皆さんはマーク エステルという画家をご存知でしょうか?





1980年に外交官として日本に来日した後、京都の清水寺で水墨画の掛け軸を見て、墨の滲みの神秘性に魅せられて画家に転身されました。


日本神話を愛し、多くの神話の作品を残しておられます。伊勢神宮を初めとし、沢山の神社に絵画の奉納をされています。




私がマークさんを初めて知ったのは、糸島のコスモポートに伺った時です。


マークさんが吉丸先生を日本のお母さんと呼んでおられ、彼の絵が沢山飾られていました。





日本神話を題材とした素晴らしい作品の数々を見て、いつか私もマークさんにお会いしてみたいと思っていました。


東京の帝国ホテルに彼のギャラリーがオープンした時も、都合が合わず伺えずにいました。





その時に友人がプレゼントしてくれた画集です。






天皇陛下の即位をお祝いする国民祭典の際には、マークさんの絵が紹介されていました。


なんとその時の絵は、吉丸先生が貸し出されたものなのです!








糸島のコスモポートに通い始めてから5年程経ちますが、マークさんとお会いする機会は訪れずにいました。


今年に入って6月に酵素断食のコースに参加させていただき、大阪に帰った翌日のことです。


その日の朝、パートナーがいつになくお弁当を作って欲しいと私に頼んできました。


あまりそんなことを言わない人なので、張り切って準備しようと思っていたのですが材料が何もなく、、、スーパーに買い物に行こうと思ったら、家族が車を無断で使っていた事を思い出しました。



「時間もないしどうしよう、、、せめて卵焼きだけでも!」



近くのコンビニに歩いて買い物に出掛ける事にしました。



そこでふと思い出したのが、近くにある自然食のお店のことでした。


身体に優しい食材を使ってランチを提供していたり、時々、野菜や卵を販売していたことを思い出しました。


「せっかくだから、良い卵を買いに行こう!」


私は少し足を伸ばしてそのお店に行くことにしました。


「今日は卵はありますか?」




お店に入りスタッフに尋ねると、中から卵を取り出して来てくれました。


このお店は、以前からマークエステルさんの絵を飾っておられて、ご縁は感じていたのです。




「今、マークさんの個展をしているんですよ。是非ご覧になってくださいね。」


奥からオーナーが出てこられてそう仰ったのです。




「実は、昨日までマークさんが日本のお母さんと呼んでいらっしゃる吉丸房江さんがやっておられる酵素断食のコースに参加していたのですよ!」


私はオーナーにそう伝えると、彼は少し間を置いてから、こう言いました。



「その方はマークさんのご家族のような方なのですね?」



「実は、マークさんが数日前にここで脳梗塞で倒れられたのです。吉丸先生に是非連絡させてください。」






私はすぐに吉丸先生に電話をして、マークさんの状況を伝えてオーナーに電話を変わりました。


「すぐに行きたいところだけれど、今はここでお祈りをしますね。」



先生はそう仰いました。


マークさんは吉丸先生に連絡をして欲しかったのでしょう。


もし、パートナーにお弁当を作って欲しいと言われなかったら、、、

もし、車があれば、、、

私はそのお店に行くことは無かったのです。






マークさんはフランスの方で日本にはご家族がおられなかったので、吉丸先生に連絡がいく道筋がなかなか無い中で、たまたまの偶然が重なって私から吉丸先生に繋がりました。



私がコスモポートから帰ったばかりでなく、その話をしなければ、オーナーからマークさんのことを聞くことも無かったのです。


いろいろなことが重なって、マークさんの危篤が吉丸房江先生に伝わったことは、本当に不思議な縁を感じる出来事でした。


その後、残念ながらマークさんは、運ばれた病院で亡くなられました。


こちらがマークさんが最後に訪れていたカフェやまとやしろです。

やまとやしろのオーナーは、住吉大社でマークさんを送る会を主催されて、心の籠ったお見送りをされました。



「穏やかな顔でマークさんが出てこられました。」

後に、吉丸先生は、マークさんのことをお祈りした時の事をそう話されていました。


私は、一度もマークさんにお会いすることはありませんでしたが、私の会社から数分の場所でマークさんが倒れられたことや、お葬式もその場所で行われた事に、大きなご縁を感じざるを得ません。


今もこのお店には、たくさんのマークさんの絵が飾られています。


私も時々訪れてランチをいただきながら、マークさんを偲ぶ時間を過ごしています。