主に毛を束ねて絵の具などをつけ塗るのに用いる道具。変わったものとしては木を細かく裂いた木筆、竹を裂いた竹筆、などがある。鉛筆なども筆の一種なので字や絵を描くツールであれば筆と言えるだろう。コンピュータが普及してからはデジタルのものも出現した。
筆は毛細管現象によって液体を吸い上げるので、液状の絵の具や墨を含ませたり、あるいはそのまま掬って塗りつけることができる。この性能差はまずは毛の質によって左右され、キューティクルの緊密さなどが影響している。キューティクルが緊密で整っている毛は、つまり表面積が大きいので水分をより多く保持する。西洋画ではコリンスキーの毛がもっとも評価され、値段も高い。しかし、このキューティクルは溶剤、洗剤、アルカリなどに弱く、簡単に痛む。またキャンバスに撫で付けることでも磨耗する。軟毛筆が最高性能を発揮できるのは最初に使う一回だけなのだ。しかし手入れをきちんとすることで、いい筆は長く使える。
各種の筆は道具である以上、目的に応じて使い手が適切に選択するものではある。安いナイロンの筆がコリンスキーに比べて絶対的に劣っているというわけではない。ナイロンは軟毛だが弾力が強く、誰にでも扱いやすい。寿命は短いがその間では描き味はキレはよく、また乱暴な仕事にためらいがない。安いというのは確かな長所である。
値段や性能はバランスがあるから、どの毛・メーカーのものを使うにせよ、身体の延長となるパーツなので各人が実際に色々と使ってみて合うものを探すしかないであろう。
ところで、各種のメーカーの設計思想や事情を意識し、また見聞きすると、より選びやすくなるかもしれない。
最近のことだが、ラファエルのマングース筆が、天然毛から人工毛との混合に変わった。世界のマングース不足が原因らしい。こうした世情の変化は筆の選択に影響を与えるかもしれない。
他、個人的な見聞だが、私はある筆メーカーの方から「●●筆は(ここにはとても書けない事情で)いやいや作らされることになった、あんなダメな筆買うな」と言われたことがあった。その時、水彩に使う筆の話をしていたのである。
その席で、私は「ぶっちゃけ水彩で、一番オススメの筆はなんですかね」と聞いてみた。
その方は「人は清晨堂の『快』にハマる時が来る」とおっしゃった。
なんだかすべからく人はそうなるみたいな言い方でよく分からなかったが、とりあえず買って使ってみた。
削用のモデルチェンジみたいな感じで、確かに使いやすい。少し硬いけど。でも削用じたいが万能だから、快に全人類がハマるかどうかはよく分からない。