十を越えた程度の幼さの残る少年がその体格には合わない弓を背負っていた。
だが少年というには少し貫禄がありすぎる気がして。
「お兄ちゃんも禊目当て?」
少年の特有の声を隠さずに聞いてきた。
ソラは何の戸惑いも見せずに刀を構えた。
「あぁ、お前もか?」
ニヤリと笑みを浮かべることで少年は返した。
一方の私はまたしてもマヌケな格好で地面に伏せていた。
「子供、なの?」
「侮るな、説明しただろう。呪われた者は不老だ。見た目は判断基準にならない。」
注意を促すソラの横顔は素人の私でも分かるほどに殺気立っていた。
むしろソラは巨人の時よりもはっきりと認知出来る程の圧を放っていた。
しかし少年のほうはつゆともせず笑っていた。
「殊勝だね、こう見えても今年で百二十六歳だ。」
「年を覚えているなんて無意味な事を、」
得意気に語る少年を一笑するソラに対して顔をゆがめて弓を構えた。
「吹き飛べ。幼いものよ!」
そういうと少年は矢も何も取らずに空手で弓を引いて放つ。
すると周囲の空気を巻き込み一つの烈風と化して空に襲い掛かる。
それは初めにソラに襲い掛かった時の烈風とは格が違い飛ばされた小石が弾丸のよう飛び、力強く生えた竹を薙ぎ倒した。
直線に奔る風を横に避けたソラは青い炎を刀に滾らせて少年へと走った。
少年は落ち着いて腰の袋から一本の矢を取り出す。
そして矢を強く引っ張りつつソラに狙いを定める。
「疾!」
ビュッと軽くも勢いのある音がした瞬間に射った矢が不自然に広がる。
一本が二本、二本が四本、四本が八本と数を増やしていき最終的には空間が数百本以上の矢によって埋め尽くされ、ソラに迫っていった。
「!」
その攻撃が物理的に避けることが出来ないと瞬時に判断したソラは速度を落とさずに直角に曲がり巨大な大岩へとむかった。
ソラが隠れようとしている間にも少年は二発、三発と矢を放ち、彼を襲う矢はすでに千を越えていた。
ソラは矢が襲い掛かる中で何とか岩に隠れたものの、盾とした岩に数百の強靭な弓兵が放ったかのような矢が突き刺さる。
地面の至る所に矢が突き刺さる惨状に声も出ない私を素通りして少年はソラが隠れている大岩へと走った。
「疾!」
少年は岩に突き刺さる矢を足場に飛び上がると悠々と岩を飛び越えて空中で弓矢を構える。
飛び上がった少年は岩陰で刀を地面に突き刺したソラを見た。
しかし少年はそれに構わずに矢を射った。
その矢もまた一本が百本以上の矢となって放たれた。
少年は一瞬、ソラの目が青く光るのを見た。
刀から青い炎が大地に流れ出してソラの周囲にある枯葉が青い炎によって燃え盛り、その熱気により至近距離から放たれた矢の全てが燃えつくされた。
自身の攻撃を無効化された事とソラの底力に驚きの表情を浮かべた少年が着地すると同時に隙を突いてソラが刀で横一線を加える。
少年も異様ともとれる反応速度で鋭い一撃を弓で防ぐ。
千載一遇の好機だと力を込めるソラだったが少年は体格に会わない力で押し返される。
そのまま二人の動きが止まってしまった。
「何で争うのよ!」
私が言っても二人は聞えないのか聞いていないのか何の反応も返さなかった。
それでも私は言わなければならない気がした。
「禊を受けたいなら、いちいち争わなくてもいいじゃない!皆一緒に浄化すればいいじゃない!」
言いたい事を言った私に目線も送らずに少年は笑った。
「ははっ、同行者の癖に知らんのか?」
「えっ、」
「禊を受けられるのはたった一人だけなんだよ!それに漏れたら次の禊まで百年もまたなきゃならん。時間をかければ悪夢に精神を殺される、だからなるべく禊を行う呪われた人間は行動不能にするか殺さなきゃならない。」
「そんな、」
「さもなくば。自分が地獄行きになるからだ!」
すると少年は弦を片手で弾く。
弓は高い美しい音を奏でた瞬間にドンッと周囲の空気が膨張してソラが吹き飛ばされた。
しかしソラもまた吹き飛ばされる最中に刀を振った。すると巨人の時と同じ様に少年に青い炎が放たれた。
青い炎弾が少年へと向かって奔る。
少年はさらに弦を弾いた。
美しい音色と共に空中へと飛んだことによりソラの攻撃を避けた。
「まだぁまだぁ!」
少年は次々と弦を弾いた。
その旋律はまるで一つの曲のように聞えた。
そして少年は踊り子のように優雅に竹を蹴って方向を変えて音色を奏でては飛んだ。
上からの否応なく降り注ぐ矢の雨を炎で焼き払い、焼き払えない残りを切り裂き、切り裂けない矢を避け続けた。
