どんな映画が好き?と聞かれるとジャンルは「フランスのモノクロ映画」と答えるのに
無人島に持参する(若しくは棺桶に入れる)一本を選べと言われると
それはもう『オペラ座の怪人』(2004)をおいて他にありません。

ジョエル・シュマッカー監督の映画『オペラ座の怪人』が公開された時
確か11回、上映期間中に劇場へ足をはこびました。
その後、名画座・アンコール上映・DVDをあわせたらきっと鑑賞回数は数百回ほど。

まだ観劇の習慣がない、華の女子高校生だった私は
生まれて初めて観た映画版『オペラ座の怪人』を観て…後頭部を鈍器で殴られたかと思いました。
その時の衝撃たるや、観終わってから時間が経てば経つほど、自分の中で想いが深まって行って
「映画」が初めて私に、また観なければいけないような気持ちを掻き立てたのです。

確か、授業を抜け出す時、担任に「鑑賞届け」なる欠席願を出して、こっそり受理されていたの。先生ありがとう。

その頃はアルバイト代を、オペラ座の怪人の各国語CD・楽譜・書籍蒐集に充てました。




私が大学受験やセンター試験(共通一次)を英語ではなくドイツ語で突破することができたのは、確実にドイツ語版の歌詞を全暗記していたからだと確信しています。

(ドイツ語版のJana WernerちゃんとUwe Kröger様が心の底から大好きでした…)

映画版「オペラ座の怪人(2004)」は、

当時としては異例の期間のロングラン上映があったり

試写会でもない普通の映画館なのに、エンディングロールの後に観客総立ちのスタンディングオベーションがあったり


字幕改正請願運動があって日本版だけDVD化が著しく遅れたり(私も署名しました)
戸田奈津子先生が上映版とDVD版で字幕を変えてくださったりと
なんだかもう映画を取り巻く社会現象の全てがすごいことでしたのよ。

↑そもそも幾つも訳語のある「passion」を

字数制限のある字幕一つで表現しようとするのに無理があるのは当然のことで、宗教的な背景で意味合いも変わります。

言語処理(良い言葉で言えば言語表現)と価値観、解釈の違いという問題に向き合ったことは、後の人生(専攻)を大きく変える礎となりました。


キリスト教義的解釈や、イコノロジーの観点から見ると
観たら観た分だけ沢山の解釈が生まれるのが芸術作品の凄いところで、
娯楽作品とたかをくくっていたミュージカルにそれをやられてしまったので
自分の中の価値観の転換に混乱を生じたのだと思います。

あの頃はまだAndrew Lloyd-Webberの凄さを知らなかった、
そして数年後、『キャッツ』や『ジーザス・クライスト・スーパースター』を観て、更に平伏したのでした。


25周年記念アルバートホール版は本篇の素晴らしさもさることながら、
その後も夢のようでした。

カーテンコールの域を超越したカーテンコール!
A.L.Wが手を取った人を紹介したある言葉
とてもここには書けないから、ぜひDVDを観てみてくださいね。

今回、胸を締めつけたのは、Andrew Lloyd-Webber自身がオペラ座の怪人であったこと。

芸術家という星のもとに生まれた人間の運命

でも、少しでも幸せになって欲しいと願ってやまないのです。
我が人生に一片の悔いなし。ありがとう、Andrew。

10年後に、発展途上国に映画館を作るNPOで活動をすることになったのも、恐らくこの鑑賞体験がきっかけです。(後編に続く→)






 

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