一方、ソラと分かれたミコトは彼女の腰ぐらい高さの壺をひっくり倒していた。
その中にある液体が床一面に広がり、その液体独特の臭いが鼻腔をくすぐる。
「これでいいのよね?」
そこにいないソラに確認するミコトは撒き終えると走り出す。
「よし完璧!」
そしてミコトは暗闇に消えていった。
*
寺を見下ろし浮かぶお坊さんは錫杖を回転させる。
始めの時と同じ様に黒水の円盤が出来上がる。
お坊さんはその間に残った五つの水球を一つに纏め上げる。
それは一つの巨大な黒水球になり、空を覆う。
「あれは、まずいな」
ソラがそれを見て咄嗟に青い炎を放つ。
数メートル大の黒い水球を爆発させた青い炎だったが、巨大なく黒水球に炎が入り込むがドンドンと縮小していき、消え去っていた。
「くそ、大きすぎて無理か、」
お坊さんは錫杖を縦横無尽に振り回し、先ほどの黒水の円盤を分割して小さめの円盤三枚を作り出した。それをお坊さんは放った。
ソラは刀を振って炎で一、二枚目を炎で焼き尽くして三枚目を刀で防御する。
しかし防御した三枚目の黒水円盤が飛び散る、すると体中に水の破片が突き刺さる。
「かはっ、」
痛みに膝を着くソラにお坊さんは邪悪な笑みを魅せ付ける。
そして高々と錫杖を振り上げる。
「死んでしまいぃ」
思いっきり錫杖を振り下ろすお坊さん、それに伴って空を覆いつくすほどの黒い水球がゆっくりと落ちてくる。
人外の災害のレベルにまで高められた脅威にソラは冷や汗をかいていた。
(まだか?ミコト?)
心の中で呟くソラに待ちわびた声が届く。
「ソラ!準備いいわよ!」
ミコトはいつの間にか寺の外でソラに向けて叫んでいた。
その声に反応し、喜色を浮かべるソラに対してお坊さんは彼女がそこにいることに驚いていた。
「いつの間に!?」
「ミコト!隠れておけ!」
「うん!」
今度はソラの忠告を素直に聞いてミコトが寺から走って離れていったのを見送ると一掴みの炎を寺の床へと放り投げた。
ミコトによって寺にばら撒かれた油を伝わり紅蓮の炎が燃え広がった。
唐突に現れる炎の山とその真意を測りかねるお坊さんは眉を顰める。
「なんだというのだ?」
しかしお坊さんは余裕の態度は崩さない。
それは過信とも受け取れられかねない自信の表れだった、しかしソラもまた自身に溢れる声で告げる。
「俺の力は炎を生み出す力だけじゃない、炎を操る力でもある!」
そう言い放つと青い炎を纏う刀が寺を燃え上がせる紅蓮の炎を吸い込んでドンドンと大きくなっていく。
「炎が水に勝てると思うかぁ!」
それに危機感を感じたお坊さんは空を覆いつくすほどの黒い水球を落とす速度を速める。
しかしソラはそれでも尚余裕を崩さない。
「あぁ、勝てるね。」
そのままソラを押しつぶす巨大な黒い水球を見て、お坊さんが目を細めて笑う。
しかし次の瞬間に巨大な黒い水球が爆散する。
「な、なんだとぉ!?」
ソラは爆発の勢いで空を飛び、悠長に空中に浮かぶお坊さんに攻撃を加える。
ガキィン!
