどもはきっと

「こんな傷がある私ってかわいそうなんだ」

と思ってしまう。

それって、親御さんが我が子に望むことですか?


「女の子なのに、こんな傷あとがあったら、お嫁にいけなくなっちゃう。」


.........って..........

『そんな傷あとのある女じゃお嫁にもらえない』なんてことを言うバカ男と大事な娘を結婚させたいか?アンタ??


親御さんに連れられてきた患者さんが、小学校中学年くらいの年齢であれば

私は時々本人に聞きます。

「あなたはその傷あと、気になる?」って。

すると

清々しいまでに大きな声で「ぜーんぜん!」という子もいる

困ったような顔で「うーん.......そうでもない」という子もいる

私を見て「うん......ちょっと、気になる」という子もいる

どんな答えでもいいんです。

お子さん自身がどう思っているのか、親御さんにも聞いてほしいのです。



その傷あとは、本人のものだから。

どんな理由であれ、子ども自身が折り合いを付けていくべきものだから。


余計な心配、すんな。
心配しすぎて、その子の大事な時間を奪うな。

頼むから。