私の立っている傍に青い炎が落ちると燃え広がる前に風がそれをかき消す。

ソラと呪われた少年の闘いの艶美さに心を奪われている私の傍にソラは飛んできた。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

荒く肩で息をするソラ。見るからに疲れて余裕がないのが見て取れる。

「大丈夫、ソラ!?」

私が近寄っても何も言えないぐらいに疲弊していた。

「はぁ、はぁ。なかなか、面白い奴だ、」

一方で少年も息を大きく荒げてふわりと着地した。
少年が弓矢を構えると同時にソラも刀を構える。
しかし少年の表情はソラとは大きく違っていた。
少年は疲れを見せながらもあからさまに笑みを浮かべていた。

「はじめの炎に比べて弱くなったな?」

ソラが何も言わずに沈黙を守っていると少年は更に笑窪を深める。

「なら、これで、」

声高々に叫ぶ少年に私は恐れを抱いた。

(来る、やばいのが!)

そう思っても体は瞬時には動いてはくれずに弦を引く少年に温情のかけらも見つけられない。

「終焉だ!」

少年が叫びと共に放ったそれは今まで最大の風、というには桁が違った。
それは壁だった、風の弾丸というよりも文字通り風の壁のように力強く乱暴に押し迫っていた。

「あぁぁ、ひゃぁ!」

呆けている私をソラが抱えて少年の反対側へ疾走した、ソラは走りながらも自身の周囲に青い炎を廻らした。
風の壁を数千、万に匹敵する矢が突き抜ける。
その矢は青い炎によって焼かれるが風によって弱った炎は全てを防ぐ事は出来なかった。
炎を通り抜けた何本かの矢の一本がソラの足に刺さった。

「ック、」

それでもなお走ろうとするソラだったが、足を射止められて速度が落ちた私達に風の壁に追いつかれてしまった。
中に入った私達は風で重さを失って吹き飛ばされる。

「!」

瞬時に私を抱きかかえたソラが吹き飛ばされる勢いは何本か竹に当たっても弱まらない。

「きゃぁぁぁぁ!」

ソラと私は飛ばされる風の勢いのまま渡るはずだった谷の橋を見ながら谷底の川へと落ちていった。