強烈なソラの一撃をお坊さんは錫杖に仕込まれた隠し刀で受け止める。
その仕掛けを見てソラは馬鹿にしたように笑う。
「仕込み刀か、性格と同じで卑怯な武器だ。」
「何だと!」
「はぁぁぁ!」
刀で圧倒するソラは押し切りお坊さんを吹き飛ばす。
吹き飛ばされたお坊さんは風で体勢を整えながら軽い音を立てて大地に着陸する。
一方のソラは塀の上に瓦を粉砕しながらも着地し次の攻撃に備え刀を構える。
そのソラを見て隠れて見守っていたミコトが嘆息する。
「すごい、これなら勝てるかも・・・」
ミコトはあの寺の大火事が一気に収縮したのを見計らい戻ってくると塀から一部始終を隠れ除いていた。
あんな力があっただなんて、あれならお坊さんにも劣らないんじゃないか?そう思っていた矢先
「ふ、はははっはあははははは!」
しかしながらお坊さんは一撃を貰ったにも関わらず笑顔を浮かべていた、それも特上に歪んだ笑みを。
その笑みの異様さにソラは眉を顰める。
そしてお坊さんは口上する。
「見切った!見切ったぞ!小僧!貴様はもう先程の炎はだせんだろう?」
「?」
すこしだけ顔を歪めるソラはそのままお坊さんの話に聞き入る。
「貴様の炎を生み出す力は圧倒的に弱い、時間をかけて炎を貯蓄しようとも数発の攻撃で枯渇する。より強い炎を扱うためには何処からか燃料を持ってこなくてはならない。そしてその燃料となるものはもう無いだろう!」
そうだ、寺の周囲は荒地だ燃えるようなものはない。
それにあんな巨大な炎が使えるなら少年との戦いに使っているはずだ、あの戦いでは出さなかったんじゃない、出せる状況に無かったんだ。
なら今は?
燃えるものも、時間もない。ネタ切れだ。
ミコトが思案している間にお坊さんが軽く錫杖で地面を突く。
「私の能力は違う。大地から水を汲み上げること出来る、無尽蔵に力を扱えるのだ。」
お坊さんの言うとおり足元の地面から黒い水が込み上げて再び数個の黒い水球を精製できていた。
勝てない、ミコトはそう思っていた。
すぐに相手の弱点を見抜く観察眼、
さらには風と水の力、
加えて数百を越える怨念の力を受けても尚ピンピンとしている精神力。
どれもが桁違いだった。
しかしそんな絶望的状況の中で、
ソラは
笑っていた。
まるでお坊さんが冗談を言っているといわんばかりにクツクツと笑い声を隠し切れないでいた。
その言動に苛立ちを隠せないお坊さんが叫んだ。
「何がオカシイ!?」
するとソラはやはり笑いを堪え切れずにいた。
「確かに、お前の言った弱点は全て当たっている。」
「なら!」
なら、笑う余裕など、ないだろう。そう言いたいお坊さんの言葉を塞いでソラが言った。
「だが!お前は油断している。」
そしてソラはお坊さんを指差した。
「俺が自分自身の弱点を知らないと思うのか?」
「何だと?」
そういわれたお坊さんは数瞬呆気に取られる。
そしてソラは刀を高く掲げて威風堂々と言った。
「俺の炎の色を忘れたか?」
お坊さんは何時の間にか塀を越えた太陽の逆光に目を細める。
「俺の名前と同じ、空色だ!」
「ソラ、」
自分の名前を、新しくつけられた名前を、私がつけた名前を、
ソラは誇らしげに言った、
それにミコトは戦いの最中にも拘らず嬉しく微笑んでしまった。
しかし一転、お坊さんは空の異変に気付いた。
「空が燃えている!?」
お坊さんが改めて目を凝らすと空一面が青い炎で包まれていた。
脅威の光景に声を失うお坊さんにソラは淡々と述べる。
「俺の炎は燃料が無くとも燃え広がるが小さな火種が巨大な炎となるには時間がかかる、お前が気付かないように時間稼ぎにするのに苦労した。」
ソラが振り上げる刀に空一面の青い炎が加わる。
それは天空から大地へと降りる雷、
それは大地から天空へと伸びる樹、
それはソラから発せられる青い炎の柱だった。
お坊さんは恐怖に駆られて錫杖を振るとそこから怒涛の突風が吹き荒れた。
しかし突風を浴びる青い炎はより一層勢いを増して燃え上がった。
理由の分からぬお坊さんにソラは絶望的なまでに無感情に告げる。
「風は炎を更に強く大きく燃え上がらせるだけだ。」
「く、くそぉ。」
ソラがゆっくりと力を込めると青い炎の柱が倒れ始める。
「浄化の炎、なんて生ぬるい炎じゃない。」
その速度は段々と増していく、
「お前を責めぬく煉獄の炎だ!」
そして最終的には異様なほどの速さをもってお坊さんへと倒された。
「させるかぁぁぁ!」
お坊さんもまたそれを防ごうとしていた。
今までに無いぐらいに力を込めて大地から水分を奪い取り自分でも造った事のないほど強大で巨大な黒い水球を精製する。
それを襲い来る青い炎の柱からお坊さんを護る盾とする。
倒れる青い炎柱と黒い水球が接触する。
ジュゥゥゥゥゥウ!!
