その1「をぎくぼニ丁目」
実のところを言うと、をぎくぼ二丁目の事に触れるのはこれが初めてだ。
これまで、全く知らなかったと言っても差しつかえが無いくらいだったからだ。
例えば、裏通りに行くと夕刊の投げ込まれた音を、恋人の帰りと間違えた女の子がいたかも知れないし、その女の子の恋人はどこかの窓から漂ってくる、幸せそうなカレーライスの匂いで家路を急いだかも知れない。
でも、本当のところはよく分からない。
そんな町があるかどうかでさえ、定かではないのだから。
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その2「『を』の付くタイトル」
深夜の2時に僕はタクシーに飛び乗った。
どうしても『を』から始まるタイトルが思い浮かばなかったからだ。
終わりまであとわずかだというのに・・・。
「『を』の付くお題のあるところまで」
僕が運転手にそう告げると、運転手は後部座席の僕に向かってこう言った。
「何を言ってるのかよく分からなねぇな」
あぁ…そんな気は薄々してたんだ…。
