昔、俺が中学生の時、厄介な友人がいた。


「まだ、やる。」

「いい加減にしてくれ、」

「俺が、まだ、勝ってない。」


俺はテニスクラブの部長を勤めていた、

その友人は俺の同輩だった。


「もう、一回!」

「・・・わかったよ、これで終わりだぞ?」


その友人は酷く不器用だった。

俺が一回で出来た事を、百回やっても出来なかった。

だからか、俺とそいつには明らかな壁があった。


「はぁ、はぁ、はぁ、」

「もう終わり。俺帰るからな、」


俺が立ち去っても友人はそこを立ち去る事はなかった。


その友人は酷く不器用だった。

しかし友人はただやり続けた、

百回でもダメなら千回やり続けた。

千回でもダメなら万の数をやり続けた。


俺はこのときに、なんて馬鹿な奴なんだろうと思っていた。


けど違った。


本当ならばこの友人を畏怖しなければならない事を俺は失念していた。


なぜなら数年後、その友人は俺が超えられない壁をいとも簡単に飛んでしまったのだから。


誠実であることが武器になるなんて事のときの俺には想像も出来なかった。