段々と黒い水球を構成する水が蒸発していく、しかし青い炎柱を押し戻そうとしている。
力は互角、後は使い手の精神力の戦いになっていた。
押すソラとそれを押し返そうとするお坊さんは互いに本気だった。
「はぁあああああああ!」
「ぐぅぅうぬぅぅぅぅ!」
黒い水球と青い炎柱が互いの領分を取り合う中で着実に黒い水球が押されているのがわかった。
その事実を飲み込めないお坊さんは一気に取り乱す、
「私が、この私がぁぁっぁ!!!」
「多くの罪と共に消えうせろぉぉぉ!!!」
取り乱したお坊さんの精神力では保てなかった黒い水球が力を失い、青い炎柱によって完全に蒸発する。
そして黒い水球を蒸発させた勢いのままお坊さんが押しつぶされる。
「ぎゃぁぁぁっぁぁぁ!小僧!!みちずれだぁあ!!」
体を燃やされながらも異様な執念、それは仕方ならぬこと数百の怨念を楽々と囲うことの出来る精神力を持っての執念だった。
自分の錫杖の仕込み刀を抜くとそれを投げやりの応用でソラへと投げつける。
真っ直ぐにソラへと向かう刀をソラの視界は捉えている、ミコトが咄嗟に叫ぶ。
「避けて!ソラァ!」
しかしミコトの思いは届かない、ソラは青い炎柱を支える事で精一杯で動く事が出来ない。腹部へと刺さる刀を見ることしか出来なかった。
「ぁかぁぁっは!」
しかしソラは揺らがない。血を吐きつつも炎の柱を維持することに全身全霊をかける。
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁああああ!」
最後の攻撃を放ったそのあと、お坊さんは跡形もなく燃え尽きた。
その中にある液体が床一面に広がり、その液体独特の臭いが鼻腔をくすぐる。
「これでいいのよね?」
そこにいないソラに確認するミコトは撒き終えると走り出す。
「よし完璧!」
そしてミコトは暗闇に消えていった。
*
寺を見下ろし浮かぶお坊さんは錫杖を回転させる。
始めの時と同じ様に黒水の円盤が出来上がる。
お坊さんはその間に残った五つの水球を一つに纏め上げる。
それは一つの巨大な黒水球になり、空を覆う。
「あれは、まずいな」
ソラがそれを見て咄嗟に青い炎を放つ。
数メートル大の黒い水球を爆発させた青い炎だったが、巨大なく黒水球に炎が入り込むがドンドンと縮小していき、消え去っていた。
「くそ、大きすぎて無理か、」
お坊さんは錫杖を縦横無尽に振り回し、先ほどの黒水の円盤を分割して小さめの円盤三枚を作り出した。それをお坊さんは放った。
ソラは刀を振って炎で一、二枚目を炎で焼き尽くして三枚目を刀で防御する。
しかし防御した三枚目の黒水円盤が飛び散る、すると体中に水の破片が突き刺さる。
「かはっ、」
痛みに膝を着くソラにお坊さんは邪悪な笑みを魅せ付ける。
そして高々と錫杖を振り上げる。
「死んでしまいぃ」
思いっきり錫杖を振り下ろすお坊さん、それに伴って空を覆いつくすほどの黒い水球がゆっくりと落ちてくる。
人外の災害のレベルにまで高められた脅威にソラは冷や汗をかいていた。
(まだか?ミコト?)
