白い壁がある。
僕の案内で1人の人物が部屋の中央にあるパイプ椅子に腰掛ける。
僕はストップ・ウォッチを押す。
パイプ椅子に腰掛けた人物は白い壁をじっと見つめる。
時間が来る。
僕は「お疲れ様でした」と言ってその人物を隣の部屋に誘導する。
それでおしまい。
しばらく待って逆側のドアに移動して外にいる次の人に声をかける
「次の方、お入り下さい」
そして机の上にあるリストにチェックをして
椅子に座るように告げる。
僕はまたストップ・ウォッチを押す。
同じ事の繰り返し。
2009年の夏の日の出来事だ。
僕がこの事を思い出したのはほんの些細な偶然の出会いからだった。
いつだって些細な事の集積がひとつの結論を導き出す。
それが、名も無いちっぽけな記憶だったとしても例外などではない。
そして、その記憶もまた些細な事の集積の一部となってゆく。