私はただ戦いを見る事しか出来なかった。
だが少年というには少し貫禄がありすぎる気がして。
「お兄ちゃんも禊目当て?」
少年の特有の声を隠さずに聞いてきた。
ソラは何の戸惑いも見せずに刀を構えた。
「あぁ、お前もか?」
ニヤリと笑みを浮かべることで少年は返した。
一方の私はまたしてもマヌケな格好で地面に伏せていた。
「子供、なの?」
「侮るな、説明しただろう。呪われた者は不老だ。見た目は判断基準にならない。」
注意を促すソラの横顔は素人の私でも分かるほどに殺気立っていた。
むしろソラは巨人の時よりもはっきりと認知出来る程の圧を放っていた。
しかし少年のほうはつゆともせず笑っていた。
「殊勝だね、こう見えても今年で百二十六歳だ。」
「年を覚えているなんて無意味な事を、」
得意気に語る少年を一笑するソラに対して顔をゆがめて弓を構えた。
「吹き飛べ。幼いものよ!」
そういうと少年は矢も何も取らずに空手で弓を引いて放つ。
すると周囲の空気を巻き込み一つの烈風と化して空に襲い掛かる。
それは初めにソラに襲い掛かった時の烈風とは格が違い飛ばされた小石が弾丸のよう飛び、力強く生えた竹を薙ぎ倒した。
直線に奔る風を横に避けたソラは青い炎を刀に滾らせて少年へと走った。
少年は落ち着いて腰の袋から一本の矢を取り出す。
そして矢を強く引っ張りつつソラに狙いを定める。
「疾!」
ビュッと軽くも勢いのある音がした瞬間に射った矢が不自然に広がる。
一本が二本、二本が四本、四本が八本と数を増やしていき最終的には空間が数百本以上の矢によって埋め尽くされ、ソラに迫っていった。
「!」
その攻撃が物理的に避けることが出来ないと瞬時に判断したソラは速度を落とさずに直角に曲がり巨大な大岩へとむかった。
ソラが隠れようとしている間にも少年は二発、三発と矢を放ち、彼を襲う矢はすでに千を越えていた。
ソラは矢が襲い掛かる中で何とか岩に隠れたものの、盾とした岩に数百の強靭な弓兵が放ったかのような矢が突き刺さる。
地面の至る所に矢が突き刺さる惨状に声も出ない私を素通りして少年はソラが隠れている大岩へと走った。
「疾!」
少年は岩に突き刺さる矢を足場に飛び上がると悠々と岩を飛び越えて空中で弓矢を構える。
飛び上がった少年は岩陰で刀を地面に突き刺したソラを見た。
しかし少年はそれに構わずに矢を射った。
その矢もまた一本が百本以上の矢となって放たれた。
少年は一瞬、ソラの目が青く光るのを見た。
刀から青い炎が大地に流れ出してソラの周囲にある枯葉が青い炎によって燃え盛り、その熱気により至近距離から放たれた矢の全てが燃えつくされた。
自身の攻撃を無効化された事とソラの底力に驚きの表情を浮かべた少年が着地すると同時に隙を突いてソラが刀で横一線を加える。
少年も異様ともとれる反応速度で鋭い一撃を弓で防ぐ。
千載一遇の好機だと力を込めるソラだったが少年は体格に会わない力で押し返される。
そのまま二人の動きが止まってしまった。
「何で争うのよ!」
私が言っても二人は聞えないのか聞いていないのか何の反応も返さなかった。
それでも私は言わなければならない気がした。
「禊を受けたいなら、いちいち争わなくてもいいじゃない!皆一緒に浄化すればいいじゃない!」
言いたい事を言った私に目線も送らずに少年は笑った。
「ははっ、同行者の癖に知らんのか?」
「えっ、」
「禊を受けられるのはたった一人だけなんだよ!それに漏れたら次の禊まで百年もまたなきゃならん。時間をかければ悪夢に精神を殺される、だからなるべく禊を行う呪われた人間は行動不能にするか殺さなきゃならない。」
「そんな、」
「さもなくば。自分が地獄行きになるからだ!」
すると少年は弦を片手で弾く。
弓は高い美しい音を奏でた瞬間にドンッと周囲の空気が膨張してソラが吹き飛ばされた。
しかしソラもまた吹き飛ばされる最中に刀を振った。すると巨人の時と同じ様に少年に青い炎が放たれた。
青い炎弾が少年へと向かって奔る。
少年はさらに弦を弾いた。
美しい音色と共に空中へと飛んだことによりソラの攻撃を避けた。
「まだぁまだぁ!」
少年は次々と弦を弾いた。
その旋律はまるで一つの曲のように聞えた。
そして少年は踊り子のように優雅に竹を蹴って方向を変えて音色を奏でては飛んだ。
上からの否応なく降り注ぐ矢の雨を炎で焼き払い、焼き払えない残りを切り裂き、切り裂けない矢を避け続けた。
私はただ戦いを見る事しか出来なかった。