心の中で呟くソラに待ちわびた声が届く。
「ソラ!準備いいわよ!」
ミコトはいつの間にか寺の外でソラに向けて叫んでいた。
その声に反応し、喜色を浮かべるソラに対してお坊さんは彼女がそこにいることに驚いていた。
「いつの間に!?」
「ミコト!隠れておけ!」
「うん!」
今度はソラの忠告を素直に聞いてミコトが寺から走って離れていったのを見送ると一掴みの炎を寺の床へと放り投げた。
ミコトによって寺にばら撒かれた油を伝わり紅蓮の炎が燃え広がった。
唐突に現れる炎の山とその真意を測りかねるお坊さんは眉を顰める。
「なんだというのだ?」
しかしお坊さんは余裕の態度は崩さない。
それは過信とも受け取れられかねない自信の表れだった、しかしソラもまた自身に溢れる声で告げる。
「俺の力は炎を生み出す力だけじゃない、炎を操る力でもある!」
そう言い放つと青い炎を纏う刀が寺を燃え上がせる紅蓮の炎を吸い込んでドンドンと大きくなっていく。
「炎が水に勝てると思うかぁ!」
それに危機感を感じたお坊さんは空を覆いつくすほどの黒い水球を落とす速度を速める。
しかしソラはそれでも尚余裕を崩さない。
「あぁ、勝てるね。」
そのままソラを押しつぶす巨大な黒い水球を見て、お坊さんが目を細めて笑う。
しかし次の瞬間に巨大な黒い水球が爆散する。
「な、なんだとぉ!?」
ソラは爆発の勢いで空を飛び、悠長に空中に浮かぶお坊さんに攻撃を加える。
ガキィン!
強烈なソラの一撃をお坊さんは錫杖に仕込まれた隠し刀で受け止める。
その仕掛けを見てソラは馬鹿にしたように笑う。
「仕込み刀か、性格と同じで卑怯な武器だ。」
「何だと!」
「はぁぁぁ!」
刀で圧倒するソラは押し切りお坊さんを吹き飛ばす。
吹き飛ばされたお坊さんは風で体勢を整えながら軽い音を立てて大地に着陸する。
一方のソラは塀の上に瓦を粉砕しながらも着地し次の攻撃に備え刀を構える。
そのソラを見て隠れて見守っていたミコトが嘆息する。
「すごい、これなら勝てるかも・・・」
ミコトはあの寺の大火事が一気に収縮したのを見計らい戻ってくると塀から一部始終を隠れ除いていた。
あんな力があっただなんて、あれならお坊さんにも劣らないんじゃないか?そう思っていた矢先
「ふ、はははっはあははははは!」
しかしながらお坊さんは一撃を貰ったにも関わらず笑顔を浮かべていた、それも特上に歪んだ笑みを。
その笑みの異様さにソラは眉を顰める。
そしてお坊さんは口上する。
「見切った!見切ったぞ!小僧!貴様はもう先程の炎はだせんだろう?」
「?」
すこしだけ顔を歪めるソラはそのままお坊さんの話に聞き入る。
「貴様の炎を生み出す力は圧倒的に弱い、時間をかけて炎を貯蓄しようとも数発の攻撃で枯渇する。より強い炎を扱うためには何処からか燃料を持ってこなくてはならない。そしてその燃料となるものはもう無いだろう!」
そうだ、寺の周囲は荒地だ燃えるようなものはない。
それにあんな巨大な炎が使えるなら少年との戦いに使っているはずだ、あの戦いでは出さなかったんじゃない、出せる状況に無かったんだ。
なら今は?
