アルヴィス #1「ある日の高校生」 | ゲーム実況者 もるさんの日常

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これは、ここから少しだけ離れた世界のお話

井灘 努(イナダツトム)
「はぁ…疲れた…家着いたらゲームしてギター練習して…いや練習は明日やろう、まだみんなと合わせるのは来週だし大丈夫でしょ」

そんなことを考えながら一人帰り道を歩いていた。時刻は23時前。友達とゲーセンで遊んでいたせいで随分と暗くなってしまった。
「地味にここら辺暗いんだよなぁ…まだ家までかかるし…ジュースでも買ってから帰るか」

俺は安いジュースの売っている自販機を目指して少し寄り道をすることにした。

目的の自販機に到着してお金を入れるとお世辞にも体にはいいとは思えない蛍光色の炭酸飲料のボタンを押す。

キャップを開けるとプシュッと炭酸の音とふわっと作り物感満載のメロンの香りがした。
「うっま、ここらへんじゃこの自販機にしかないのがネックだよなぁホント。家の近くにあればもっと気楽に飲めんのに」
一口飲んでさぁ帰ろうと回れ右をすると少し先の物陰で何かが動いているのが見えた。
「式神か何かか?あんなカラフルな奴見たことないし…なんかデカくねぇか?」
およそ大人の男よりも大きそうな、犬とカエルを足して2で割った感じのカラフルな生物?がこちらをじっと見つめている。
「アレ…生き物…だよな?置物じゃないよな…とりあえず写真だけでも撮っとくか」
明日友達にでも見せようと肩掛け鞄からスマホを取り出そうとしたその時、その生き物はものすごい勢いでこっちに突進してきた。
「は?え?」
さっきまであった好奇心はどっかに飛んでいき、代わりにパニックと恐怖心が頭を占拠した。
逃げようそう思っても足が動かない。この状況で腰を抜かしていないだけマシか?なんてくだらないことを考えている間にその生き物はもうすぐ近くまで走ってきていた。
「俺食われる?いや撥ねられる?これもうよけらんねぇだろうなぁ…やらかした、すぐ逃げればよかった…」
遺言じみたことを考えていよいよ走馬灯まで見えかけたその時、
「ギリギリじゃねぇか、あっぶねぇ」
ものすごい衝突音と共に、自分より一回り大きい筋肉質の男が棒状の物でその生き物の突進を受け止めていた。
「ユイの野郎…写真よりバカほどデケェじゃねぇかクソ!こんなことならしっかり"刀"持ってくりゃあよかったぜ…」
そう呟くと男は体の向きを少し変え、なおも前進しようとする生き物の力を横方向へいなしそのまま体ごと回転して生き物の脳天を強く棒で打ち付けた。
「ギュエッ!!」と鳴いた生き物はそのまま動かなくなった。


「ケガねぇか?坊主!」
男は手に持った鉄パイプで自分の肩を軽くたたきながらをこっちへ振り返り、二カッと笑ってそう言った。てかアレ鉄パイプだったのか。
「はい…大丈夫です」
混乱しながら答えると男は「そうか!よかったなぁ!」と言って話し始めた。
「悪いなぁ身内のペットが逃げちまったらしくてよぉ、人様にご迷惑かける前に見つけられてよかったよかった!!」
ペット?これが?なんて考えていると男は「ちょっとごめんな」と言って電話をかけ始めた。
「あぁユイか?見つかったぞ多分、お前さんからもらった写真よりだいぶご立派になってるぞ、コイツ。とりあえずこのままにしとくわけにもいかねぇから回収班も呼んで一緒に来てくれや」
ふと電話をしている男の服を見ると肩には見覚えのあるマークがあった。確かこれは…
「…特殊自衛隊?」


―――――

およそ80年前、この世界にある機械が発明された。機械の名は"アルヴィス"北欧神話に由来して名付けられたと歴史で習った。アルヴィスは今まで人間には目で見えなかった「才能」を可視化できるようになる夢のような機械であった。
後に第一世代と呼ばれたこの時代の人々はアルヴィスによって発見された、自分に眠る様々な才能を開花させていった。頭が良い人、目がいい人、足が速い人…
自分の才能を理解し、向き合い続けた結果、人類は物理現象や人間の限界をも凌駕するようになった。世代が進むにつれてより成長していった人間の才能は遂に"魔法・奇跡"と呼ばれる領域にまで達する。
そして17年前、世界平和を目的とした"世界の島"という巨大な人工島が太平洋中心に建設された。がしかしこの建設をよく思わなかった反対勢力のテロリストが建設の一部に参加し、現在は異常な生命体の住まうダンジョンと化してしまっている。

その生命体は海域・空域にまで影響を及ぼした。空には雷や雹、嵐が常に発生し、一部航路を除き海には巨大未確認生命体が発生し船や軍艦までもが大破するという事態に。
事態を重く見た国連はこの島の鎮静を最重要課題とし、事態解決をした国がこの島の管理国とすることを決定した。
これを受けて日本は自衛隊とはほかに"特殊自衛隊・Japanese task force Group;JTFG"を設立。特殊環境化や対特殊生物に特化し超人的な才能を持つ人間を集めた。

―――――

 

このマークはそのシンボルだった気がする。
「あと5分くらいで到着してくれ、人目は少なそうだがバレると面倒だ」
男が電話を続けているとノビていたはずの生き物が突然動き始め男の背中めがけて突進した。
「ガァッ!!!?」
男は受け身も取れずフェンスに激突し顔をゆがめていた。
よくみるとフェンスが千切れ、男の服に刺さっていた。
「いってぇな…油断した…おい!坊主あぶねぇ!!!!」
男が叫ぶ。前に目を向けると生き物はこちらに顔を向け突進しようと体を縮ませていた。