うちのクリニックの名前は
『てしま皮膚科・形成外科』
クリニックHPの院長プロフィールを見て頂ければ明らかなのですが、私は形成外科の専門医です。
皮膚科の専門医資格は持っていません。
医院が『診療科』として外に広告している科目のことを、その医院の『標榜(ひょうぼう)科目』と言います。
現在の日本の制度だと、医院開業時の標榜科目は、医師免許を持っていれば、麻酔科と歯科以外どれを選択しても良いのです。これ、一般的には知らない方が多いのでは。
ましてや専門医のあるなしに至っては、全く関係ありません。
でも、安易に経験の浅い科を標榜してヘタクソな治療をすれば、医院の評判を落とし、自身の首を締めることになるのは自明の理なので、標榜科の選択には当然慎重になります。
で、私もクリニックの開業時、すごく考えました。
医院名は分かりやすく
『てしま○○科』
としたい(←ここに拘ってしまったのが現在の悩みにつながっている(^^;;)。
かと言って
『てしま形成外科』
では科目の認知度がまだまだ低い。
(今だにねんざや打撲の人が『整形外科』と間違えて受診するなんてザラです(苦笑))。
そして、一番の問題はここ。
私が得意とするのは湿潤治療の必要な外傷(擦り傷、やけど、その他)や、おでき、水いぼ、いぼ、とびひ、巻き爪の治療。
その患者さんが、まず真っ先に何科を探すかといえば、やっぱり『皮膚科』。
でも、専門医でない自分が『皮膚科』を掲げて、しかも専門である形成外科よりも前に科名を出して、果たして良いのだろうか。
ぐるぐるぐるぐると、毎日考え続けました。
そして最終的には
『自分が自信をもってサービスを提供できる分野の患者さんが、出来るだけ容易に自分にアクセスできるように』
ということを重視し
『てしま皮膚科・形成外科』
という名に決めました。ところがやはり案の定、ちょいちょい問題は発生します。
何回かうちに通ってもらっても、イマイチ良く治してあげられない患者さんに
「院長の私は形成外科専門医なので、皮膚科専門医のいる曜日に受診しなおして頂けますか?」
または
「(同上)皮膚科専門医のいる施設にご紹介しても良いですか?」
と言った時。
また別のケースでは、他の皮膚科を色々周り、うちに辿り着いたという初診の方に、念のためしょっぱなから
「私は皮膚科専門医ではありませんが、お話を伺って出来るだけのことはします。」とカミングアウトした時。
いずれの状況でも、一番多いのは
「ああそうなんですね。でも良くなるなら何でも良いです。」
という反応の患者さんです。
ただ
「なんで院長が皮膚科専門医じゃないんですか。」
(ナンデッテイワレテモ。(´д`lll)
「てっきり専門医だと思っていたのに。だまされた気分です。」
(ダマシタオボエハナインデスガ(T▽T;)
「専門医でもないのに何で皮膚科を名乗っているんですか。」
(ソ…ソレニハフカイリユウガヽ(;´ω`)ノ)
患者さんは、たぶん、自分の持つ悩みでいっぱいいっぱいだと思うのですよ。
私を頼って、受診してくれたんだと思うんです、きっと。
だから、期待に応えてくれない医者に、一言言いたいに違いない。
でも
やっぱり凹むわーーーーーーーー(TωT)
そしてそんな患者さんには、こちらからも一言だけアドバイス
「専門医」という肩書を得るために、その人が培った経験と努力は確かに存在するけれど
「専門医」がその分野のすべてに精通している訳では無いし、かつ医者として優れているかどうかはまた別の話
さらには、
その医者が技術的に優れているかどうかと、患者さんとの相性がどうかは、さらにまた別の話
なのです。
だから、
自分の好みの開業医(肩書きとか、経歴とか、年齢とか、性別とか)を受診したい人は、クリニックのホームページを見て院長のプロフィールを確認したり、
ブログがあれば覗いたりして、その人となりを把握しておくのも手です。
(多少盛られていることはあっても、完全なる粉飾は珍しいかと)
ま、先にも述べましたように
うちのクリニックの場合、医院名が患者さんに与える誤解の占める割合が多いようです
『てしまクリニック』でもよかったんだけどさ、名前で何科か分かる方が良いと思ったんだもん。シクシク(ノД`)・゜・。
クリニックが地元に馴染んだら、
『てしまクリニック』 & 診療科目:形成外科・皮膚科
の掲示に、いつか変えよかな。
そんなことも時々考える、2年目院長のてしまです。
ちょっと愚痴っぽい記事でごめんなさいねー