5位
少年の君
2019年中国/香港
原題:BETTER DAYS
監督:デレク・ツァン
脚本:ラム・ウィンサム、リー・ユアン、シュー・イーメン
出演:チョウ・ドンユイ、ジャクソン・イー、イン・ファンほか
配給:クロックワークス
公開:2021年7月16日
技術:カラー
時間:135分
鑑賞:新宿武蔵野館/スクリーン/字幕
あらすじ
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進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、大学進学のための全国統一入学試験を控え重苦しい日々を過ごしていた。ある日、一人の同級生が陰湿ないじめを苦に自殺し、彼女が新たないじめの標的となる。いじめっ子たちの嫌がらせが激しくなっていく中、チェン・ニェンは下校途中に集団暴行を受けている少年・シャオベイと出会う。共に孤独を抱えた彼らは次第に心を通わせていく。
(シネマトゥデイより)
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映画の体験の中で好きなのが、他の国との文化の違いを知れた瞬間があります。
ストーリー自体が平凡でも、何気なく写っている風景や持っているものなどで文化の違いを知ることが出来るのでどうしても海外の映画を優先してみてしまう傾向にあります。
この作品でも、机の上に積み上げられた夥しい量のノートや教科書から中国の受験戦争の異常さが垣間見えたのが印象的でした。
また、いじめっ子はいい家の子でいじめられるのは貧しい家庭の子というのは中国でも変わらないという事も分かったりします。
この映画では、いじめの他に中国国内でのストリートチルドレンや親のネグレクト、凄まじい経済格差や受験戦争など本来共産主義では起こり得ないと言われていることが次々と明るみになっていきます。
この監督はよくこんな作品を世に出せたな〜と思うんですけど、その秘密はエンディングに施されたある仕掛けに答えがある気がします。
さて、小難しいことをつらつらと書き連ねましたが、そういう思想的なことを全部抜きにしてみても大傑作の映画だと思います。
孤独な少女と不良少年の青春恋愛映画というのは一種定番の王道とも言えるんですけど、主役の2人の存在感と映像の切れ味が別格!
バイクの2人乗りのシーンとか、階段での位置関係で立場を表現したりと細かいところにまで目配せが行き届いている演出はもちろん、そこに人が暮らしているとリアルに感じることのできる風景の切り取り方とか、中国映画の実力が侮れないレベルにまで達していることに気がつかされます。
ただ、いじめのシーンは本当に見ていて心が引き裂かれるくらい辛くなります。
これは「いじめ」とは未熟な子どもたちが引き起こす問題行動などではなく、歪んだ社会によって生み出された過酷な闇であるとの怒りが込められている様な気がするからです。
そんなねじれた社会の中でピュアなふたりが懸命に生き抜こうとする姿には自然と応援をしたくなりますし、見守ってくれる人がいるということの尊さに心が温かくなります。
最後に・・・初回の感想のメモでも触れましたが、2回目以降の鑑賞でもいじめっ子が無邪気に持ち歩いていたネズミの使い道が明かされず、そこに一番の恐怖を感じました。

