7位
あのこは貴族
2021年日本
監督:岨手由貴子
脚本:岨手由貴子
製作:「あのこは貴族」製作委員会
出演:門脇麦、水原希子、高良健吾ほか
配給:東京テアトル、バンダイナムコアーツ
公開:2021年2月26日
技術:カラー
時間:124分
鑑賞:横浜ブルグ13/シアター8

あらすじ
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都会に生まれ、結婚こそが幸せという価値観を抱く20代後半の榛原華子(門脇麦)は、結婚を意識していた恋人に振られてしまう。名門女子校時代の同級生たちの結婚や出産を知って焦る彼女は相手探しに奔走し、良家出身で容姿端麗な弁護士・青木との結婚が決まる。一方の時岡美紀(水原希子)は富山から上京して慶應大学に進むものの中退、働いていてもやりがいを感じられず、恋人もおらず、東京で暮らす理由を見いだせずにいた。全く異なる生き方をしていた2人の人生が、思わぬ形で交わっていく。
(シネマトゥデイより)
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東京の街をこれほど立体的に描き切った作品って今まで無かった様な気がします。

居心地の悪さを空気ごとパッケージしたかの様な映像と、無機質でありながらも温かみのある映像との対比が何とも言えなくて、映像から伝わってくるメッセージの様なものに酔いしれました。

あと、金持ちの表現もこれほどリアルな作品というのも今まであまり無かった様な気がします。

日本の映画にありがちな「なんとかコンツェルンの御曹司」というような得体の知れない胡散臭い金持ちではない本物感に圧倒されました。

そこの表現がしっかりしているからこそ、本来交わることのない2人の出会いが鮮烈に感じるんですよね。

この作品で提示される「普通」が本当に残酷で「持っている人」が「持っている状態」を維持したままで「持たざる者」に羨望の感情を抱くというヒリヒリとするような痛さがところどころで顔を覗かせる。

そして、上だと思っていた世界にはまだ上があるという絶望的な階層がサラッと示される。

そこを劇的に描かないから、観ている庶民の僕からすると果ての見えない高い壁が目の前に現れたような、途方も無さに襲われてしまうんです。

その他では、とにかく演出の一つ一つが本当に秀逸で、特に「マカロン」や「ビール」や「アイス」など食べ物にまつわるシーンは全てとんでもないクオリティなんです。

それだけで、何回分かの記事が書けてしまうほど素晴らしいシーンの数々。

まだ、見ていない人に「食べ物が登場したら注意深く見た方が良いよ」とまでアドバイスしたいくらいです(笑)

その他にも、美紀と華子が一瞬合流するけど、その後はまた別々の方向に歩き始めていくというバランスも絶妙だとか、華子の移動手段と彼女の気持ちがリンクしている演出とか…。

ブログだとネタバレを気にして中々具体的な事に触れられないのがもどかしいんですけど…。

と、いう感じに僕の周りでこの作品を見た人が一人もいないのでこの感覚をシェアできないのが本当に残念で、いつかビデオ鑑賞会でも開いてネタバレを気にせずに思い切り感想を交わし合いたいと思っています。