燃えるものも、時間もない。ネタ切れだ。
ミコトが思案している間にお坊さんが軽く錫杖で地面を突く。
「私の能力は違う。大地から水を汲み上げること出来る、無尽蔵に力を扱えるのだ。」
お坊さんの言うとおり足元の地面から黒い水が込み上げて再び数個の黒い水球を精製できていた。
勝てない、ミコトはそう思っていた。
すぐに相手の弱点を見抜く観察眼、
さらには風と水の力、
加えて数百を越える怨念の力を受けても尚ピンピンとしている精神力。
どれもが桁違いだった。
しかしそんな絶望的状況の中で、
ソラは
笑っていた。
まるでお坊さんが冗談を言っているといわんばかりにクツクツと笑い声を隠し切れないでいた。
その言動に苛立ちを隠せないお坊さんが叫んだ。
「何がオカシイ!?」
するとソラはやはり笑いを堪え切れずにいた。
「確かに、お前の言った弱点は全て当たっている。」
「なら!」
なら、笑う余裕など、ないだろう。そう言いたいお坊さんの言葉を塞いでソラが言った。
「だが!お前は油断している。」
そしてソラはお坊さんを指差した。
「俺が自分自身の弱点を知らないと思うのか?」
「何だと?」
そういわれたお坊さんは数瞬呆気に取られる。
そしてソラは刀を高く掲げて威風堂々と言った。
「俺の炎の色を忘れたか?」
お坊さんは何時の間にか塀を越えた太陽の逆光に目を細める。
「俺の名前と同じ、空色だ!」
「ソラ、」
自分の名前を、新しくつけられた名前を、私がつけた名前を、
ソラは誇らしげに言った、
それにミコトは戦いの最中にも拘らず嬉しく微笑んでしまった。
しかし一転、お坊さんは空の異変に気付いた。
「空が燃えている!?」
お坊さんが改めて目を凝らすと空一面が青い炎で包まれていた。
脅威の光景に声を失うお坊さんにソラは淡々と述べる。
「俺の炎は燃料が無くとも燃え広がるが小さな火種が巨大な炎となるには時間がかかる、お前が気付かないように時間稼ぎにするのに苦労した。」
ソラが振り上げる刀に空一面の青い炎が加わる。
それは天空から大地へと降りる雷、
それは大地から天空へと伸びる樹、
それはソラから発せられる青い炎の柱だった。
お坊さんは恐怖に駆られて錫杖を振るとそこから怒涛の突風が吹き荒れた。
しかし突風を浴びる青い炎はより一層勢いを増して燃え上がった。
理由の分からぬお坊さんにソラは絶望的なまでに無感情に告げる。
「風は炎を更に強く大きく燃え上がらせるだけだ。」
「く、くそぉ。」
ソラがゆっくりと力を込めると青い炎の柱が倒れ始める。
「浄化の炎、なんて生ぬるい炎じゃない。」
その速度は段々と増していく、
「お前を責めぬく煉獄の炎だ!」
そして最終的には異様なほどの速さをもってお坊さんへと倒された。
「させるかぁぁぁ!」
お坊さんもまたそれを防ごうとしていた。
今までに無いぐらいに力を込めて大地から水分を奪い取り自分でも造った事のないほど強大で巨大な黒い水球を精製する。
それを襲い来る青い炎の柱からお坊さんを護る盾とする。
倒れる青い炎柱と黒い水球が接触する。
ジュゥゥゥゥゥウ!!
段々と黒い水球を構成する水が蒸発していく、しかし青い炎柱を押し戻そうとしている。
力は互角、後は使い手の精神力の戦いになっていた。
押すソラとそれを押し返そうとするお坊さんは互いに本気だった。
「はぁあああああああ!」
「ぐぅぅうぬぅぅぅぅ!」
黒い水球と青い炎柱が互いの領分を取り合う中で着実に黒い水球が押されているのがわかった。
その事実を飲み込めないお坊さんは一気に取り乱す、
「私が、この私がぁぁっぁ!!!」
「多くの罪と共に消えうせろぉぉぉ!!!」
取り乱したお坊さんの精神力では保てなかった黒い水球が力を失い、青い炎柱によって完全に蒸発する。
そして黒い水球を蒸発させた勢いのままお坊さんが押しつぶされる。
「ぎゃぁぁぁっぁぁぁ!小僧!!みちずれだぁあ!!」
体を燃やされながらも異様な執念、それは仕方ならぬこと数百の怨念を楽々と囲うことの出来る精神力を持っての執念だった。
自分の錫杖の仕込み刀を抜くとそれを投げやりの応用でソラへと投げつける。
真っ直ぐにソラへと向かう刀をソラの視界は捉えている、ミコトが咄嗟に叫ぶ。
「避けて!ソラァ!」
しかしミコトの思いは届かない、ソラは青い炎柱を支える事で精一杯で動く事が出来ない。腹部へと刺さる刀を見ることしか出来なかった。
「ぁかぁぁっは!」
しかしソラは揺らがない。血を吐きつつも炎の柱を維持することに全身全霊をかける。
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁああああ!」
最後の攻撃を放ったそのあと、お坊さんは跡形もなく燃え尽きた。