といっても大所帯の子供クラスは、巷の絵画教室に毛の生えたようなもので
美大生の先生たちとお喋りしながらお絵かきをしたり、遊びの延長で工作をしたり。
自分より大きいノコギリや糸ノコを使ったり、はんだゴテで髪の毛を焦がしたり、
夏休みには、無人島へ出かけたり、川でキャンプをしたり、
クリスマス会にはみんなでお菓子の家を作ったり、
色~んなことを体験させてくれた、とっても自由で素敵なお教室でした。
生まれてから両親にしてもらったことの中で一番価値のあるものって、
今になって思うと、アトリエへ通わせてもらったことかも知れません。
お教室の隅っこには、煮詰まった時のための参考資料というか、
図鑑や絵本やカタログといった沢山の本が本棚に並んでいました。
その中で最も気に入っていたのが『ノーム』という絵本です。(なんと遠藤周作訳!)
「小人や妖精は本当は居るんだけど、大人は見えなくなってしまっているから、子供だけで探してみようよ」というような趣旨だったと記憶しています。
「不思議なものといえば、ケセランパセランがあるよ」と教えてくれて
教室の子どもたちは俄然色めき立ちました。
先生も昔、小学生の頃にこれを飼っていて、
おしろい花の種の粉を餌にあげたら、翌日減っていたそう。
その日から、アトリエに通う小学生全員の関心事はケセランパセラン一色となりました。
通っている小学校もばらばらだったため、其々が自分の地域から情報を持ち寄り、
週に一回アトリエで秘密会議を行いました。
もうその頃、道を歩けばケセランパセランしか探してなかった。
季節が変わり、秋の終わり頃、近所の駐車場でそれらしきものを発見し
ビンに入れてアトリエに持って行きました。
先生が「私が飼っていたものと同じだ」と認めたため、
しばらくアトリエに置いて、皆で観察していたように思います。
今、その駐車場のあった場所は高層マンションになっています。
夢を与えてくれた先生は、屋久島へ移住後、音信不通になりました。
で、本当は一体何だったんでしょう?ケセランパセラン。
どなたか情報をお持ちでしたら、ぜひ教えて下さいね♡